こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
橘始黄(たちばなはじめてきばむ)とは、
橘の実が黄色くなり始めるという意味です。
橘というとなにが思いつくでしょうか。
みかんのような黄色い実でしょうか?
橘の実はみかんと同じミカン科ですが、
甘くて美味しいそれとは
まるで別のものなのです。
この記事では、その橘始黄、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
12月2日から12月6日頃の七十二候は、
小雪末候 橘始黄(たちばなはじめてきばむ)です。
二十四節気では、小雪(しょうせつ)。
その小雪を3つに分けたうちの 3番目(末候)です。
目次
みかんと同じ柑橘系?橘の実っておいしいの?|橘始黄(たちばなはじめてきばむ)
橘はみかんと同類?
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/12/01.jpg)
橘の実とは、みかんと同じく
ミカン科に属する橘の木に成る、
黄色くて小さな実のことです。
みかんに似ていますが、
みかんより小さくて、
実は唯一の日本産の柑橘系です。
主に西日本側の、海岸が近い山地に
自生しています。
ただその実は、同じミカン科の
「みかん」とは違い、かなり酸っぱくて
食用できるようなものではなく、
今回の七十二候「橘始黄」は、
もうすぐおいしい果物が
食べられるよ!
的なことではないのです。
そんな橘とは違い、
甘い柑橘系として知られる
現在のみかんの主流はウンシュウミカン。
ウンシュウとは、中国のみかんの産地、
雲州市からとられています。
みかんの漢字は、蜜柑と書きます。
これは「蜜」の味がする、
甘い柑橘という意味ですね。
みかんは、この季節によく似合う
まさに冬の風物詩ですが、
今回の主役にはならなかったようです。
では甘いみかんと比べて、
食べられない橘が、なぜ
この七十二候に加えられたのでしょうか?
橘と人との関わり
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/12/03.jpg)
歴史を紐解くと
橘と人の関わりが見えてきます。
秋になると紅葉する落葉樹とは違って、
常緑樹の橘の葉は一年中緑色に輝き、
そこに成る橘の実も、長くそこに残ります。
この「変わらない姿」から、
橘は永遠の象徴とされてきました。
さらに日本書紀においては、
非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)と呼ばれ、
常世の国(神話における理想郷)から来た
不老不死の実ともされているのです。
非時香菓は、どんな時でも
香りのする実という意味です。
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/12/05.jpg)
京都御所の紫宸殿(ししんでん)には、
右近の橘、左近の桜として、
桜と対になって植えられています。
文は橘、武は桜ともいいますが、
これは後述する文化勲章にも繋がります。
また、武家の橘氏の由来や、
十代家紋と呼ばれる
家紋のうちのひとつとしても知られ、
多くの武家に使用されてきました。
文化勲章は始め、
桜の花を予定していましたが、
昭和天皇が、橘の花に変えたそうです。
潔く散る桜ではなく、
文化には生命の長い橘を、という理由で。
こんなふうに、橘は古来から
日本人に馴染みの深いもの。
神話の時代から今に至るまで、
橘はずっと私たちの世界を
見守り続けているのです。
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/12/02.jpg)
【作品紹介】水墨画で七十二候を描く〜橘始黄(たちばなはじめてきばむ)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2023/01/tachibanahajimetekibamum.jpg)
橘はみかんと同じくミカン科に
属しています。
みかんに似ていますが、
みかんより小さくて
実は唯一の日本産の柑橘系です。
常緑樹であることが
橘の存在価値をあげているので、
葉っぱは瑞々しく、
かすれを出さないように描きました。
秋になると紅葉する落葉樹と違って
常緑樹の橘の葉は一年中緑色に輝き、
実も長くそこに残ります。
この「変わらない姿」から
橘は古来から永遠の象徴とされてきました。
さらに日本書紀においては、
非時香果(ときじくのかぐのこのみ)と呼ばれ、
常世の国(神話における理想郷)から来た
不老不死の実ともされているのです。
古代の人々が橘に夢見たような
不老不死も永遠も
今では幻でしかありませんが、
歴史を紐解くと
そこに生きていた人々心が
少しだけ垣間見れるような
気がするのです。
この初冬に黄ばみ始める小さな実から、
母国の歴史を学び直す、というのも
良いかもしれませんね。
●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 白
マット色 – 薄藤
*著作権は八束徹に帰属します。
絵のダウンロードや無断転載はお控えください。
まとめ
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今回話したのは、
- 七十二候・橘始黄
- 水墨画で描いた橘始黄(たちばなはじめてきばむ)
についてでした。
次の七十二候は、
大雪初候 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)です。
二十四節気は、大雪(たいせつ)に変わります。