初めまして。
水墨画アーティストの八束徹です。
使い終わった筆を、
シンクの底に擦りつけて洗ったり、
片付ける際にまた
キャップをしたりしていませんか?
それはどちらもNGです。
この記事では、
筆のおろし方、洗い方、
洗う場所、乾かし方、
について話していきます。
目次
筆のおろし方
太筆のおろし方
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/03/e0039.jpg)
まずはキャップをはずします。
新品の筆は糊で固められていますので、
それを指で揉みほぐします。
結構硬いですが、軸を回しつつ、
穂先の先端から根元まで
焦らずにほぐしていきましょう。
容器に入れた水かぬるま湯につけてから
ほぐすのもいいです。
ほぐれたら水を入れた容器の中で、
ゆすいで糊をとります。
その際、容器の底に当ててゴシゴシすると
筆を痛めるので気をつけてください。
それからキャップはもう使いません。
小筆のおろし方
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/03/e0040.jpg)
まずはキャップをはずします。
糊で固められているのは太筆と同じです。
ただほぐすのは先端の四分の1から
三分の1くらいだけです。
そのほぐした部分の糊だけを水で流します。
太筆と同じように筆全体を
容器の中に入れてゆすぐと、
すべてほぐれてしまうので注意してください。
これは筆の先端だけを使い、
細く均一な線を描くためです。
墨を含む部分が少ないぶん
線の広がりを抑えられます。
必ずその使い方をすべき〜
ということではないのですが、
その表現に使うには便利なので
一本用意しておくといいです。
私は筆全体をおろした小筆も
用意しています。
筆の水分(墨も同様)を
筆拭きなどで上手に取れば、
どの筆でも細い線、
かすれた線は描けます。
やり方次第、使い方次第のところも
あるということです。
こちらもキャップはもう使いません。
筆の洗い方
【要注意】作業場所の選び方
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/03/e0045.jpg)
まず洗う場所からなのですが、
筆を洗う時は、台所などに使われている
ステンレスのシンクで洗ってください。
白い洗面台は墨がこびりついて
普通に洗剤で洗っても落ちなくなります。
墨で黒くなった筆洗いの中の水を
流す時も同様です。
どの作業の時も、洗面台などの白いシンクは
使わないようにしましょう。
(*やってしまったら
ゲキ落ち君あたりで根気よく・・・
的なレベルの落ちなさ具合です)
太筆の洗い方
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/03/e0046.jpg)
透明の容器に水またはぬるま湯を、
水圧を気にしながら流しっぱなしにして、
その中に筆を入れ、
容器の中の水が透明になるまで
ゆすいでいます。
墨が落ちて、水の色が変わっていくのが
わかりやすいからです。
まあ、水を止めて、
水が汚れたら取り替えて〜
のほうが安全ですね。
とにかく筆を洗う際の注意事項は、
・蛇口からの流水に筆を直接当てないこと。
・早く墨を落とそうとして容器や
シンクの底に筆を擦り付けないこと。
です。
どちらも筆を痛めます。
【基本】根元までもみ洗う
水墨画は特に、
筆をぐしゃぐしゃにしたり、
寝かせたりして描くものですので、
先端だけではなく、
根元にまで墨が行き渡ります。
なのでしっかりゆすいだつもりでも、
根元に墨が固まって残ったりします。
これは筆が割れたり、
毛が抜けたりする原因になるので、
根元までもみ洗い、
墨を残さないようにしましょう。
その際、毛を強くひっぱったりせず、
優しく扱ってください。
小筆の洗い方
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/03/e0042.jpg)
先端だけをほぐして使う小筆の場合は、
水を湿らせたティッシュなどの上に
使った部分だけこすりつけて
墨を落とします。
先端だけを水につける方法もありですが、
墨をもっと落とそうとして
だんだん水をつける範囲を広げてしまい、
最終的に筆を全部ほぐしてしまう
ということのないように
気をつけてください。
この小筆の使い方の場合、
全部の墨を綺麗に落とすのは
難しい・・・というか無理なのは
なんとなくわかると思います。
すべておろしている場合は、
太筆とやり方は同じです。
筆の乾かし方
太筆の乾かし方
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/03/e0038.jpg)
筆を洗い終わったら先端を下に向けて
優しくしぼるように水を抜きます。
そうしながら、筆がねじれないように
真っすぐ円錐形にして、
穂先が尖っている状態にします。
新品の時と同じ形にすると
いうことです。
この時、強く毛を引っ張らないように
してください。
洗い終わったら、
下を向けて干します。
小筆の乾かし方
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/03/e0037.jpg)
これも同じように
下を向けて干しましょう。
干す道具ですが、高いものを
買わなくてもいいです。
私が使っているものは
セリアのインテリアコーナーで
買ったやつです。
かけ紐がついていない筆もあるので、
その場合はクリップで止めています。
そしてどの場合も、
キャップはしません。
水分が逃げなくなるため、
筆が駄目になってしまいます。
キャップは最初に外した瞬間に
捨てましょう。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/03/e0043.jpg)
今回話したことは、
- 筆のおろし方
- 筆の洗い方
- 筆の乾かし方
についてでした。
丁寧に扱っていけば、
筆とは長い付き合いができます。
扱い方を間違えてすぐに駄目にしては
筆もかわいそうですし、
お金も無駄にしますね。
疲れて寝てしまったり
うっかり忘れてしまうこともあると思いますが、
できるだけ手入れを欠かさず
手間を惜しまず大切に付き合っていけば、
あなたの筆もきっと喜んでくれますよ。
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