こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
梅子黄(うめのみきばむ)とは、
梅の実が黄ばんで熟すという意味です。
梅雨入りとともに実を熟す梅。
雨に濡れた地面に転がる梅の実の哀愁も、
この初夏の風物詩です。
この若い梅が落ちるのは、
「生理落下」によるものです。
この記事では、
そんな梅子黄、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
*6月16日から6月20日頃の七十二候は、
芒種末候 梅子黄(うめのみきばむ)です。
二十四節気では、芒種(ぼうしゅ)。
その芒種を3つに分けたうちの3番目(末候)です。
目次
七十二候・梅子黄(うめのみきばむ)
長い梅雨に育つ梅の実と生理落下
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/06/1-9.jpg)
梅といえば梅の花も美しいですが、
七十二候で取り上げられている梅は、
この梅の実のほうです。
ちょうどこの長い雨季に実を宿すことから、
梅雨という呼び名ができた
という説もあります。
ところで熟す前に落ちてしまう
梅があるのはご存知ですか?
黄色く若い梅が地面に落ち
潰れているのを見たことはないでしょうか。
これは梅の木が自分では支えきれない実を、
放棄してしまうからなのです。
これを梅の木の生理落下といいます。
そこでふるい落とされなかった梅が、
やがて熟して収穫されて、
私達の食卓に運ばれてくるというわけですね。
熟した梅は、梅干しなどに使われますが、
まだ若い未熟な梅には
青酸が含まれているので、
そのまま食べちゃダメだそうです。
熟してしまえばその毒成分は
分解されるらしいですが、
まあ、とはいえそれだって、
梅をそのまま食べることって
ない気がしますけどね。
家庭の味の一つ〜酸っぱい酸っぱい梅干し
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/06/4-5.jpg)
やはり梅といえば梅干し・・・
ではないでしょうか。
現代では家庭の味のひとつとして
食卓に当たり前のように乗っています。
しかしそれは現代の感覚であり、
高級品だった梅干しが
庶民の手に届くようになったのは
江戸時代に入ってからだったのです。
まあ、今でも梅干しは高いですけどね。
冬から初春にかけての、
梅の花を楽しむのが一般的ですが、
梅の実の揚々と熟れた様子も、
地に落ちて潰れているわびしい姿も、
また季節を感じさせてくれるものです。
季節は常に人の暮らしに
寄り添っています。
しとしと振り続ける梅雨と、
雨音が響く静かで少し暗い台所。
あったかい白いご飯と
酸っぱい酸っぱい梅干し。
近くにいても離れていても、
忘れてはいけないものがあると。
それを思い出させてくれるのが
季節というものなのでしょうね。
【作品紹介】水墨画で七十二候を描く〜梅子黄(うめのみきばむ)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2023/01/umenomikibamu-e1685279306170.jpg)
今回描いたのは、
梅の木になっている梅の実です。
濃墨で手前のみを描いて、
奥の重なり合う実は
先隈で描いています。
濃墨だけでは、
真っ黒な丸が重なるだけに
なってしまいますからね。
あとはその筆で葉を足し、
太い枝を足し、
また濃墨で葉脈と細い枝を入れています。
枝はかすれが出たほうが
「水墨画」になります。
ところで私の母は、毎年
庭の梅の木から収穫した梅で
梅干しを作っていて、
私のところへも送ってきてくれます。
この絵の梅も、
そんな母が梅干しを作る姿を
想像しながら描きました。
絵の技法も覚えて自慢するためではなく、
相手に想いを伝えるために学ぶものです。
そんな母に画家としてのこの想いが
伝わるかどうかは、
私には決められないんですけどね。
まだ足元にも及びませんが、
その愛情に近づけるだけの成長を、
私はいつも目指しています。
それはそうと
ずっと梅干しの話をしてたら、
なんか唾が溜まってきちゃいました。
●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 白
マット色 – 薄藤
*著作権は八束徹に帰属します。
絵のダウンロードや無断転載はお控えください。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/08/6-1.jpg)
今回話したのは、
- 七十二候・梅子黄(うめのみきばむ)
- 水墨画で描いた梅子黄(うめのみきばむ)
についてでした。
次の七十二候は、
夏至初候 乃東枯(なつかれくさかるる)です。
二十四節気が、夏至(げし)に変わります。