なぜ高地では先に霧が生まれるのか。下界から見上げる避暑地〜七十二候・蒙霧升降(ふかききりまとう)

相変わらず暑さの続く日々。
標高の高い土地では、
深い霧が立ち始めます。

下界から見上げるそれは、
まるで別世界のようです。

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

8月18日から8月22日頃の七十二候は、
立秋末候 蒙霧升降(ふかききりまとう)です。
二十四節気では、立秋(りっしゅう)
その立秋を3つに分けたうちの3番目(末候)です。

この記事では、その蒙霧升降、
そして今回描いた水墨画、

について話していきます。

なぜ高地では先に霧が生まれるのか。下界から見上げる深き霧〜蒙霧升降(ふかききりまとう)

高原を白く包む霧〜蒙霧の読み方は?

蒙霧升降(ふかききりまとう)とは、
深い霧が立ち込めるという意味です。

さて、残暑見舞いをしたためる、
まだまだ暑さの続くこの時期に
深き霧などどこにあるのでしょうか。

今はまだ暑い熱気と湿気が
辺りを埋め尽くし、
朝晩に吹くほんの少しの風と
天気雨が、わずかな涼しさを
運んでくれるだけの日々です。

蒙霧升降の蒙霧は「もうむ」と読み、
立ち込める霧のことをいうのですが、

この時期に「深き霧」をまとうのは、
標高の高い場所
例えば高原の避暑地山里など。 
下界では秋が深まるまで
待つしか
ありません。

標高の高い場所ほど気温は低いのです。
高い山の残雪を考えたら
納得がいきますね。

残暑を避けて標高の高い場所を尋ねれば
霧に包まれて白くぼやけた自然の景色が
あなたを迎えてくれることでしょう。

その情景を思うだけで、
気分的にですが、涼しくなるような気がしますね。

するといいな。笑

なぜ高原は涼しいのか〜霧と霞の違い

太陽に近くなる分、
暑くなるのではと考えられがちですが、

標高が高い場所は空気が薄くなり、
そのぶん気圧も下がり、
その性質上、気温も下がるというわけです。

霧は地表の空気が冷やされて、
水蒸気が凝結してできた
細かい水滴の集まりです。

要するに高原は気温が低い場所だから、
霧ができるわけです。

避暑地と呼ばれる場所がどこにあるか、
調べてみたら納得だと思います。

これから秋が深まるほどに
標高の低い場所の空気も
冷えるようになり、
深い霧が朝夕に立ち始めますが、
それはもう少し先の話。

ちなみに同じ現象でも、
春は(かすみ)、
秋は(きり)
と呼ばれます。 

霞は春の季語
霧は秋の季語です。

水墨画で七十二候を描く〜蒙霧升降(ふかききりまとう)

静かに佇む沼と、その奥に望む山々が
深い霧で霞んでいます。

まず手前の地面を濃墨で描いてから、
手前の沼と奥の山並みを薄墨で描き、
それが乾く前に、中墨、濃墨の順で
木々を描いています。

薄墨が乾く前なので墨が滲むのと、
さらに濃墨も薄墨に沈んで
少し色が薄くなります。

これで霧にぼやけた様子と
遠近感の両方を
同時に演出することができます。

これが水墨画の技法の面白いところです。

さて、二十四節気はすでに立秋後半。

残暑にうなだれながら
下界に暮らす身としては、
見上げた遠い山の向こうの
一足早いその白い霧模様に
憧れてしまいますね。

過ごしやすい秋の霧は
まだ下界では幻ですから。

霧を用いて勇み足で詠まれた、
秋の歌でごまかすばかりです。

まとめ

今回話したのは、

  • 蒙霧升降(ふかききりまとう)
  • 水墨画で描いた蒙霧升降(ふかききりまとう)

についてでした。

次の七十二候は、
処暑初候 綿柎開(わたのはなしべひらく)です。

二十四節気は、処暑(しょしょ)に変わります。