麦の恵みへつながる、雪下の芽〜七十二候・雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)

秋に撒かれた麦の種は、
この冬の重く暗い積雪の下で
力強く芽を出します。

そして雪が溶けるのを
辛抱強く待ち続けるのです。

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

水墨画12月31日から1月4日頃の七十二候は、
冬至末候 雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)です。
二十四節気では、冬至(とうじ)
その冬至を3つに分けたうちの3番目(末候)です。

この記事では、その雪下出麦、
そして今回描いた水墨画、

について話していきます。

麦の恵みへつながる、雪下の芽〜雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)

冬を超えた先にある麦の恵み

雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)とは、
雪の下で麦が芽を出すという意味です。

こちらは初夏の七十二候、
麦秋至(むぎのときいたる)と繋がっていて、
ここで芽を出した麦が冬を越して、
その麦秋至の頃に熟し、
恵みの収穫を迎えます。

ここでは秋に撒かれた種が
ひとまず芽を出し、
農夫達に初夏の黄金色の麦畑
思い描かせるのです。

ナツカレクサと同様に、
厳しい冬を越えていくその姿は、
ひとつの希望にも見えます。

まして麦は、食料になります。
特に昔の農民は米など年貢に取られるだけで、
食べれなかった時代ですから、
主食とされていた麦の恵みの収穫は
ことさらに待ち遠しいものだったはずです。

雪の下で芽を出す」なので、
畑の雪を掘らないと当然その芽は
見えなかったのでしょうけれど、

雪の下でもそれだけ力強く育っているよ

ということを、
ここでは伝えたかったのではないでしょうか。

越年草の二毛作〜米と麦

秋に種を蒔き、冬を越し、初夏に収穫する。
この一連の流れから麦は
越年草(えつねんそう)と呼ばれます。

その呼び名の通り年を越すからです。

二年草ともいわれたりしますが、
年をまたぐだけで成長過程が
2年目に突入するわけではないので、
二年草ではありません。

日本でも昔から作られてきた麦ですが、
梅雨が障害となり、
(水分補給により収穫前に
芽を出してしまい価値が落ちる)
その上、今では海外から安く輸入できるため、
日本の麦の生産量は60%以上
梅雨のない北海道産となっています。

しかしそんな中でも、
各地の農家では、二毛作として、
たとえば、5〜6月から秋には稲作、
秋から5〜6月には麦作というふうに
一年を通して栽培を続けます。

麦の収穫と田植え時期が重なるため、
入れ替えが大変な作業なのは想像できますね。

水墨画で七十二候を描く〜雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)

今回は、雪の積もる田んぼと、
飛来する白鳥を描きました。
白鳥はシベリアで繁殖し、
冬になると餌場を求めて日本にやってきます。
シベリアは9月過ぎになると
昼でも氷点下になってしまうため
餌が採れなくなるのです。

まず北海道へ飛来するのですが、
北海道も寒くなると今度は本州へやってきます。

私の故郷でも、越冬する白鳥が
雪をかぶった田んぼに降り立ち
餌を探す姿を見ることができました。

白鳥が田んぼで探している餌は、
稲刈りの際に漏れ落ちた、落穂です。 

ということならまだいいのですが、
彼らは麦の芽も刈り取ります。

やっと芽を出した農夫の希望を
むしり取ってしまうんですね。

外から見れば雪景色に溶ける白鳥の姿は、
優雅で美しい冬の風物詩ともいえますが、
農家の人にとっては害鳥にあたるのです。

保護法によって全ての鳥は
好き勝手に駆除できないため、
対策にも苦労しているようです。

ちなみに
「そういう話をされると、
素直に白鳥が美しいと思えなくなる。
だからやめてほしい」

こういう考え方ってありますよね。

それは白鳥が美しいと思っていたのではなく、
白鳥が美しいと思える自分自身が
好きだっただけです。

まとめ

今回話したのは、

  • 七十二候・雪下出麦
  • 水墨画で描いた雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)

についてでした。

次の七十二候は、
小寒初候 芹乃栄(せりすなわちさかう)です。

二十四節気は、小寒(しょうかん)に変わります。