菊の花は縁起が悪い?辛気臭い?|菊花開(きくのはなひらく)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

菊花開(きくのはなひらく)とは、
菊の花が咲くという意味です。

お葬式のイメージが強いため、
菊の花は縁起が悪いとか
辛気臭いなどと思われがちです。

しかし、菊の花は古来より
皇室の紋章にも使われ、
人々に愛されてきた花なのです。

この記事では、その菊花開、
そして今回描いた水墨画、

について話していきます。

10月13日から10月17日頃の七十二候は、
寒露次候 菊花開(きくのはなひらく)です。
二十四節気では、寒露(かんろ)
その寒露を3つに分けたうちの 2番目(次候)です。

菊の花は縁起が悪い?辛気臭い?|菊花開(きくのはなひらく)

なぜ菊はネガティヴなイメージを持つのか

菊の紋章が、皇室の家紋
使われていることもあり、
皇族をはじめ、国に準ずる施設、
団体などの紋章にも、
菊が多く使われています。

そういった経緯で戦時中にも
よく活躍した紋章なので、
物々しいイメージがついてしまい、
それが今の平和な時代に
縁起の悪さという錯覚
呼び起こしているのかもしれません。

菊の花言葉は、高貴・高潔・高尚。
平安時代から皇室に愛されて
その紋章にもなっていることから
葬式や墓参りなどで使われるようになったと
言われています。

江戸時代の最も知られた家紋は、
徳川家の葵紋ですが、
幕府は葵紋の一般市民の利用を
制限
していました。
その反面、菊に関しての規制はゆるく、
重陽の節句(菊の節句)や、
和菓子や仏具のデザインなど、
人々の生活に浸透していたのです。

そんな経緯もあり、
菊は人々に広く知られ
愛されてきた花
なのです。

その菊の花を、亡くなった家族や
愛する人に供える

9月9日の重陽の節句で
菊酒を呑み、
無病息災を願う

これを考えたら、何一つ
縁起の悪い花などではないことが
わかると思います。

菊の種類、菊の時期

菊はおおまかに、
大菊、中菊、小菊
大きさで分類することができます。

大菊は花の経が20センチくらいの
大輪(たいりん)の花で、
中菊は径10センチくらいのもので、
どちらも品種改良されたものです。

花びらが丸まったり、長くなったり、
細くなったり、くねって垂れたり、
いろんな色を持っていたり。
そういった、大きくて派手な菊のことです。

さらに海外で鉢植え用に
品種改良された洋菊もあり、
マムと呼ばれています。

小菊は花が5センチ以下のものになり、
野生の菊は、ほとんどがこの小菊です。
菊花紋はこの小菊がモデルとなっています。

菊の栽培が盛んになったのは、
江戸時代になってからで、
古典菊と呼ばれる園芸品種が流行し、
その後明治時代に入ると
大輪のものが持て囃されるようになりました。
現代では洋菊を含め、
大菊中菊小菊をアレンジしたものを、
飾ったり、供えたりすることが多いですね。

菊は栽培品種と野菊を合わせると
実にたくさんの種類のものが
存在してい
ます。
各種類の菊を横に並べたら、
みんな違う花かと思うくらいに
いろんな形をしながら。

そんな菊の時期はちょうどこの秋頃ですが、
品種改良により、夏でも冬でも
開花させることができるように
なりました。

それも楽しさの一つではありますが、
花の開花時期が狂うのは、
風情がなくなることのように
感じたりもします。

この七十二候・菊花開が知らせてくれる
秋の装いを、
見逃さないようにしたいものですね。

水墨画で七十二候を描く〜菊花開(きくのはなひらく)

今回描いたのは、小菊に分類される
ハマギク」です。

品種改良された大菊・中菊の持つ、
「作られた美しさ」も良いのですが、
やはり私は、野菊としてこの季節に野生する
自然の力強さを伝えたいと思いました。

ハマギクは、秋の海岸を彩る菊の花で、
野生場所も、青森から茨城までと
限られて
います。
秋になり、花も少なくなると同時に、
人影も消える寒く寂しい海に
寄り添うようにして花を開かせます。

そして冬の厳しさに身を潜め、
次の春を待ちます。

人の暮らしのようですね。

ちなみに上記以外の場所に咲くハマギクは、
人工的に栽培されたものです。

出会うならばやはり、
遠い昔から野生する地が良いなと
私は思います。

まとめ

今回話したのは、

七十二候・菊花開
水墨画で描いた菊花開(きくのはなひらく)

についてでした。 

次の七十二候は、
寒露末候 蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)です。