【図工の授業が楽しくなる!】書道セットで水墨画を描く〜基礎編|子供向け|教育者向け*動画も紹介

はじめまして。
水墨画家の八束徹です。

小学校で使う書道セット。
この道具を習字の授業だけで終わらせるのは
もったいない
と思ったことはありませんか?

私はずっと思っています。
もっと使い途があるのに、と。

そう。その使い途こそ「水墨画」です。

けれど学校教材で水墨画って描けるもの?
難しいんじゃない?
敷居が高くない?

そんなふうに思うかもしれません。
けれど、

この道具でも絵が描ける。

それを知れば子供達の創造力も
また大きく膨らむはずです。

この動画は、子供達がそう思えるように
書道セットでもできる水墨画の技法を教え、
墨で絵を描く楽しさを
少しでも感じてもらいたい。

そんな願いをもとに作りました。

「書道セットでもそれができる」

その理由をこれから話していきます。

なぜ書道セットでの作画を勧めるのか?

まずひとつは、
それを習字だけに使うのはもったないこと。
もうひとつは、水墨画の授業があれば
絶対に楽しかった
と思うからです。

①「書道セットを習字だけに使うのはもったいない」

字を書きなさい。

そう言われるだけで、子供は楽しいでしょうか?

もちろん楽しい子もいます。
が、子供が教科書やノートに落書きをするように、
筆でも落書きがしたい子供はもっといるはずです。

日本の伝統にならった字の書き方を
教えるのも大切でしょう。
けれどそれだけで終わらせるには、
道具がもったいないと思うのです。

字を描くより絵を描くほうが
楽しい子どもは多い
のではないでしょうか。

せっかく筆があり墨があり
和紙があるのだから、
習字だけではなく、絵を描くことを教えれば
創造力も更に上がるはずです。

②水墨画の授業があれば絶対に楽しいはずです

墨は濃墨だけで書いても、
独特の絵を生み出せます。
水彩画の授業で得る「絵の楽しさ」とは
また違う面白さ
があります。

筆を立てて書いたり、寝かせて書いたり、
ぐしゃぐしゃにして書いたりするだけで、
それぞれ別のものが生まれます。

筆をぐしゃぐしゃにする。

習字の授業でそんなことをしたら
きっとその子は先生に怒られるでしょう。
ふざけちゃダメですよ!と。

けれど水墨画ではそれが正解なのです。
だって水墨画はそうやって描くものなのですから。

子供が面白がる姿が浮かびませんか?

それにプラスして、墨の濃さを変えることで、
絵に深みを与えられる。
立体感が出る。

いつも習字を書くためだけに
使っていたはずのその書道セット
で、
他にもこんなことができるんだと知れる。
知ると楽しくなる。

もし私が子供の頃に学校でそんな授業があったら、
きっと大いに楽しんだだろうし、
その書道セットを家に帰ってからも広げ、
絵を描いて大切にしたはずですから。

道具について|水墨画を描くのに書道セットは安っぽい??

今回動画で使用した書道セットは、
呉竹さんが販売している
呉竹 書道セット フルオープン GC282Sです。

和紙も同様に、安価なものを用意しました。

ここではブルーを使っていますが、
女の子に合わせたピンクの入れ物のものも
あります。

要は、学校教材で使うような
品質の道具
ということです。

この製品がいいよ、という話ではありません。

書道セットはその品質通り、
本格的に絵を始めるのに見合った道具では
ありません。
ただ、それは書道でも、
写生に持っていく水彩画用の絵具でも、
小学校で使うものはだいたいそんなものです。

まずは水墨画を知り、楽しんでもらう。

そのきっかけになれば良いのです。

「水墨画を始めるなら、書道セットから」
と言っているわけではありません。
もともと持っているものを、
水墨画にも使ってみたらどうですか?
ということです。

それで子供が水墨画に興味を持てば、
そこで改めて良い道具を
揃えてあげればいいわけですから。

英才教育をするなら別ですが、
興味を持たないことをやらせても仕方ないし、
それを気づかせるのが学校でもありますからね。

書道セットの道具ではすべての技法が
使えるわけではありませんが、
それでも水墨画は描けるんです。
ちゃんと。

技法について|すべての技法を使う必要はないのです

水墨画にも定番の技法がありますが、
この動画では全てを紹介していません

用意した和紙の質などを考えた結果、
「にじみ」や「ぼかし」といった
水を使った技法ははぶいています。

実際にやってみたのですが、
水が綺麗に和紙に浸み込んでいかないため、
技法の良さが伝わらないと判断したからです。
ただ、薄墨(濃い墨を水で薄めたもの)は使えるので、
それだけでも水墨画の面白さは伝えられます。

できることはたくさんあるのです。

この動画で紹介した技法だけでも
充分に水墨画を楽しんでいただけます

最後に

この世界には、
芸術が生きる力となる子供達がいます。
私もそうでした。

その背中を押すものとして、
今、目の前にある漫画やイラスト以外にも、
こういった絵のジャンルもあるんだよと教え、
それに触れてもらう
ことは、
とても大切なことだと思います。

それが書道セットでもできるのです。

この動画を参考することによって、
子供達に墨で絵を描く楽しさを
伝えることができるでしょう。

先ほども言いましたが、
私が小学生の頃に水墨画の授業があったら、
きっともっと書道セットを
大事にしていた
と思います。

すべての子どもがみな興味を持つかといえば
もちろんそうではないでしょう。
けれどそれは、野球だってサッカーだって、
なんだって同じです。

墨で絵を描く楽しさを知る。

それがそんな子ども達の夢や未来につながることを
私は願っています。