こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
玄鳥去(つばめさる)とは、
燕が南へ帰って行くという意味です。
ツバメはいつまで
日本にいるのでしょうか。
夏の終わりとともに、
暑さは次第に消えていきます。
私達がその秋の過ごしやすさに
胸を撫で下ろしている間に、
子育てを終えた夏鳥のツバメは
暖かい地へと旅立つのです。
9月18日から9月22日頃の七十二候は、
白露末候 玄鳥去(つばめさる)です。
二十四節気は、白露(はくろ)。
その白露を3つに分けたうちの 3番目(末候)です。
この記事では、その玄鳥去、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
目次
夏鳥・ツバメはいつまで日本にいる?|玄鳥去(つばめさる)
ツバメの旅立ち〜去っていった夏
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/09/2-8.jpg)
ツバメは夏鳥です。
暖かい場所へ移動しながら、
暮らしています。
春の七十二候、玄鳥至
(つばめきたる)にて
日本へ渡ってきたツバメは、
夏の間に2度の子育てを終えて、
夏が過ぎるとまた、
暖かい地を求めて去っていきます。
夏鳥のツバメは夏の風物詩。
夏の間の青い空を旋回する姿は、
太陽の日差しをさえぎり、
その影を落としました。
それもまた、夏の情景の一つです。
普段見かけるツバメは
少数なものが多いですが、
それはそれぞれが巣を作り、
それぞれの家族を守っているから。
その巣を私達人間は、
夏の間ずっと見守ります。
軒先の巣を壊したりはしません。
畑や田んぼの害虫を
食べてくれるツバメに、
農夫達は感謝を続け、
ともにそれぞれの暮らしを重ねた夏は、
もう終わってしまったのです。
大群で海を渡る〜南へ向かうツバメ達
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/09/1-8.jpg)
普段は少数で行動するツバメも、
海を渡る時は、
数千〜数万羽の集団で
飛んでいきます。
主に小雨や曇り空の日に、
照りつける太陽を避けながら
雲の下を飛んでいきます。
もう自分達の出番は
終わりだと立ち去って、
私達に次の季節を残していくのです。
この時期は曇り空が多いですね。
行ってしまった夏と、
巣立っていく雛たち。
夏の休暇も終わり残された者は、
旅立つツバメに、
また故郷を離れる誰かさんを
重ねているかもしれません。
秋の薄暗い玄関口。
がらんとした茶の間。
またしばらく使わない食器。
聞こえない笑い声。
やがてくる寒い冬。
また来年も来いよと、
もう影の見えない空に
いつまでも手を振りながら。
【作品集】水墨画で七十二候を描く〜玄鳥去(つばめさる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2023/01/tsubamesaru-e1685282718300.jpg)
今回は、子育て中のつばめと
雛鳥を描きました。
巣で餌を待つ雛鳥と、
餌を運んできた親鳥。
まず親鳥から描いています。
濃墨で、右の羽根、頭、尾を描き、
左の羽根は奥行きを出すために
先隈で中墨を利用して描いています。
雛鳥は柔らかさを出すために
すべて中墨、嘴だけ線で
輪郭をとっています。
この雛達も、夏が終わると
曇り空の下を旅立っていきます。
ぼやけたあの海の水平線の上を、
今頃はもしかしたら
そんなツバメ達が渡っているのでしょうか。
ツバメが行ってしまうと
過ぎ去った夏が
ふと恋しくなります。
あれだけ暑くて暑くて、
早く終わってほしかった夏が、
今更になって恋しくなるのです。
●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 白
マット色 – 薄藤
*著作権は八束徹に帰属します。
絵のダウンロードや無断転載はお控えください。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/09/3-6.jpg)
今回話したのは、
についてでした。
次の七十二候は、
秋分初候 雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)です。
二十四節気は、秋分(しゅうぶん)に変わります。