初めまして。
水墨画アーティストの八束徹です。
水墨画は墨で描きますが、
それだけだとただの
白黒の絵になってしまいます。
水墨画の本来の奥深さ、
深淵さを出すには、
これからお話しする技法が
必要になってきます。
せっかく描くなら、ちゃんと良いものを
描きたいですよね。
そのために必修の技法です。
とはいえ、いくつもあるわけではないので、
難しく考える必要はありません。
この記事では、その
ぜひ学んで活用していただきたい
水墨画の基本的な墨の作り方、
筆の作り方、
そして応用までを話していきます。
初心者から抜け出すために、
間違いなく役立つテクニックです。
目次
墨の作り方〜濃墨と中墨と淡墨を作る
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e305.jpg)
水墨画を描く際には、まず最初に
濃墨・中墨・淡墨の3つを作ります。
濃墨とは硯ですられたばかりの
濃い墨のことです。
これを小皿に取り、
水と混ぜて墨を薄め、中墨を作ります。
それをさらに水を足して
薄くしたのが淡墨です。
墨のすり方については色々ありますが、
濃墨ばかり使うわけでなければ、
たくさんの量を、する必要はないです。
そして少しの水で、
優しくすってあげてください。
力を入れてガシガシやらなくても
墨はすれます。
筆の作り方
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e315-3.jpg)
まず、これから説明する技法は、
筆の先を使うのではなく、
筆全体を使って描くものだと
覚えてください。
以下の説明に関してですが、
わかりやすくするために
すべて淡墨と濃墨で描いています。
中墨は使っていません。
片隈(かたぐま)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e306-1.jpg)
先端が濃い状態です。
作り方
淡墨を筆全体に含ませます。
先端に硯の上の濃墨をつけ、なじませます。
描き方
筆を寝かせて横に移動させます。
元隈(もとぐま)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e312.jpg)
根元が濃い状態です。
作り方
濃墨を筆全体に含ませます。
先端の濃墨をティッシュなどで吸い取り、
淡墨をつけます。
筆洗いで先端だけ洗う手もあります。
描き方
筆を寝かせて横に移動させます。
片隈を逆さにすれば良いだけでは?
と思ってしまうかもしれませんが、
水墨画は筆の向きで
対象の味わいや姿形が変わりますから、
どちらの技も必要です。
両隈(りょうぐま)
外側に囲うような線が入ります。
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e307-2.jpg)
作り方
筆全体に淡墨を含ませます。
小皿の縁でこすり、水分を減らしながら
筆を潰して両脇を尖らせます。
その尖らせた両端に濃墨をつけます。
描き方
濃墨をつけた部分が両端にいくようにして、
筆を引きます。
内脈(うちみゃく)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e307-1.jpg)
両隈とは逆に、内側に線が走ります。
作り方
筆全体に淡墨を含ませます。
小皿の縁でこすり、水分を減らしながら
筆の左右を潰して中央を尖らせます。
その尖らせた部分に濃墨をつけます。
描き方
濃墨をつけた部分が真ん中になるようにして、
筆を引きます。
先隈(さきぐま)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e311.jpg)
先端だけ濃い線になります。
作り方
淡墨を筆全体に含ませて、
先端にちょんと濃墨をつけます。
描き方
濃墨をつけた先端を押しつけてから
筆を引きます。
濃墨を置いてくるイメージです。
濃墨を筆に馴染ませてしまうと、
先端で止まらずに最後まで
ついてきてしまいます。
さばき筆
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e308-2.jpg)
何本かのバラバラな線を一度に引きます。
作り方
筆を小皿の底に押し付けて
根本を軸に左右に動かすと
筆の先端が開いていきます。
均等にさばいたり、
左右どちらかだけにねじってさばいたり、
やり方は色々あります。
描き方
さばいた筆の先端に墨をつけて、
筆を引きます。
*全体にいえることですが、
実際に絵を描いたり、
中墨や淡墨、水を含んだ筆を
硯の上の濃墨につけたりしているうちに、
濃墨もだんだん色が薄くなっていきます。
状況を見ながら
墨をすり直すようにしていきましょう。
応用して描いてみる
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e316.jpg)
左の松の木と枝と葉は、
すべてさばき筆で描いています。
奥の山、竹は片隈。
竹の葉は数枚ほど内脈です。
こういった技を、
他の絵を見て探してみるのも面白いです。
それがわかるようになれば、
練習もさらに楽しくなりますよ。
*さらに以下の記事で紹介する技法も
合わせてご覧ください。
▶︎【5つの必修技法】水墨画を描くために必須のテクニックを紹介します。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/12/e309.jpg)
今回話したのは、
- 3つの墨の作り方
- 6つの筆の造り方
- その応用について
でした。
これらは、
使う筆の種類、大きさ、毛の柔らかさ、
濃墨の含み具合、淡墨の含み具合によって
まるっきり違ってきます。
初めは同じ筆で慣れるのがいいですね。
いざ使えるようになると、
これはあの技法が合うな、とか、
この部分はあえてこの技法で
やってみようといった感じで、
意識して描けるようになるので楽しいです。
ここで説明したことは
基本的なことです。
ここから自分で好きなように
自由に応用していき、
個性へとつなげていきましょう。