こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
乃東枯(なつかれくさかるる)とは、
ウツボグサが枯れるという意味です。
乃東(なつかれくさ)とは
「夏に枯れて見える草」なので
夏枯草(なつかれくさ)と呼ばれています。
現在の呼び名はウツボグサ。
それを乾燥させたものをカゴソウと呼び、
薬草としても利用され、
利尿作用を持つ
漢方薬の材料の一つでもあります。
この記事では、その乃東枯、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
*6月21日から6月25日頃の七十二候は、
夏至初候 乃東枯(なつかれくさかるる)です。
二十四節気は、夏至(げし)に変わります。
その夏至を3つに分けたうちの1番目(初候)です。
目次
七十二候・乃東枯(なつかれくさかるる)
漢方薬としての価値が高いウツボグサ
ウツボグサには利尿作用があるため、
尿管結石や膀胱炎など、
利尿を促したい病気の際に
煎じて薬草茶として飲まれたり、
消炎剤(炎症を抑える外用薬)
として使われたり。
また、漢方薬の材料として
他の薬草と配合することで、
さらなる効果を持つ薬になります。
現代ではそのほとんどが
中国からの輸入に頼っていますが、
きっと大昔の人々は、
ウツボグサが褐色に変わると、
また薬が作れる、
病を治せると、
しとしとと降り続ける梅雨空の下で
そんな思いと希望を
胸に宿していたのかもしれません。
夏が来ると花が枯れる?
乃東とはウツボグサの昔の呼び方で、
乃草はだいとうとも呼びます。
ウツボグサはジャンル的に
花穂(かすい)にあたり、
軸に沿っていくつもの
美しい紫の花を咲かせます。
日当たりの良い土手や
道端にも咲いています。
(花穂とは、ススキや紫蘇の花などのように、
軸に沿っていくつもの蕾が開く花です。
リンドウやオオバコなどもそうですね)
ウツボグサは下から順に花を咲かせて、
それぞれ2〜3日で
順に枯れていきます。
そのため、その名の通り
夏枯れ草とも呼ばれるように
なりました。
その花の美しさもさることながら、
人の暮らしに強く根付き、
七十二候の一つに選ばれたのは、
薬草としての価値が
主な理由ではないでしょうか。
水墨画で七十二候を描く〜乃東枯(なつかれくさかるる)
まだ枯れる前の、
花びらをつけたウツボグサを
描きました。
軸の部分を濃墨をつけた
さばき筆で描いて、
花びらを薄墨や先隈で描いています。
茎は濃墨、葉っぱを中僕でかき、
追加で雰囲気を出すために、
イネ科の夏草を付け足しています。
ウツボグサは都会であまり見かけませんが、
郊外では道端や草地に自生する野草です。
要は雑草にジャンル分けされている花と
いうことですが、
今回、漢方薬に使われていることを知れば、
イメージも変わったのでないでしょうか。
花といえば、観賞用に選ばれたものばかりが
美しいとされがちですが、
野生する花々にも、
それぞれ美しさが備わっています。
ひと一人一人にそれぞれ人生があるのと
同じですね。
まとめ
今回話したのは、
- 七十二候・乃東枯(なつかれくさかるる)
- 水墨画で描いた乃東枯(なつかれくさかるる)
についてでした。
次の七十二候は、
夏至次候 菖蒲華(あやめはなさく)です。