ひらりと舞った蝶|226段の階段を登る夏の旅

初めまして。
水墨画家の八束徹です。

今回のツーリング先は、洒水の滝
神奈川県足柄上郡山北町にある
滝です。

読み方は「しゃすいのたき」。

洒水とは仏教の言葉で、
「洒」は、注ぐという意味を持ち、
道場や、仏具を清めることをいいます。

この記事は、そんな旅路の記録。

天候は快晴。夏。
風はなし。

横浜から足柄上郡山北町までの道のり

朝7時頃。コンビニで朝食

高速を使わずに一般道で行きました。

かかった時間はおよそ2時間。
東京方面からは、
246に出たら、西へひたすら
下っていくだけ

ずっと246です。

夏の暑い日差しの下でしたが、
朝の出発でまだ早い時間だったため、
日曜日でも道が混むようなことは
ありませんでした。

スイスイと走れたおかげで
山に入ると特に気分が高揚しました。

橋にアーチがかかっている
駐車場の案内

洒水の滝について

洒水の滝は、

日本の名水百選
日本の滝百選
神奈川の景勝50選


に選ばれている名所です。

下から一の滝、二の滝、三の滝とあり、
それぞれ69m、16m、29mで、
計114mもある雄大な滝ですが、
私達がその場で見れるのは
一の滝のみ
のようです。

鎌倉時代に真言宗の僧侶、
文覚(もんがく)上人が、
100日間に及ぶ滝行を行った場所
としても知られています。

2004年の落石事故以来、18年間、
見学ルートが封鎖されていましたが、
2022年に一般解放が再開し、
観瀑台が復活しました。

洒水の滝の洒水は、しゃすいと読み、
仏教用語のひとつ。
洒は注ぐという意味を持ちます。
香木を煎(せん)じて作った「香水」を洒水器に入れ、
散杖(さんじょう)を使い、
道場や供具に撒いて清めます。

ここでいう香水の香りは、
香木からとられたものなので、
今風なオシャレな香水ではなく、
お寺独特の香りのことです。
道場とはお寺の修行の場、
供具は神仏への供物、
またはそのための器具のことになります。

滝口から香木が流れ落ちてきたのか、
滝壺に香木があるのかはわかりませんが、
そういうことではなく、
清める」という意味合いから、
つけられた名前なのかと思います。

いざ、洒水の滝の敷地内へ

入口にある農産物直売所
滝へ続く坂道

途中、宿がふたつ

文覚荘の案内板
洒水園

ゆったりとした坂をそのまま歩くと
左手にお寺がありました。

景勝寺の水かけ地蔵

最勝寺訪問

最勝寺は、先ほど話した
滝行の文覚上人を祀って建てられた
お寺
だそうです。
元々は竹林で、それを刈り取って
作られたとのこと。

なので、ここは真言宗のお寺ですね。

石段を登って、境内へ。

最勝寺

左右に列ぶお地蔵様には、
風車がかけてありました。
きっとお祭りでつけたのかな?と、
はしゃぐ子供達の様子が思い浮かびます。

賽銭箱のそばには、それぞれの運を上げる念仏が
カタカナで書かれている紙が用意されていました。

右の広場に行くと舞台があったので、
ここも祭りで使うのかな?などと思いながら、
そのまま境内を出ます。

寺から下る坂道

右手の坂道を下ると、
滝へ向かう川沿いの遊歩道に
合流
します。

静かな川のせせらぎが
優しく迎え入れてくれます。

赤橋と洒水の滝〜赤橋ルート

遊歩道

夏の木漏れ日が差す遊歩道を
滝へ向かって歩きます。
蝉の鳴き声が響き渡る夏の森の中を、
涼しげな滝沢川がゆっくりと流れています。

遊歩道はその川に沿って
滝へ続いていきます。

遊歩道の休憩所
滝沢川

川に降りて素足を浸しながら、
仲睦まじくおにぎりを食べている
ご夫婦?恋人?達がいました。

赤橋と洒水の滝

滝に目を向けると、川には赤い橋が架かり、
その向こうに洒水の滝が見えます。

進入禁止の案内

土砂崩れのため、この赤橋を
渡ることはできません
でした。
滝壺まで降りて飛沫を受けたかったのですが、
叶いませんでした。

観瀑台へ続く長い階段

階段脇の幸せダルマ

赤橋ルートを引き返し、
観瀑台へ続く階段
に足をかけます。

滝を見に来た私の体を、
暑さで汗が滝のように流れていて、
なんという皮肉かと可笑しくなりながら
長い階段を登っていきます。

しかし前を行く年配の女性が
ひょいひょいと登っていかれるので、
群馬の山に行った時もそうだったけれど、
足腰の鍛え方が世代で違うのは
やはり事実なんだなと感服
いたしました。

それにしても音を上げるような
段数ではないので、
木と森とわずかな風を感じながら
それを心にあてて、
私も登っていきます。

段数は226

先ほどの赤橋が、
もうこんなに下
にあります。

階段途中から見下ろす赤橋

そしてようやくのぼり切る手前の
私の視界に、

ひらり

と蝶が舞いました。

幻かと思うほど
一瞬で姿を消しました。

そんな蝶を追った視線の向こうに、
その風景は広がっていたのです。

展望台からの眺め

頂上にあるのは、
本当に小さな観瀑台でした。

226段の階段を登った山間の終点。

その頂上からでも
見上げるほどの高さの滝口から、
滝が滝壺へと流れ続けています。

これでまだ一の滝なのだから、
すべてが見れたらどれだけ
圧巻なのでしょうね

ただただ目の前の風景に心を奪われて、
しばらく見入っていました。

その上の二の滝、三の滝が
どうなっているのか
俄然気になるところですが、
直接それを見る術は
今のところないようです。

いつか滝の全てが
見れるようになるといいですね。

水墨画で描く”洒水の滝”

▶︎静かな手紙をお送りしています
ざわつく日々に、墨の余白と灯火を。