こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
乃東枯(なつかれくさかるる)とは、
ウツボグサが枯れるという意味です。
乃東(なつかれくさ)とは
「夏に枯れて見える草」なので
夏枯草(なつかれくさ)と呼ばれています。
現在の呼び名はウツボグサ。
それを乾燥させたものをカゴソウと呼び、
薬草としても利用され、
利尿作用を持つ
漢方薬の材料の一つでもあります。
この記事では、その乃東枯、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
*6月21日から6月25日頃の七十二候は、
夏至初候 乃東枯(なつかれくさかるる)です。
二十四節気は、夏至(げし)に変わります。
その夏至を3つに分けたうちの1番目(初候)です。
目次
七十二候・乃東枯(なつかれくさかるる)
漢方薬としての価値が高いウツボグサ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/08/5-2.jpg)
ウツボグサには利尿作用があるため、
尿管結石や膀胱炎など、
利尿を促したい病気の際に
煎じて薬草茶として飲まれたり、
消炎剤(炎症を抑える外用薬)
として使われたり。
また、漢方薬の材料として
他の薬草と配合することで、
さらなる効果を持つ薬になります。
現代ではそのほとんどが
中国からの輸入に頼っていますが、
きっと大昔の人々は、
ウツボグサが褐色に変わると、
また薬が作れる、
病を治せると、
しとしとと降り続ける梅雨空の下で
そんな思いと希望を
胸に宿していたのかもしれません。
夏が来ると花が枯れる?
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/06/1-10.jpg)
乃東とはウツボグサの昔の呼び方で、
乃草はだいとうとも呼びます。
ウツボグサはジャンル的に
花穂(かすい)にあたり、
軸に沿っていくつもの
美しい紫の花を咲かせます。
日当たりの良い土手や
道端にも咲いています。
(花穂とは、ススキや紫蘇の花などのように、
軸に沿っていくつもの蕾が開く花です。
リンドウやオオバコなどもそうですね)
ウツボグサは下から順に花を咲かせて、
それぞれ2〜3日で
順に枯れていきます。
そのため、その名の通り
夏枯れ草とも呼ばれるように
なりました。
その花の美しさもさることながら、
人の暮らしに強く根付き、
七十二候の一つに選ばれたのは、
薬草としての価値が
主な理由ではないでしょうか。
水墨画で七十二候を描く〜乃東枯(なつかれくさかるる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/06/img_3228.jpg)
まだ枯れる前の、
花びらをつけたウツボグサを
描きました。
軸の部分を濃墨をつけた
さばき筆で描いて、
花びらを薄墨や先隈で描いています。
茎は濃墨、葉っぱを中僕でかき、
追加で雰囲気を出すために、
イネ科の夏草を付け足しています。
ウツボグサは都会であまり見かけませんが、
郊外では道端や草地に自生する野草です。
要は雑草にジャンル分けされている花と
いうことですが、
今回、漢方薬に使われていることを知れば、
イメージも変わったのでないでしょうか。
花といえば、観賞用に選ばれたものばかりが
美しいとされがちですが、
野生する花々にも、
それぞれ美しさが備わっています。
ひと一人一人にそれぞれ人生があるのと
同じですね。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/06/4-6.jpg)
今回話したのは、
- 七十二候・乃東枯(なつかれくさかるる)
- 水墨画で描いた乃東枯(なつかれくさかるる)
についてでした。
次の七十二候は、
夏至次候 菖蒲華(あやめはなさく)です。