水墨画で漫画を描いたら
カッコいいなと思いませんか?
なかなか見かけませんし、
斬新ですよね。
実際に水墨画で漫画作品は作れないものかと
色々調べてみましたが、
結構難しいことがわかりました。
(*水墨画はアナログの作画になりますので、
この場合は漫画もアナログ原稿の
話になります。)
この記事では、
まず水墨画の技法、
漫画の技法について説明してから、
何が難しいのかと
その理由について話していきます。
目次
水墨画の基本的な技法について
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/08/e0036.jpg)
主に、筆や刷毛を使い、
和紙にかすれ、にじみ、ぼかしなどの技法で
展開していくやり方になります。
墨も、固形墨を硯で擦り、
擦ったままの濃い墨(濃墨)と、
水を加えて薄くした墨(淡墨)を使い分けたり、
筆にその両方を含んだりしながら、
描いていきます。
基本的に下書きはしません。
漫画の基本的な技法について
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/08/e0120.jpg)
漫画用の原稿用紙は、
ケント紙や上質紙になります。
つけペン、ミリペン、
マジック、筆などを使い、
コマ割りをしながら、
その中に人物や背景、
吹き出しの台詞、効果音などを
描いていきます。
たいていは鉛筆で下書きをしてから、
ペン入れに入ります。
水墨画でいうところの淡墨(薄墨)は使わず、
それに値するものを描く場合は、
スクリーントーンを使います。
カッターで切って貼り付けたり、
貼った後にカッターで削ったりします。
色がついた感じで鮮やかになります。
水墨画で漫画を描くのが難しい理由
和紙と漫画用原稿用紙の違い
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/08/e0121.jpg)
和紙は水が染み込みます。
そして描いた後、渇くとシワになります。
その状態では印刷には適しません。
そのシワを取り一枚の作品にするには、
裏打ちといって、和紙の裏に
「裏打ち用紙」を貼り付け、
シワを広げ紙を厚くする作業が
必要になります。
これを漫画でやる場合、
31ページなら31枚すべて
裏打ちをしなければなりません。
それから大きさですが、
漫画の場合投稿用はB4サイズになり、
それに近い和紙の大きさは
半紙サイズになります。
近いだけで同じではありません。
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/08/e0124.jpg)
ただこれに関しては、ネットで検索すれば
b4サイズの和紙も出てきます。
しかし、漫画用原稿用紙のように
アタリはついていませんので、
自分で定規で測りながら
枠線を引いていくしかありません。
漫画用原稿用紙は
漫画を描くためにある紙で、
ちゃんとアタリがついています。
基本の枠線はここ、
はみ出す場合もここまでで、
これ以上書いても印刷されない
といったことが
わかるようになっています。
つけペンで描こうが、
筆で描こうが割り箸で描こうが
自由です。
シワにもならないし、
そのまま印刷できます。
しかし、上質紙では、
水墨画の持つにじみやぼかしは
使えません。
薄墨は印刷されない
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/08/e0125.jpg)
メジャーな漫画のモノクロページは、
活版印刷といって、薄墨が出ない
印刷方法で刷られています。
漫画家さんの原画展などに
行くとわかりますが、
ベタ塗り箇所がすべて
均一な濃さではないですよね。
あれが印刷されて漫画になると、
濃度が均一になるのです。
ということは逆に言うと、
薄墨の部分はかき消されてしまう
というわけです。
滲みの少ない鳥の子紙を
使う方法もありますが、
いずれにせよ活版印刷では、
描いた通りには印刷されません。
カラーページで使用される
オフセット印刷なら濃淡も出せますが、
コストの面から巻頭カラーなどのページ以外に
オフセット印刷は使用されないようです。
有名な作家さんならば、
たとえばこのページは
水墨画で表現したいから、
オフセット印刷にしてほしいと頼むことは
できるかもしれませんが、
一般的には難しいと思います。
同人誌などでオフセット印刷をする場合は
その限りではありませんが、
メジャー誌ではほとんどないそうです。
漫画に使える技法はひとつもないのか
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/08/e0122-1.jpg)
こんな感じで、薄墨を使わず、
濃墨のみでかすれを表現するならば、
可能ですね。
濃墨のみでいいので、墨汁でも大丈夫です。
墨汁は高価なものでないと
淡墨を作るのは難しいので。
この濃墨のみの表現を使い、
水墨画の構図を展開していく。
こういった形なら、応用していけますね。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/08/e0123.jpg)
今回話したことは、
- 水墨画の技法について
- 漫画の技法について
- 水墨画で漫画を描くのが難しい理由
- 漫画で使える水墨画の技法について
です。
私の知る限りで案内できる情報は
これがすべてです。
もし他に前向きなやり方が見つかれば、
また記事にしていきます。
水墨画にしろ漫画にしろ、
その幅が広がっていくのはいいことです。
それだけ人の目に触れるし、
そうすればもっと描くのが
楽しくなるはずですからね。