こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
山茶始開(つばきはじめてひらく)とは、
山茶花(サザンカ)が咲き始めるという意味です。
冬景色になじむあの赤い花は、
ツバキでしょうか?
サザンカでしょうか?
この二つの花がよく似ているのは
何故なのでしょうか。
この記事では、その山茶始開、
そして今回描いた水墨画、
について話していきます。
11月7日から11月11日頃の七十二候は、
立冬初候 山茶始開(つばきはじめてひらく)です。
二十四節気は、立冬(りっとう)に変わります。
その立冬を3つに分けたうちの 1番目(初候)です。
目次
ツバキとサザンカの違い。その見分け方は?〜山茶始開(つばきはじめてひらく)について
ツバキとサザンカの違い
ここでは山茶と書いて、
ツバキと読ませていますが、
これはサザンカのこと。
サザンカとツバキは
同じツバキ科の花です。
そしてツバキの開花はもう少し後。
サザンカの漢字、山茶花は、
元々は「さんさか」と読むものだったのですが、
音位変換により、サザンカに変わりました。
これは例えば、新しい(あらたしい)が、
あたらしいと読むようになったのと同じで、
このように、あとから言いやすい言い方に
変わった言葉はたくさんあります。
雰囲気(ふんいき)も、
ふいんきって言っちゃいますよね。
さて、花も葉も似たような形をした、
赤いツバキとサザンカ。
一番わかりやすい見分け方は、
花の散り方です。
サザンカはよくあるように、
花びら一枚一枚が散りますが、
ツバキは花が首からもげて
ごろっと地面に落ちます。
(そんなツバキの花の散り方が、
生首が落ちた姿を思い起こさせるため
武士に嫌われていたという話も有名です。
その赤はさらに、血を連想させます。)
それから、葉っぱのギザギザの部分や
葉脈にも微妙な違いがあります。
ただそもそも野生のサザンカは、
白に薄い桃色が滲んだもので、
赤いのは園芸品種(品種改良されたもの)です。
その中にはピンクや真っ白なものもあります。
対するツバキも、元々は原種の赤色のみ。
それが改良されて色や形が変わったものが、
今の世に浸透しているのです。
咲き方も、ツバキの花びらは筒状で、
サザンカはもっと開く、といった特徴も、
それぞれ改良されたものを合わせると
なかなか見分けがつきませんが、
どちらも野生種のものばかりなら、
細かく違いを探す必要はなかったのです。
サザンカの花言葉
花言葉は、野生種から園芸品種のものまで
それぞれあるのですが、
全般的には、
「ひたむき」
「困難に打ち勝つ」
といったもの。
暦は初冬に入り、寒さは厳しくなっていきます。
それを知る者にとって、
この言葉たちは心強いものです。
迎えた季節もそうですが、
どうにかこうにか生きている私達の前には
冬のような厳しい現実は
遠慮なく現れます。
命ある限り決して途切れない道を
そんな現実に負けて見失わないようにと
励ます言葉でもあるのではないでしょうか。
もう一度目を凝らして、
諦めずにその道を探しましょう。
「ひたむき」
「困難に打ち勝つ」
サザンカの花がまるで道標のように
そこに咲き誇っているのが見えるはずです。
水墨画で七十二候を描く〜山茶始開(つばきはじめてひらく)
「ヤブサザンカ」とも呼ばれる、
野生の山茶花を描きました。
おそらく改良されたものの方が
見慣れているかと思いますが、
野生のサザンカの花びらは
八重咲きや筒状ではなく、
ねじれながら開いています。
花自体も葉っぱより大きめです。
葉っぱも本当はもっと
密集しているのですが、
水墨画でそれをやると
絵自体がうるさくなってしまいます。
省き方が難しいのが、
水墨画の楽しいところです。
さてサザンカが咲いたら
来たる冬に向けて、
冬支度を始めましょうか。
まとめ
今回話したのは、
- 七十二候・山茶始開
- 水墨画で描いた山茶始開(つばきはじめてひらく)
についてでした。
次の七十二候は、
立冬次候 地始凍(ちはじめてこおる)です。