砥石が大活躍?|水墨画初心者向け|硯(すずり)の手入れ方法を説明します

初めまして。
水墨画アーティストの八束徹です。

昔の人は、

顔を洗うより先に硯(すずり)を洗え

的なことを言っていたらしいですが、
とにかく硯はそれくらい手入れが
大切
だということですね。

良い墨をするためには、

日々の手入れと
専用の砥石が必要になります。

今回の記事では、

硯の名称から始まり、
手入れ、洗い方、研ぎ方について
話していきます。

硯の名称について

まず硯の各部の名称から。

上の写真に記した通り、
それぞれの部位に名前があるのですが、
硯は、この「墨堂、丘、陸」の部分にある、
(ここでは丘と呼んでいきます

鋒鋩(ほうぼう)とよばれる凹凸が、
一番重要な部分になります。

鋒鋩は目には見えない凹凸でできていて、
これがあることによって
墨をすることができる
からです。

ここが手入れされていなければ、
ちゃんと墨をすることはできません。

硯の手入れ〜毎回洗う必要ってあるの?

硯は、筆と同じく、
使ったら毎回洗うものです。
なぜかというと、
硯に古い墨を残したまま放っておくと
それが乾燥して鋒鋩の隙間にたまり、
墨が綺麗にすれなくなるからです。

洗わずに使い続けていくと、
さらに硯の縁などに
その乾燥した墨がたまり、
硯がどんどん汚くなって
いきます。

鋒鋩の隙間にももちろん、
残っています。

そして、次に使う時に、
古い墨と新しくすった墨が入り混じった、
発色の良くない墨
ができあがり、
それを、せっかく昨日、
綺麗に洗った筆につけて
絵や書を描くことになる
のです。

残念な感じ、伝わりますよね。

なので、硯もその都度、
良い墨がすれるように、
毎回洗わなければならないのです。

硯の洗い方

【要注意】洗う場所について

まず洗う場所ですが、
筆を洗うのと同じで室内であれば、
ステンレスのシンクで行いましょう。

白い洗面台でやると墨がこびりついて、
今度はそれを落とすのが大変です。

水洗いをする

硯に水をかけながら
柔らかいスポンジでなぞるように
硯の表面全体を洗います。

墨を擦る丘(鋒鋩のある場所)、
擦った墨が流れて落ちる海など、
墨がつく部分は全て洗いましょう。

この際、硬いスポンジや歯ブラシなど、
硬い材質のものは、
鋒鋩を傷つける恐れがあるので
避けて
ください。

洗って水を切ったら、
自然乾燥させておきます。

環境によって水洗いができない場合は、
練習に使った和紙などで
墨を拭き取っておきましょう。

硯の面に少しでも
墨が残らないようにすることが大切です。

【まずい!】墨がこびりついてしまったら?

洗うのを忘れて墨がこびりついた場合は、
ぬるま湯か水に浸してから洗いましょう。

熱湯は石を割る可能性があるので、
使わない
ようにしてください。

いずれにせよ、固まった墨を落とすのは
ひと苦労で
す。

それを避けるためにも、
毎日、まめに洗うことが一番です。

研ぎ石で研ぐ|鋒鋩の再生

鋒鋩は、使っているうちに
摩擦で劣化していき
ます。

墨のすり具合が変わってきたら、
専用の研ぎ石で研ぎ、
鋒鋩を再生
させます。

硯の丘に水をひいて研ぎ石で研ぎ、
流水で流すだけ
です。

これを行うことによって、
硯は半永久的に使っていけます。

研ぎすぎも良くないので、
水ペーパーなどのやすりは使わないこと。
鋒鋩を丸めてしまっては
意味がない
からです。

砥ぎ石も専用のものを使いましょう

道具は専用のものが一番です。

まとめ

今回話したのは、

  • 硯の名称について
  • 硯の手入れについて
  • 硯の洗い方
  • 硯の研ぎ方

です。

硯は手入れを欠かさなければ、
墨がこびりつくこともありません

かく言う私も手入れを面倒くさがって、
硯に墨をこびりつかせたことがあります。

恥ずかしい話です。

絵に込めた心をにごらせないためにも、
筆も硯も綺麗に使って
気持ちよく絵を描いていきましょう。

筆の洗い方についてはこちら⤵︎
筆にキャップをするのはNG?|水墨画初心者向け|筆のおろし方から洗い方までを説明します