こんにちは。
水墨画家の八束徹です。
水沢腹堅(さわみずこおりつめる)とは、
沢に氷が厚く張りつめるという意味です。
この時期になると冬の寒さも佳境を迎えて、
あたりに氷が張るようになります。
沢の水も然り。
冬の情景を探してみましょう。
この記事では、その水沢腹堅、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
1月25日から1月29日頃の七十二候は、
大寒次候 水沢腹堅(さわみずこおりつめる)です。
二十四節気では、大寒(だいかん)。
その大寒を3つに分けたうちの2番目(次候)です。
目次
沢の水も凍るほどの寒さ。凍るのは沢だけじゃない〜水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
寒さに凍る沢の水〜冬の情景

「沢」とは、簡単に言うと、
川の小さいバージョンのことです。
山を水源として、
平地まで水が流れ続けて
大地へ広がっていくものが川、
山中だけで終わってしまうような
短い流れのものを沢、
と呼ぶ感じです。
日毎に寒さは増して、
朝晩の厳しさも佳境を迎えました。
一年で一番寒くなるこの大寒には、
北国に限らず気温が
氷点下に達する地域も多く、
東京でも雪が降る確率が高いのは
毎年このあたりからです。
そんな時期ですから、
凍るのは沢に限ったことではありません。
滝が凍れば氷瀑(ひょうばく)となり、
美しい冬の情景を見せてくれますし、
雨どいからの水はつららに変わり、
手水鉢にも薄氷が張ります。
土手の土も、歩けばしゃりしゃりと
音を立ててみたり。
全ては冬の造形美。
そのどれもが、胸に残る風情に
なり得るものです。
聞こえてくるのは寂しい冬の音ですが、
ほんの少しだけ耳を塞ぐのをやめて
冬の情景を探してみませんか?

寒さから生まれた四字熟語〜大寒索裘(たいかんさくきゅう)

大寒にまつわる言葉で、
大寒索裘(たいかんさくきゅう)と
いうものがあります。
裘は「かわごろも」とも読み、
毛皮の衣のことで、
直訳すると、大寒にその獣皮の服を探す
という感じになります。
それを、
何の準備も対策もせず、
その時になってから慌てても
もう遅いよ
と例えた四字熟語です。
水墨画で七十二候を描く|水沢腹堅(さわみずこおりつめる)

今回は、雪化粧を施した、
冬の山間を描きました。
油断すると足を取られてしまう雪山には、
葉を無くした枯れ木が
無造作に立ち並んでいます。
この侘しさは雪国を美しく見せる化粧であり、
そこで暮らすものには凍てつく刃となります。
寒い冬の生活の中で、わざわざこの場所に、
足を運ぶ住人はいません。
この帰り道さえ怪しい雪山に、
夢などありません。
寒く冷たい雪国は、今年も、まるで
イルミネーションのように紹介されながら、
身を縮めて雪解けの日を待ち続けます。


