こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
綿柎開(わたのはなしべひらく)とは、
綿を包む萼(がく)が開くという意味です。
綿の実が開くと、
中から白いふわふわとした
綿(ワタ)の繊維が顔を出します。
これが木綿です。
この木綿が「綿の花」と呼ばれていて、
この七十二候も、
それについて語られています。
この記事では、その綿柎開、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
8月23日から8月27日頃の七十二候は、
処暑初候 綿柎開(わたのはなしべひらく)です。
二十四節気は、処暑(しょしょ)に変わります。
その処暑を3つに分けたうちの1番目(初候)です。
目次
綿の実が産む、人を温めるふわふわの「木綿」〜綿柎開(わたのはなしべひらく)
実が開き、生まれてくる綿の花〜木綿
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萼(がく)とは、花や実の根元に付いている、
茎と花の間にある葉のようなもので、
これは花を支え守る役割を
担っています。
「柎」の字も同じような意味を持ちます。
この萼が開いて白い綿(木綿)が
生まれるのです。
実際の綿の花は、
七月から八月に咲く夏の花であり、
先にその花が咲いたあとに
綿は実をつけます。
そしてこの時季になるとその実が開き、
製綿の材料となる木綿が
生まれてくるわけです。
その様子を、七十二候において
綿柎開(わたのはなしべひらく)と
名付けているのです。
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/08/2-5.jpg)
まるで羊毛のように、
白くふわふわした木綿。
それは加工されて、衣類やタオル、
枕などに使われていきます。
大昔、その栽培方法を知らなかった
ヨーロッパの人々は、
輸入されてくるその木綿が、
羊がなる木から生まれていると
本気で思っていたそうです。
その様子を想像して描かれた絵が
あるくらいです。
ドイツなどではその名残で、
今でも綿のことを
Baumwolle(バオムヴォレ)とよんでいます。
訳すと木のウール。
ウールは羊毛のことですね。
日本国内での綿の生産は
江戸時代に大きく栄え、
そこから生まれた衣類などが、
一般人に定着するようになりました。
そのふっくらとした暖かい性質から、
当時、次の季節の寒さをしのぐためには
とてもありがたいものでした。
暖房器具に頼れる現代では
そのありがたみも薄れがちですが、
当時の人々は、萼(がく)が開いて
綿(わた)が生まれてくる
その様子を見届けながら、
いずれ来る寒い季節への拠り所を
見いだそうとしていたのかも
しれません。
太陽の下で色を変える綿の花〜花
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/08/6-2.jpg)
実をつける前に咲く綿の花。
これはまだ木綿の誕生には
少し早い時期の話です。
花の開花時期は七月から八月で、
夏真っ盛りの中で咲きます。
綿の花はクリーム色をしていますが、
それがなんと開花の次の日には
ピンク色に変わります。
まず、開花初日にクリーム色の花が開き、
その日の夕方から夜にかけて
色を変えるのです。
綿の花が色を変える原因は、
夏の暑さと紫外線です。
紫外線をカットした状態で咲いた綿の花は、
翌日もクリーム色のままという
研究結果もあります。
綿の花はその花を咲かせた翌日には、
ピンク色になった状態でしぼみ、
やがて散ってゆきます。
そして、実をつけ、木綿の誕生へとつながっていくのです。
その花の終わりも、
新しい実の誕生もまた、
私達に季節の移り変わりを
見せてくれるのです。
水墨画で七十二候を描く〜綿柎開(わたのはなしべひらく
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/08/img_9272.jpg)
これは、濃墨で萼から描き始めて、
中墨で葉っぱ、濃墨で枝、葉脈、
そして薄墨で、木綿を描いています。
こういう絵の場合は、枝がクロスしたり、
葉が重なったりも気にしながら描くと
奥行きが出ます。
日本の綿の生産は、
明治時代以降になると
そのほとんどを輸入に頼るようになり、
ほぼ皆無となってしまいました。
そんな綿の栽培ですが、
現在、宮城県では東日本大震災の
復興プロジェクトの一環として、
その栽培が復活しています。
田畑を失った地元農家への
救済策として。
人の心を温め直すために、
木綿が再び活躍しているのです。
私のこの絵も、
何かの役に立てたいです。
まとめ
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今回話したのは、
- 七十二候・綿柎開
- 水墨画で描いた綿柎開(わたのはなしべひらく)
についてでした。
次の七十二候は、
処暑次候 天地始粛(てんちはじめてさむし)です。