こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)とは、
地中で凍った泉が動き始めるという意味です。
この冷え込む1月の最中に、
あたたかみを含むとされる泉。
泉とは、地下からの湧き水のことです。
しかし一体なぜ、その泉は
「あたたかみを含」んでいるのでしょうか。
この記事では、その水泉動、
そして今回描いた水墨画、
について話していきます。
1月10日から1月14日頃の七十二候は、
小寒次候 水泉動(しみずあたたかをふくむ)です。
二十四節気では、小寒(しょうかん)。
その小寒を3つに分けたうちの2番目(次候)です。
目次
地下水は雪を融かす?〜水泉動(しみずあたたかをふくむ)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/01/01-1.jpg)
凍った地下水がとける?春を呼ぶ?
これは中国の七十二候とは違い、
日本独自のもののひとつになります。
水泉とは(要は泉)、
地下水が自然に湧き出てくる、
湧き水のことです。
その湧き水が、寒さ厳しい
この冬の中にあっても、
すでに次の季節・春へ向けて
あたたかさを帯び始めているよ、と
今回の七十二候は、そう伝えているのです。
季節は動くとは言いますが、
地中を覗くことはできませんから、
私たちは実際にそれを見ることも、
手に触れることもできません。
気の遠くなるような真っ白な雪景色の下に
あたたかい春を夢見ながら、
もうすぐ凍った水も溶けるだろう、と
そうすれば春もまた一歩近づくよ、と
この七十二候はそうやって当時の人々の
希望になっていたのかもしれませんね。
あなたも目を閉じて、
凍った泉が流れる音を
想像してみてはいかがですか。
ご先祖様と同じ気持ちに
なれるかもしれません。
・・・・・・
という感じでまとめると、
ただの妄想で話が終わってしまいますね。
そもそも地中の水って
凍っているのでしょうか。
水の温度はどう変わる?地表と地中との違い
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/01/02-1.jpg)
冬になると、「地表」の水は凍ります。
これは目に見えるので、
間違えようがありません。
ならば目に見えない「地下」の水はどうでしょうか。
地表と違い、地下は気温の影響を受けないので、
年間を通して一定です。
地域によるのではっきりした数字は
出せませんが、
関東では16〜18℃くらいです。
地下深く潜るほど、水は
地表の温度の影響を受けません。
そんな地下水は、冬でも湧き水として
地表に流れてきます。
地表の水より温かい温度で湧き出て、
場所によっては雪も溶かしてしまいます。
「湧水池」も湧き水の温度により、
凍りにくかったりします。
当時の人々は、その温かさについて、
「しみずあたたかをふくむ」
と受け止めていたのではないでしょうか。
別に実際の水温は変わってなくても。
逆に砂漠のオアシスも
湧水からできる場合があるのですが、
そちらでは水が冷たいと感じるわけです。
真夏の湧き水に癒されるのも同じですね。
そんなカラクリは当時の人も
わかっていたと思いますが、
科学的なことよりも、
信仰を重要視する時代ですから、
(現代でもそういうところありますけど)
当時の日本人らしい人生の楽しみ方にならって
この七十二候を定めたのかもしれませんね。
【作品紹介】水墨画で七十二候を描く〜水泉動(しみずあたたかをふくむ)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2023/01/img_6207.jpg)
水泉とは、
地下から自然に湧き出てくる
湧き水のことです。
その湧き水が、寒さ厳しい
冬の中にあっても
すでに次の季節(春)へ向けて
あたたかさを帯び始めているよ、と
伝えているのです。
凍てつく冬の厳しさの中にも、
必ず生きる希望はあると、
そう伝えているのです。
どんな人生にも必ず
希望はあると。
ところで、温泉も湧き水です。
その条件が温泉法に当てはまるかどうかで
呼び名が変わるだけです。
というわけで温泉の絵を描きました。
入っているのはニホンザル。
温泉に入るのはほとんどが
雌と子供だけだそうです。
雄は家族を守るために
いつでも戦うようにしているため、
温泉に入ることは
あまりないのだとか。
とっくりを浮かべて赤ら顔なのは
どんな生き物より知恵の回る
人間だけみたいですね。
守るべき者のために厳冬に立ち向かう。
そんな男の生き様も、
家族にとっては希望になり得るのでは
ないでしょうか。
●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 白
マット色 – 薄藤
*著作権は八束徹に帰属します。
絵のダウンロードや無断転載はお控えください。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/01/03-1.jpg)
今回話したのは、
七十二候・水泉動
水墨画で描いた水泉動(しみずあたたかをふくむ)
についてでした。
次の七十二候は、
小寒末候 雉始雊(きじはじめてなく)です。