初めまして。
水墨画家の八束徹です。
使い終わった筆を、
シンクの底に擦りつけて洗ったり、
片付ける際にまた
キャップをしたりするのは___
どちらもNGです。
この記事では、
筆のおろし方、洗い方、
洗う場所、乾かし方、
について話していきます。
目次
筆のおろし方
太筆のおろし方

まずはキャップをはずします。
新品の筆は糊で固められていますので、
それを指で揉みほぐします。
結構硬いですが、軸を回しつつ、
穂先の先端から根元まで
焦らずにほぐしていきます。
容器に入れた水かぬるま湯につけてから
ほぐすのもありです。
ほぐれたら水を入れた容器の中で、
ゆすいで糊をとります。
その際、容器の底に当ててゴシゴシすると
筆を痛めてしまいます。
そして、キャップはもう使いません。
小筆のおろし方

まずはキャップをはずします。
糊で固められているのは太筆と同じです。
ただほぐすのは先端の四分の1から
三分の1くらいだけです。
そのほぐした部分の糊だけを水で流します。
太筆と同じように筆全体を
容器の中に入れてゆすぐと、
すべてほぐれてしまいます。
これは筆の先端だけを使い、
細く均一な線を描くためです。
墨を含む部分が少ないぶん
線の広がりを抑えられます。
必ずその使い方をすべき〜
ということではないのですが、
その表現に使うには便利なので
一本は用意しておきます。
私は筆全体をおろした小筆も
用意しています。
筆の水分(墨も同様)を
筆拭きなどで上手に取れば、
どの筆でも細い線、
かすれた線は描けます。
やり方次第、使い方次第のところも
あるということです。
こちらもキャップはもう使いません。
筆の洗い方
作業場所の選び方

まず洗う場所からなのですが、
筆を洗う時は、台所などに使われている
ステンレスのシンクで洗います。
白い洗面台は墨がこびりついて
普通に洗剤で洗っても落ちなくなります。
墨で黒くなった筆洗いの中の水を
流す時も同様です。
墨を使う場合は、どの作業の時も、
洗面台などの白いシンクは
使わないようにします。
(*やってしまったら
ゲキ落ち君あたりで根気よく・・・
的なレベルの落ちなさ具合です)
太筆の洗い方

透明の容器に水またはぬるま湯を、
水圧を気にしながら流しっぱなしにして、
その中に筆を入れ、
容器の中の水が透明になるまで
ゆすぎます。
容姿の中でやると、
落ちた墨で水の色が変わっていくので、
どのくらい洗えているかが
わかりやすいからです。
とにかく筆を洗う際の注意事項は、
・蛇口からの流水に筆を直接当てないこと。
・早く墨を落とそうとして容器や
シンクの底に筆を擦り付けないこと。
です。
どちらも筆を痛めます。
【基本】根元までもみ洗う
水墨画は特に、
筆をぐしゃぐしゃにしたり、
寝かせたりして描くものですので、
先端だけではなく、
根元にまで墨が行き渡ります。
なのでしっかりゆすいだつもりでも、
根元に墨が固まって残ったりします。
これは筆が割れたり、
毛が抜けたりする原因になるので、
根元までもみ洗い、
墨を残さないようにする必要があります。
もちろん、毛を強くひっぱったりせず、
優しく扱います。
小筆の洗い方

先端だけをほぐして使う小筆の場合は、
水を湿らせたティッシュなどの上に
使った部分だけこすりつけて
墨を落とします。
先端だけを水につける方法もありですが、
墨をもっと落とそうとして
だんだん水をつける範囲を広げてしまい、
最終的に筆を全部ほぐしてしまう
ということのないようにします。
この小筆の使い方の場合、
全部の墨を綺麗に落とすのは
難しい・・・というか無理なのは
なんとなくわかると思います。
すべておろしている場合は、
太筆とやり方は同じです。
筆の乾かし方
太筆の乾かし方

筆を洗い終わったら先端を下に向けて
優しくしぼるように水を抜きます。
そうしながら、筆がねじれないように
真っすぐ円錐形にして、
穂先が尖っている状態にします。
新品の時と同じ形にすると
いうことです。
洗い終わったら下を向けて干します。
小筆の乾かし方

これも同じように
下を向けて干します。
干す道具はなんでも。
私が使っているものは
セリアのインテリアコーナーで
買ったやつです。
かけ紐がついていない筆もあるので、
その場合はクリップで止めています。
そしてどの場合も、
キャップはしません。
水分が逃げなくなるため、
筆が駄目になってしまいます。
キャップは最初に外した瞬間に
捨てるのが鉄則です。
まとめ

今回話したことは、
- 筆のおろし方
- 筆の洗い方
- 筆の乾かし方
についてでした。
丁寧に扱っていけば、
筆とは長い付き合いができます。
扱い方を間違えてすぐに駄目にしては
筆もかわいそうですし、
お金も無駄にしますね。
疲れて寝てしまったり
うっかり忘れてしまうこともあると思いますが、
できるだけ手入れを欠かさず
手間を惜しまず大切に付き合っていけば、
筆はちゃんと喜んでくれるのです。



