こんにちは。
水墨画家の八束徹です。
蚯蚓出(みみずいづる)とは、
蚯蚓が地上にはい出るという意味です。
土を掘ると出てくるミミズ。
そんなミミズに尿をかけると
陰嚢が腫れる
などと昔から言います。
それはミミズが農家の人にとって
ありがたいことを
してくれているからです。
この記事では、その蚯蚓出、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
*5月10日から5月15日頃の七十二候は、
立夏次候 蚯蚓出(みみずいづる)です。
二十四節気では、立夏(りっか)。
その立夏を3つに分けたうちの2番目(次候)です。
目次
ミミズにおしっこをかけるとアレが腫れる?|蚯蚓出(みみずいづる)
土を耕してくれるミミズ

私も子供の頃には、石をどかしたり、
土を掘ったりしていると現れる
ミミズに顔をひそめたものでした。
ミミズは基本的に手も足も頭もないし、
あの見た目やニョロニョロした動きから、
気持ち悪がられたりしがちです。
けれど、実はミミズは意外なところで
人の役に立ってくれているんです。
ミミズは土の中で落葉や土の有機物を食べて、
それを栄養のある土として排泄します。
さらに土を掘ってトンネルを作ることで
土の中に酸素を入れてくれる形になり、
まさに農夫が鍬(くわ)で畑を耕すのと
同じようなことをしてくれているわけです。
だから、そんなミミズに小便をかけると
陰嚢が腫れるといわれてきたわけです。
これは、畑を耕してくれるミミズに
敬意を表する農家の気持ちから
なのではないでしょうか。
ミミズの恩恵を受けている野菜

他にもミミズは、魚釣り用の餌や、
漢方薬にも使われています。
そして鳥やモグラ、
ひとつ前の七十二候にもなっている
カエルなど、たくさんの動物が
ミミズを食べます。
(汚染された土を介した場合は、
そのミミズを食べた鳥を
人間がまた食べることにより、
害が及ぶという問題もあり)
ミミズに限らずこの世界の生き物は、
人間の暮らしに影響を与えています。
扱い次第では、良くも悪くもなるのです。
先ほど話したように、
ミミズが顔を出せば、
その周辺の土にはそのミミズが
養分をたくわえてくれている。
これから始まる畑仕事に、
やる気をくれる。
この七十二候、みみずいづるは、
その大切さを忘れないように、と、
そんな意味も
込められているのかもしれません。
水墨画で七十二候を描く|蚯蚓出(みみずいづる)

地面を這うミミズを描きました。
描いてみてなおよくわかりましたが、
あのミミズのくねくね、
特徴がありますよね。
あれも気持ち悪く思われる
原因のひとつでしょうか。
描いてるといろんな発見や
改めて気づくことがたくさんあります。
そうやって知識を得ていけるのも
絵の楽しさといえます。
さて、あの頃、畑仕事についていった
幼い日の私は
土から出てきたミミズに驚いていましたし、
もしかしたら、そのミミズを
木の上から鳥が狙っていたかもしれません。
そんな物語がこの絵にも
存在しているのです。



