こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
鴻雁北(こうがんきたへかえる)とは、
雁が北へ渡って行くという意味です。
冬を愛する渡り鳥、雁(ガン)。
春の訪れとともに、ガンは日本を離れ、
群れとなって寒いロシア(北)へ渡ります。
曇り空の下を、隊列を組んで。
この記事では、その鴻雁北、
そして今回描いた水墨画、
について話していきます。
*4月10日から4月14日頃の七十二候は、
清明 次候 鴻雁北(こうがんきたへかえる)です。
二十四節気では、清明(せいめい)。
その清明を3つに分けたうちの2番目(次候)です。
目次
北へ。渡り鳥・ガンの群れは冬空が似合う?|鴻雁北(こうがんきたへかえる)
寒い場所を求めて海を渡る
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/04/2-11.jpg)
北とはロシアです。
鴻は他と比べて体が大きいヒシクイのことで、
雁は他のガン。
どちらも雁のことです。
冬鳥である彼らは、日本に春が訪れると、
寒い土地を目指して北へ飛び立ちます。
その鴻雁達が北へ帰る頃の曇り空のことを、
日本では鳥曇りと呼んでいます。
これは春の季語ですが、
渡り鳥が空に大勢いることで空が曇るから、
というわけではないです。
あくまでも「この時期の曇り空」のことを
指します。
雁の群がV字になって空を飛ぶ姿は
印象的ですよね。
この時、先陣としんがりは
強い雄雁が務めています。
また、雁は警戒心が強く、
群れが食事に夢中な時も、
少し近づくと一斉に
飛び立っていってしまいます。
それは群れの中に一羽見張りがいて、
危険を察すると周りにそれを知らせる
からです。
どちらにしても集団で行動するための秩序が
しっかりと保たれているわけです。
春に去り、秋にまたやって来る雁
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/04/3-10.jpg)
七十二候では、玄鳥至(つばめきたる)に対し、
秋には玄鳥去(つばめさる)があるように、
今回の鴻雁北(こうがんきたへかえる)に対し、
秋になると鴻雁来(こうがんきたる)があります。
燕が寒くなると飛び立つのと入れ替わりに、
雁は日本にやってくるわけです。
そうやって鳥達は私達に
季節の移ろいを示してくれるのです。
雁が水辺に漂う姿は優雅で美しいもの。
湖や、沼、池のある公園など、
その姿を静かに眺める時間も良いものです。
ちゃんと距離を置いて。
相手が近づいてほしくないなら、
わざわざ近づく必要はないのです。
彼らが鳥曇りの空を飛び立つ前に一度、
その姿を見に行くのもいいかもしれません。
冬の暮らしを彩ってくれた雁達とも、
しばしのお別れです。
【作品紹介】水墨画で七十二候を描く〜鴻雁北(こうがんきたへかえる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2023/01/img_6170-e1672663154697.jpg)
冬を愛する渡り鳥、雁(がん)。
雁が水辺に漂う姿は
優雅で美しいもの。
湖や、沼、池のある公園など、
その姿を静かに眺める時間も
良いものです。
そんな雁達はやがて
春が訪れると日本を離れ、
寒いロシア(北)へ渡ります。
曇り空の下を、隊列を組んで。
この絵はその七十二候のタイトル通り、
北へ旅立つ雁を描いたものです。
薄墨で全体の形をとってから、
濃墨で表現できる部分・・・
羽根や頭部などを
その際の墨の滲みを利用しつつ
描いています。
彼らが北へ渡るのは、
生きるため。
冬へ冬へと向かう強さと美しさ、
そして寂しさ儚さをまとい、
空路を行く雁達。
彼らはその低い空が
よく似合います。
それから・・・、
その北の国へ、
「平和」も届けてほしいなと思います。
●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 黒
マット色 – 薄グレー
*著作権は八束徹に帰属します。
絵のダウンロードや無断転載はお控えください。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/04/4-9.jpg)
今回話したのは、
- 七十二候・鴻雁北(こうがんきたへかえる)
- 水墨画で描いた鴻雁北(こうがんきたへかえる)
についてでした。
次の七十二候は、
清明末候 虹始見(にじはじめてあらわる)です。