こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)とは、
雨が降って土が湿り気を含む
という意味です。
この時期になると
優しい春の雨を受けて、
乾いた大地が潤い始めます。
その土の下では、
冬越しの虫たちや新芽が
本格的な春の訪れを
まだかまだかと待ち続けているのです。
この記事では、その土脉潤起、
そして今回描いた水墨画、
について話していきます。
*2月18日から2月22日頃の七十二候は、
雨水初候・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)です。
二十四節気では雨水(うすい)。
その雨水を3つに分けたうちの1番目(初候)です。
目次
七十二候・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/04/2.jpg)
北国の雪解けの名残がまだ残る田園。
雪は雨に変わり、土を潤し、
あたりに広がる湿った土の匂い。
その匂いに包まれながら、
とぼとぼと帰る学校からの帰り道。
もう傘はいらなくなった
雨上がりの夕方。
そんな子供の頃のことを思い出します。
田舎の子供ですから、
何も考えずに土を掘り起こして、
まだ準備のできていない小さな芽や、
眠り足りない虫たちを
起こしてしまったりもしたものです。
今では都会に暮らすようになり、
土の匂いを嗅ぐようなことも、
雨に変わった雪を
気にとめることもなくなってしまいました。
この土脉潤起が、この後の七十二候、
草木萌動(そうもくめばえいずる)や、
蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)に
繋がっていきます。
急かされる暮らしに一息ついて、
この早春の雨の音に耳を済ましたら、
その雨音の向こう側で、
もしかしたら、
もう少しで太陽の下に出れるね
そんなふうに冬眠中の虫たちが、
わくわくしながら話している声が
聞こえてくるかもしれません。
水墨画で七十二候を描く〜土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/12/77.jpg)
雨が雪を溶かし、土を濡らし、
雪化粧が泥にまみれながら剥がれていく。
水溜りにゆっくり落ちながら
溶けていく雪。
都会ではあまり見られない現象です。
雪国ではこんなふうに
雪解けの時期になると、
雨水や温かい風に溶け出した雪が、
あちこちで泥まみれになっています。
土なんかそのまま隠れていれば、
雪の絨毯も美しいままなのにと、
人は思うかもしれません。
汚いものは隠しておけと
綺麗な服を着ている人は言うかもしれません。
けれど雪国の人は、その泥まみれこそ、
美しさだと知っているのです。
私は時々考えます。
故郷を離れて長い今、
その小さな水溜りに自分の顔を写したなら、
今の本当の自分の姿が映るのではないか、と。
それで本当にいいのか?と。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/04/5.jpg)
今回話したのは、
- 七十二候・土脉潤起
- 水墨画で描いた土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
についてでした。
次の七十二候は、
雨水次候 霞始靆(かすみはじめてたなびく)です。