夏鳥・ツバメはいつまで日本にいる?|玄鳥去(つばめさる)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

玄鳥去(つばめさる)とは、
燕が南へ帰って行くという意味です。

ツバメはいつまで
日本にいるのでしょうか。

夏の終わりとともに、
暑さは次第に消えていきます。
私達がその秋の過ごしやすさに
胸を撫で下ろしている間に、
子育てを終えた夏鳥のツバメは
暖かい地へと旅立つのです。

9月18日から9月22日頃の七十二候は、
白露末候 玄鳥去(つばめさる)です。

二十四節気は、白露(はくろ)
その白露を3つに分けたうちの 3番目(末候)です。

この記事では、その玄鳥去、
今回描いた水墨画、

について話していきます。

夏鳥・ツバメはいつまで日本にいる?|玄鳥去(つばめさる)

ツバメの旅立ち〜去っていった夏

ツバメは夏鳥です。
暖かい場所へ移動しながら、
暮らしています。

春の七十二候、玄鳥至
(つばめきたる)にて
日本へ渡ってきたツバメは、

夏の間に2度の子育てを終えて、
夏が過ぎるとまた、
暖かい地を求めて去っていきます。

夏鳥のツバメは夏の風物詩。

夏の間の青い空を旋回する姿は、
太陽の日差しをさえぎり、
その影を落としました。

それもまた、夏の情景の一つです。

普段見かけるツバメは
少数なものが多いですが、
それはそれぞれが巣を作り、
それぞれの家族を守っているから。

その巣を私達人間は、
夏の間ずっと見守ります。
軒先の巣を壊したりはしません。

畑や田んぼの害虫を
食べてくれるツバメに、
農夫達は感謝を続け、
ともにそれぞれの暮らしを重ねた夏は、
もう終わってしまったのです。

大群で海を渡る〜南へ向かうツバメ達

普段は少数で行動するツバメも、
海を渡る時は、
数千〜数万羽の集団
飛んでいきます。

主に小雨や曇り空の日に、
照りつける太陽を避けながら
雲の下を飛んでいきます。

もう自分達の出番は
終わりだと立ち去って、
私達に次の季節を残していくのです。

この時期は曇り空が多いですね。 

行ってしまった夏と、
巣立っていく雛たち。

夏の休暇も終わり残された者は、
旅立つツバメに、
また故郷を離れる誰かさんを
重ねているかもしれません。

秋の薄暗い玄関口。
がらんとした茶の間。
またしばらく使わない食器。
聞こえない笑い声。

やがてくる寒い冬。

また来年も来いよと、
もう影の見えない空に
いつまでも手を振りながら。

【作品集】水墨画で七十二候を描く〜玄鳥去(つばめさる)

今回は、子育て中のつばめと
雛鳥を描きました。

巣で餌を待つ雛鳥と、
餌を運んできた親鳥。

まず親鳥から描いています。

濃墨で、右の羽根、頭、尾を描き、
左の羽根は奥行きを出すために
先隈で中墨を利用して描いています。

雛鳥は柔らかさを出すために
すべて中墨、嘴だけ線で
輪郭をとっています。

この雛達も、夏が終わると
曇り空の下を旅立っていきます。

ぼやけたあの海の水平線の上を、
今頃はもしかしたら
そんなツバメ達が渡っているのでしょうか。

ツバメが行ってしまうと
過ぎ去った夏が
ふと恋しくなります。

あれだけ暑くて暑くて、
早く終わってほしかった夏が、
今更になって恋しくなるのです。

●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 白
マット色 – 薄藤


*著作権は八束徹に帰属します。
絵のダウンロードや無断転載はお控えください。

まとめ

今回話したのは、

についてでした。

次の七十二候は、
秋分初候 雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)です。
二十四節気は、秋分(しゅうぶん)に変わります。