こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
蚯蚓出(みみずいづる)とは、
蚯蚓が地上にはい出るという意味です。
土を掘ると出てくるミミズ。
頭も手足もないミミズを見下して
尿をかけると、
陰嚢(いんのう=キンタマ袋)が腫れる
などと昔から言います。
それはミミズが農家の人にとって
ありがたいことを
してくれているからです。
この記事では、その蚯蚓出、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
*5月10日から5月15日頃の七十二候は、
立夏次候 蚯蚓出(みみずいづる)です。
二十四節気では、立夏(りっか)。
その立夏を3つに分けたうちの2番目(次候)です。
目次
七十二候・蚯蚓出(みみずいづる)
土を耕してくれるミミズ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/06/2-2.jpg)
子供の頃には、石をどかしたり、
土を掘ったりしていると現れる
ミミズに顔をひそめたものでした。
ミミズは基本的に手も足も頭もないし、
あの見た目やニョロニョロした動きから、
気持ち悪がられたりしがちです。
けれど、実はミミズは意外なところで
人の役に立ってくれているんです。
ミミズは土の中で落葉や土の有機物を食べて、
それを栄養のある土として排泄します。
さらに土を掘ってトンネルを作ることで
土の中に酸素を入れてくれる形になり、
まさに農夫が鍬(くわ)で畑を耕すのと
同じようなことをしてくれているわけです。
だから、そんなミミズに小便をかけると
陰嚢が腫れるといわれてきたわけです。
これは、畑を耕してくれるミミズに
敬意を表する農家の気持ちから
なのではないでしょうか。
ミミズの恩恵を受けている野菜
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/07/5-6.jpg)
他にもミミズは、魚釣り用の餌や、
漢方薬にも使われています。
そして鳥やモグラ、
前回の七十二候にもなっている
カエルなど、たくさんの動物が
ミミズを食べます。
ただ、汚染された土を介した場合は、
そのミミズを食べた鳥を
人間がまた食べることにより、
害が及ぶという問題もありますが。
汚染してるのも人間なんですけどね。
ミミズに限らずこの世界の生き物は、
人間の暮らしに影響を与えています。
扱い次第では、良くも悪くもなるのです。
先ほど話したように、
ミミズが顔を出せば、
その周辺の土にはそのミミズが
養分をたくわえてくれている。
これから始まる畑仕事に、
やる気をくれる。
この七十二候、みみずいづるは、
その大切さをもう一度思い出そうよ、と、
そんな意味も
込められているのではないでしょうか。
水墨画で七十二候を描く〜蚯蚓出(みみずいづる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/05/img_2897.jpg)
今回は、畑の上を這うミミズを
思い出しながら描きました。
掘り起こされた土の中から現れた
ミミズの体は汚れています。
周囲には土まみれの小石が転がっています。
まずミミズの体を面で描いてから
周囲の土や小石など、
地面を表現するものを入れて、
最後に線で要所に輪郭を加えています。
あとあのミミズのくねくね、
特徴がありますよね。
描いてみるとなおよくわかりました。
あれも気持ち悪く思われる
原因のひとつですかね。
描いてるといろんな発見や
改めて気づくことがたくさんあります。
そうやって知識を得ていけるのも
絵の楽しさといえます。
そしてこれは、
鑑賞する側でも同じなんですよね。
さて、あの頃、畑仕事についていった
幼い日の私は
出てきたミミズに驚いていましたし、
もしかしたら、そのミミズを
木の枝から鳥が狙っていたかもしれません。
こんなふうにこの一枚の絵にも
物語が存在しているのです。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/06/1-4.jpg)
今回話したのは、
- 七十二候・蚯蚓出(みみずいづる)
- 水墨画で描いた蚯蚓出(みみずいづる)
についてでした。
次の七十二候は、
立夏末候 竹笋生(たけのこしょうず)です。