立春に吹く風はどこから来る?氷を溶かす東風|水墨画で描く東風解凍(こちこおりをとく)

こんにちは。
水墨画家の八束徹です。

東風解凍(こちこおりをとく)とは、
東風が厚い氷を解かし始めるという意味です。

二十四節気・立春とともに
この日から「春」が始まります。
そんなこの時期に吹く最初の春風を
東風(こち)と呼びます。

そう、その名の通り、
その風は東からやってきます。

この記事では、そんな東風解凍
そして今回描いた水墨画、

について話していきます。

*2月4日から2月7日頃の七十二候は、
立春初候、東風解凍(こちこおりをとく)です。
二十四節気では立春(りっしゅん)
その立春を3つに分けたうちの1番目(初候)です。

立春に吹く風はどこから来る?氷を溶かす東風|東風解凍(こちこおりをとく)

立春に吹く風・東風(こち)

東風とは東から吹いてくる春の暖かい風
はるかぜとも読み、春の季語でもあります。
そんな少しだけ暖かい春風が吹いて、
凍った川や湖を溶かし始めるよ、と
東風解凍は、そう伝えているのです。

もちろん、まだまだ寒さは続く季節です。
なんせ2月の頭ですから。

ただ、はるかぜとは言っても、
あの眠くなる穏やかな暖かい風は
もう少し先の話です。
本格的な春への準備として、
ようやく氷を溶かせるだけの
風が吹き始める
わけですね。

七十二候では「こち」と読んでいますが、
読み方は他にもたくさんあります。

最初に言ったはるかぜ以外にも、
あゆ、こちかぜ、とうふう、など。
あゆは、越中国(富山県)の方言です。

そもそも「こち」と読む由来も諸説あり、
はっきりしていません。
地方の方言だけでなく、
和歌での詩的な表現にもよるようです。

それは春を告げる優しい風

寒さに負けじと咲き始めた梅も
春を告げています。
早ければ逆側(南)から
春一番の風も吹いてきます。
そしてその翌日にはまた寒くなったり。

一人歩く帰り道で、
少しだけ冬の冷たさが消えた?
そう感じる夜に、
東風はあなたにも
吹き付けている
のです。

そしてこの風がのちの七十二候、
魚氷出(うおこおりをいづる)に
繋がっていきます。

七十二候を水墨画で描く』|東風解凍(こちこおりをとく)

雪の積もる静寂の林を描きました。

外から見れば、雪化粧は美しいですが、
そこで暮らす人にとっては
想像以上に厳しいものです。

里で暮らす人達は
いつかやってくる春の訪れを
今か今かと待ち続けています。

東風解凍とは、そんな雪国の人々の
小さな希望のかけらでも
あるのかもしれません。

▶︎静かな手紙をお送りしています
ざわつく日々に、墨の余白と灯火を。