漢方の元、ナツカレクサが芽を出す時期は?|乃東生(なつかれくさしょうず)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

乃東生(なつかれくさしょうず)とは、
ナツカレクサが芽を出すという意味です。

ナツカレクサは、夏枯れ草と書き、
その名の通り夏に咲き、
夏に枯れる花です。
そしてその花の芽は、
この真冬に顔を出すのです。

この記事では、その乃東生、
そして今回描いた水墨画、

について話していきます。

12月22日から12月26日頃の七十二候は、
冬至初候 乃東生(なつかれくさしょうず)です。
二十四節気は、冬至(とうじ)に変わります。
その冬至を3つに分けたうちの1番目(初候)です。

漢方の元、ナツカレクサが芽を出す時期は?|乃東生(なつかれくさしょうず)

冬に芽を出すナツカレクサ

夏の七十二候・乃東枯(なつかれくさかるる)
対になっていて、
そちらではそのナツカレクサが枯れて、
こちらではナツカレクサが
芽を出します

冬至を迎え、寒さで植物が枯れていく、
灰色の野に顔を出します。

そんなナツカレクサは花穂(かすい)の花。

花穂とはシソ科に見られる、
稲穂のように咲く花のことです。

花を咲かせるのは冬を越した4月頃から。
下から順に咲き、上が咲く頃には、
下の花は褐色になり枯れていきます。
そして夏にはすべて枯れて、
ナツカレクサ」となるわけです。

乃東生は、冬至のあと、
乃東枯は、夏至のあと。

昼と夜の長さが対象になる
冬至と夏至の時期に、
枯れても芽吹いても
共に七十二候に選ばれる、
なにげに重要な位置にいたりする花です。

その割には、あまり馴染みのない花ですが、
季節の変わり目を知らせる植物として
記憶に残しておきたいところですね。

ナツカレクサはウツボグサの別名

ナツカレクサは古い名前であり、
今では、靫草(ウツボグサ)と呼ばれています。

靫(うつぼ)とは、弓矢を入れる容器のことで、
ナツカレクサが咲かせる花が
それに似ていたため、
ウツボグサと言う名前がつきました。

夏に花を枯らしたウツボグサは、
夏枯草(かこそう)の別名を持ち、
漢方薬として活躍します。

用途は利尿材やうがい薬など。

そうやって貴重とされてきた植物なのです。

ウツボグサはこの時期に芽を出しますが、
花を咲かせるのは、夏になってから
6〜8月がそのピークです。

冬本番に誕生し、夏まで生き延びて
花を咲かせるその習性は、

当時の人々には、
厳しい冬を共に越してくれる
希望にさえ見えていたのかもしれません。

水墨画で七十二候を描く〜乃東生(なつかれくさしょうず)

乃東枯のほうで同じものを描いたので、
今回は冬至から、カボチャを描きました。

畑のものは、その太いつるや大きな葉が
印象的です。
そこをしっかり描くことで、
生まれてきた力強さを、より表現できます。

日本のカボチャはカンボジア経由で
日本にもたらされたとされていて、
カンボジアが訛ってカボチャという呼び名に
なったといわれています。

洋名はパンプキンですね。
パンプキンパイなんていうと
おしゃれなイメージがありますが、
カボチャは、戦後日本でジャガイモとともに
貧しい国民の大事な食事となっていた、
そういった背景も持っています。

祖父に聞かされた戦争体験と、
その時代の家庭を支えた祖母。

カボチャはその生活の中にあったもの。

私には今でもそのイメージが強く、
拭い去れないのです。

まとめ

今回話したのは、

七十二候・乃東生
水墨画で描いた乃東生(なつかれくさしょうず)

についてでした。

次の七十二候は、
冬至次候 麋角解(おおしかのつのおつる)です。