こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
水沢腹堅(さわみずこおりつめる)とは、
沢に氷が厚く張りつめるという意味です。
この時期になると冬の寒さも佳境を迎えて、
あたりに氷が張るようになります。
沢の水も然り。
冬の情景を探してみましょう。
この記事では、その水沢腹堅、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
1月25日から1月29日頃の七十二候は、
大寒次候 水沢腹堅(さわみずこおりつめる)です。
二十四節気では、大寒(だいかん)。
その大寒を3つに分けたうちの2番目(次候)です。
目次
沢の水も凍るほどの寒さ。凍るのは沢だけじゃない〜水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
寒さに凍る沢の水〜冬の情景
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/01/01-2.jpg)
「沢」とは、簡単に言うと、
川の小さいバージョンのことです。
山を水源として、
平地まで水が流れ続けて
大地へ広がっていくものが川、
山中だけで終わってしまうような
短い流れのものを沢、
と呼ぶ感じです。
日毎に寒さは増して、
朝晩の厳しさも佳境を迎えました。
一年で一番寒くなるこの大寒には、
北国に限らず気温が
氷点下に達する地域も多く、
東京でも雪が降る確率が高いのは
毎年このあたりからです。
そんな時期ですから、
凍るのは沢に限ったことではありません。
滝が凍れば氷瀑(ひょうばく)となり、
美しい冬の情景を見せてくれますし、
雨どいからの水はつららに変わり、
手水鉢にも薄氷が張ります。
土手の土も、歩けばしゃりしゃりと
音を立ててみたり。
全ては冬の造形美。
そのどれもが、胸に残る風情に
なり得るものです。
聞こえるのは寂しい冬の音ですが、
ほんの少しだけ耳を塞ぐのをやめて
冬の情景を探してみませんか?
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/01/02-2.jpg)
寒さから生まれた四字熟語〜大寒索裘(たいかんさくきゅう)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/01/04-1.jpg)
大寒にまつわる言葉で、
大寒索裘(たいかんさくきゅう)と
いうものがあります。
裘は「かわごろも」とも読み、
毛皮の衣のことで、
直訳すると、大寒にその獣皮の服を探す
という感じになります。
それを、
何の準備も対策もせず、
その時になってから慌てても
もう遅いよ
と例えた四字熟語です。
冬の寒さも対策を万全にしてこそ、
その景色を楽しめるというもの。
凍えて冬を嫌いにならないように、
季節に合わせた準備をして
冬の情景を望みたいものですね。
それでこそ次の春の優しさも
雪解けの美しさも
なお増していくはずですから。
「作品紹介」水墨画で七十二候を描く〜水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2023/01/sawamizukooritsumerum.jpg)
ここでいうキンセンカとは、
白い花びらをつける水仙のことです。
時期はずれなのですが、
なぜかこの時期の七十二候に
組み込まれています。
なので、描いたのは
粉雪に揺れる日本水仙です。
雪中花の別名通り、
雪景色にひっそりと浮かぶ姿を
描きました。
日本水仙は冬の海辺に咲く花。
誰もいない海に
流れ着いてくる人っているものです。
そういうことがあるものです。
群れからはぐれた悲しみが
その人が全てを投げ出す悲しみに
ならないようにと、
その花は咲いているのです。
寒く冷たい海辺で
強く美しく生きる姿を、
その人に見せるために
咲いているのです。
孤独を知る人のために
咲いているのです。
●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 白
マット色 – オフ白
*著作権は八束徹に帰属します。
絵のダウンロードや無断転載はお控えください。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2022/01/06.jpg)
今回話したのは、
七十二候・水沢腹堅
水墨画で描いた水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
についてでした。
次の七十二候は、
大寒末候 鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)です。