こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
蛙始鳴(かわずはじめてなく)とは、
蛙が鳴き始めるという意味です。
都会では馴染みがありませんが、
田舎では夜になると
カエルの大合唱が始まります。
そんなカエルの鳴き声もまた、
メスへの求愛なのです。
この記事では、その蛙始鳴、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
*5月5日から5月9日頃の七十二候は、
立夏初候蛙始鳴(かわずはじめてなく)です。
二十四節気は、立夏(りっか)に変わります。
その立夏を3つに分けたうちの1番目(初候)です。
目次
カエルの歌が聞こえる夜。なぜ蛙は鳴き続けるのか|蛙始鳴(かわずはじめてなく)
米農家では、田んぼに水を張り、
水田への田植えが始まる時期。
冬眠から目覚め、土から出てきた蛙が、
その水田やため池などの、
水の流れのない水辺に卵を産むのです。
暑くも寒くもないこの立夏の時期。
水田などの水辺では、
縄張り争いや、オスの求愛による
蛙の大合唱が始まります。
幼い頃、ひとり布団にもぐりこむと、
決まってそれが、その静まり返った田舎の夜に
響き渡っていました。
故郷を離れた今も、蛙の鳴き声を聞くと、
そんな夜のことを思い出します。
それからアマガエルは雨の気配に敏感で、
低気圧が近づいたり、雨になった場合にも
一斉に鳴き出します。
これはシャワーコールと呼ばれていて、
アマガエルがアマガエルと呼ばれる由縁
でもあります。
あの日、夕暮れの散歩のひとときや、
田んぼのあぜ道や星を見に外へ出る夜。
梅雨入りの物憂げな午後。
これから夏にかけてその美しい歌声が、
また大自然を包み込むことでしょう。
そんな夏の風物詩が始まる前の
最初の鳴き声が、この七十二候、
蛙始鳴(かわずはじめてなく)
というわけです。
あなたには聞こえますか?
今でも聞こえますか?
【作品紹介】水墨画で七十二候を描く〜蛙始鳴(かわずはじめてなく)
今回は、枝にしがみつく
アマガエルを描きました。
筆全体で体を描き、
線で輪郭を足しています。
すべてしっかりと描いてしまうと
水墨画の味わいがなくなるので、
最低限に留めます。
カエルは水の中でも陸でも生きれる
両生類ではありますが、
体が乾くと皮膚呼吸ができなくなり、
死んでしまいます。
なので常に体が湿っている状態です。
それを踏まえて、体を描く時は、
あまり乾筆にならないように、
しっかり筆に墨を含んでから描いています。
カエルを触ったことがあれば
わかると思います。
これから触ってみようって場合は、
カエルの皮膚には毒があるので、
触れた後はしっかり手を洗いましょう。
大人になるとそういう機会も
なかなかないですけどね。
それからアマガエルは
目のまわりに黒い模様があり、
これを描くことでわかりやすくなります。
こういう印象の強いところを逃さないのは、
どんな絵でも、、、
というか、何を表現する場合でも大切ですね。
求愛でもそうですよね。
必死な時は自分の少しでもいいところ、
一生懸命言うわけですからね。
カエルの必死なゲコゲコ(求愛)のように。
●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 白
マット色 – カレハ
*著作権は八束徹に帰属します。
絵のダウンロードや無断転載はお控えください。
まとめ
今回話したのは、
- 七十二候・蛙始鳴(かわずはじめてなく)
- 水墨画で描いた蛙始鳴(かわずはじめてなく)
についてでした。
次の七十二候は、立夏次候蚯蚓出(みみずいづる)です。