こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
菜虫化蝶(なむしちょうとなる)とは、
青虫が羽化して紋白蝶になるという意味です。
穏やかな春の日差しの中を、
ひらひらと舞うモンシロチョウ。
発生する時期で色に違いが現れます。
この記事では、その菜虫化蝶、
そして今回描いた水墨画、
について話していきます。
*3月15日から3月19日頃の七十二候は、
啓蟄末候 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)です。
二十四節気では啓蟄(けいちつ)。
その啓蟄を3つに分けたうちの3番目(末候)です。
目次
七十二候・菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
白い妖精 紋白蝶(モンシロチョウ)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/04/1-7.jpg)
白い妖精とも呼ばれているモンシロチョウ。
その白い羽をパタパタさせながら
数匹で舞う姿は、
暖かい春の日差しと相まって、
私達に安らぎを与えてくれますね。
羽の黒い斑点を紋に例えて、
この名前がつけられました。
白い羽根に紋がある蝶だから、
モンシロチョウ(紋白蝶)というわけです。
ちなみにモンシロチョウはこの時期から
11月くらいまで発生するのですが、
羽が白いのは春のモンシロチョウです。
夏のモンシロチョウの羽は
黄色がかっています。
田舎育ちの私も幼い頃、
そんなモンシロチョウを無邪気に
追いかけたりしていました。
蛹から蝶になるのは半数以下
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/07/5-4.jpg)
ヒラヒラ舞うのは、
オスからメスへの求愛です。
そしてその想いが叶うと、
モンシロチョウは飛びながら交尾します。
幼い私はそれを知らずに
邪魔をしていたわけですね。
幼虫が成虫になるためには、
鳥や他の虫からの捕食、
ハチやハエの寄生、
人が撒く農薬を乗り越えなくては
なりません。
モンシロチョウの幼虫である青虫は
野菜を食べてしまうので、
特に野菜を育てている人間からしたら
害虫なんですよね。
そうして、ようやくサナギからかえり、
空へ舞い、恋に夢中になれるのは、
幼虫の半数以下なのです。
その姿を美しいと楽しんだり、
野菜を食うなと蝶になる前に殺したり、
人間も忙しい生き物ですが、
成虫となった彼らの命は、
たった数週間で終わります。
彼らはもっと忙しく、
そして儚い命を抱えて生まれてくるのです。
もし、公園や川辺や軒先で、
ヒラヒラと舞うその姿を見つけたら、
その一世一代の恋模様を、
邪魔せずに見届けてあげましょうね。
春の陽射しには、きっと
そんな優しさが似合うはずです。
水墨画で七十二候を描く〜菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/04/0-1.jpg)
今回はタンポポの蜜を吸う
モンシロチョウを描きました。
蝶が花の蜜を吸う姿は
私たちには馴染みの光景ですが、
蝶の目に移る花は人間の見るものとは
少し違っています。
蝶は人間には見ることができない
紫外線を見ることができるのですが、
その能力によってそこに蜜があることを
判断しているのです。
これはミツバチも同じです。
自分たちが生き抜いていくために
必要な能力が、しっかりと
備わっているわけですね。
蜜を吸うのは栄養を蓄えるためですが、
その小さい体でそんなにたくさんは
吸いません。
必要な分だけの栄養を取り、
吸い過ぎて体を重くしたりせず、
また遠くへ飛んでいくのです。
それは子孫を残す相手を見つけるため。
愛する人を探す旅を
彼らは続けているのです。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/04/4-5.jpg)
今回話したのは、
- 七十二候・菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
- 水墨画で描いた菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
についてでした。
次の七十二候は、
春分初候 雀始巣(すずめはじめてすくう)です。
二十四節気は春分に変わります。