初めまして。
水墨画アーティストの八束徹です。
昔の人は、
顔を洗うより先に硯(すずり)を洗え
的なことを言っていたらしいですが、
とにかく硯はそれくらい手入れが
大切だということですね。
良い墨をするためには、
日々の手入れと
専用の砥石が必要になります。
今回の記事では、
硯の名称から始まり、
手入れ、洗い方、研ぎ方について
話していきます。
目次
硯の名称について
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/10/e0213.jpg)
まず硯の各部の名称から。
上の写真に記した通り、
それぞれの部位に名前があるのですが、
硯は、この「墨堂、丘、陸」の部分にある、
(ここでは丘と呼んでいきます)
鋒鋩(ほうぼう)とよばれる凹凸が、
一番重要な部分になります。
鋒鋩は目には見えない凹凸でできていて、
これがあることによって
墨をすることができるからです。
ここが手入れされていなければ、
ちゃんと墨をすることはできません。
硯の手入れ〜毎回洗う必要ってあるの?
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/10/e0229.jpg)
硯は、筆と同じく、
使ったら毎回洗うものです。
なぜかというと、
硯に古い墨を残したまま放っておくと
それが乾燥して鋒鋩の隙間にたまり、
墨が綺麗にすれなくなるからです。
洗わずに使い続けていくと、
さらに硯の縁などに
その乾燥した墨がたまり、
硯がどんどん汚くなっていきます。
鋒鋩の隙間にももちろん、
残っています。
そして、次に使う時に、
古い墨と新しくすった墨が入り混じった、
発色の良くない墨ができあがり、
それを、せっかく昨日、
綺麗に洗った筆につけて
絵や書を描くことになるのです。
残念な感じ、伝わりますよね。
なので、硯もその都度、
良い墨がすれるように、
毎回洗わなければならないのです。
硯の洗い方
【要注意】洗う場所について
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/03/e0045.jpg)
まず洗う場所ですが、
筆を洗うのと同じで室内であれば、
ステンレスのシンクで行いましょう。
白い洗面台でやると墨がこびりついて、
今度はそれを落とすのが大変です。
水洗いをする
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/10/e0234.jpg)
硯に水をかけながら、
柔らかいスポンジでなぞるように、
硯の表面全体を洗います。
墨を擦る丘(鋒鋩のある場所)、
擦った墨が流れて落ちる海など、
墨がつく部分は全て洗いましょう。
この際、硬いスポンジや歯ブラシなど、
硬い材質のものは、
鋒鋩を傷つける恐れがあるので
避けてください。
洗って水を切ったら、
自然乾燥させておきます。
環境によって水洗いができない場合は、
練習に使った和紙などで
墨を拭き取っておきましょう。
硯の面に少しでも
墨が残らないようにすることが大切です。
【まずい!】墨がこびりついてしまったら?
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/10/e0230.jpg)
洗うのを忘れて墨がこびりついた場合は、
ぬるま湯か水に浸してから洗いましょう。
熱湯は石を割る可能性があるので、
使わないようにしてください。
いずれにせよ、固まった墨を落とすのは
ひと苦労です。
それを避けるためにも、
毎日、まめに洗うことが一番です。
研ぎ石で研ぐ|鋒鋩の再生
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/10/e0231.jpg)
鋒鋩は、使っているうちに
摩擦で劣化していきます。
墨のすり具合が変わってきたら、
専用の研ぎ石で研ぎ、
鋒鋩を再生させます。
硯の丘に水をひいて研ぎ石で研ぎ、
流水で流すだけです。
これを行うことによって、
硯は半永久的に使っていけます。
研ぎすぎも良くないので、
水ペーパーなどのやすりは使わないこと。
鋒鋩を丸めてしまっては
意味がないからです。
砥ぎ石も専用のものを使いましょう。
道具は専用のものが一番です。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/10/e0232.jpg)
今回話したのは、
- 硯の名称について
- 硯の手入れについて
- 硯の洗い方
- 硯の研ぎ方
です。
硯は手入れを欠かさなければ、
墨がこびりつくこともありません。
かく言う私も手入れを面倒くさがって、
硯に墨をこびりつかせたことがあります。
恥ずかしい話です。
絵に込めた心をにごらせないためにも、
筆も硯も綺麗に使って、
気持ちよく絵を描いていきましょう。
筆の洗い方についてはこちら⤵︎
筆にキャップをするのはNG?|水墨画初心者向け|筆のおろし方から洗い方までを説明します