こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)とは、
腐った草が蒸れ蛍になるという意味です。
♪蛍の光〜窓の雪〜♫
卒業式の定番ソングだった蛍の光。
卒業シーズンになぜ夏に生まれる
蛍が出てくるんだろうと
疑問に思ったことはないでしょうか?
これは次の歌詞が、
「文読む月日重ねつつ」と続くように
月日を重ねてきたということを
表している歌なのです。
この記事では、
その腐草為蛍、
今回描いた水墨画、
について話していきます。
*6月11日から6月15日頃の七十二候は、
芒種次候 腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)です。
二十四節気では、芒種(ぼうしゅ)。
その芒種を3つに分けたうちの2番目(次候)です。
目次
七十二候・腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)
夏の水辺の風物詩
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/06/1-8.jpg)
ともに夜行性のホタルは、
夏の夜の涼しい川辺を、
恋人を求めて光りながら飛び回ります。
まさに自然のイルミネーションです。
けれど作り上げられた派手さのない、
最低限の演出による
優しく静かな光の装飾を施します。
その光に人は魅了され、
遠い昔から親しまれ続けている
日本の夏の風物詩となるのです。
だからこそ、人の心に残るものとして、
歌の歌詞にも使われたのでしょうね。
しかも「蛍の光」はタイトルですしね。
そんな光のダンスが見れるのは、
これから夏のうちだけ。
なんだかんだと忙しいし、
真夏には暑いと外に出たくないのは
今のうちから想像できますが、
なんとかその気持ちを押しのけて、
一度だけでも、川辺へ夕涼みに
出かける計画を立ててみるのもいいものです。
繰り返す日本の夏をまたひとつ、
心に残すために。
腐った草から蛍が生まれる?
その意味の通り、昔の人は、
梅雨に打たれ腐った葉っぱや根っこ
(水のやり過ぎで根腐れしたような)が、
蛍になると信じていました。
ここで語られているのは、
この時期に孵化
(ふか=卵から出てくること)する
ゲンジボタルやヘイケボタル。
日本人に馴染みのある蛍です。
もちろん、蛍が葉っぱから
生まれることはありません。
ゲンジボタルの幼虫は、
一年がかりで育ち、
春になると川辺の土に潜り蛹になり、
それがこの時期に
成虫になって出てきます。
ヘイケボタルはそれより
水の流れの弱い場所、
湿原や水田などで育ちます。
それを腐った根や葉っぱから
生まれてくると信じていたわけですね。
彼らは幼虫の段階ですでに
発光しているので、
それも原因かもしれませんね。
水墨画で七十二候を描く〜腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/06/0-2.jpg)
今回は夏草にとまる蛍を描きました。
濃墨で顔、体、触覚、足を描き、
中墨で夏草を走らせています。
夏草は奥行きを出すために
墨の濃さを変えています。
それから、肝心のおしりの光ですが、
これは刷毛を使っています。
刷毛の片側から逆側へと
墨色が変わるグラデーションを作ってから
描いています。
これは文章だとわかりづらいですね。
さて、私の描いた蛍の光は、
想い人を惹きつけることが
できるでしょうか。
窓の雪をすぎてまた来年、
新しい命が私達の夏を
求愛の光で涼しげにしてくれる、
そんなふうに毎年変わらぬ夢を
私もまた見続けています。
本格的な夏はもうすぐです。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/06/4-4.jpg)
今回話したのは、
- 七十二候・腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)
- 水墨画で描いた腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)
についてでした。
次の七十二候は、
芒種末候 梅子黄(うめのみきばむ)です。