「水墨画って筆ペンでもいいのかな?」
「筆ペンでも描けるのかな?」
私自身、最初はこんな感じでした。
墨ならなんでもいいんじゃないかと。
筆ペンはたいていはインクなので、
墨ではないこともわかっていませんでした。
なんの知識もなかった私はとりあえず
筆ペンと100円ショップの和紙だけを買って、
「自称水墨画」を描き始めました。
これが私の画家としてのスタートでした。
この記事では、
その後、本格的に水墨画を学び、
依頼をいただけるまでになった私が、
その過程で覚えた筆ペンについての知識、
筆ペンと筆の絵の違い、
筆だからこその水墨画の味わいについて
話していきます。
目次
水墨画は筆ペンでも描けるの?〜筆ペンについて
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/09/e0193.jpg)
筆ペンの穂先
通常の筆は動物の毛で出来ていますが、
筆ペンは合成樹脂(ナイロン)でできています。
通常の筆と比べてコシが強いものが多く、
これにばかり慣れてしまうと、
筆に変えた際に柔らかい毛筆が
使いづらくなります。
近年では動物の毛を使用した
高価なものも作られていますが、
一般的なものはほとんどがナイロン製です。
筆ペンの染料
最初に話した通り、市販されている筆ペンは、
墨ではなく、インクが使われています。
・顔料インク
水に溶けやすい。乾きが遅い。
・染料インク
水に溶けにくい。乾きが早い。
・墨液
本物の墨液が入っているものもあり、
値段がグッとあがります。
ただ、品物に墨液と書かれていても、 実際はインクの場合がありますので
購入の際は裏の説明書きを
よく確認してください。
カートリッジ式になっているものは、
穂先がダメにならなければ、
取り替えながら長く使っていけます。
色
水墨画は墨の「黒」を
水で薄めて色合いを変えていきますが、
筆ペンは、濃いインクと薄いインクとで
別々に販売されています。
・真っ黒なもの。
墨でいうところの濃墨(のうぼく)
・灰色っぽいもの
墨でいうところの薄墨(うすずみ)
・朱色なもの
墨でいうところの朱墨(しゅずみ)
・多彩なカラーバリエーションのもの
他にもいろんな色のものが出ています。
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/09/e0194.jpg)
ちなみに薄墨仕様のものは、
葬儀などの香典を書く際に、
「涙で墨が薄れてしまいました」
という意味合いで使ったりします。
日本らしい発想ですね。
筆ペンで描いた絵と、筆で描いた絵の違い
実際に竹を描いて比べてみました。
筆ペンで描いた竹
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/09/e0197.jpg)
基本、線画になります。
濃い色のものと薄い色のものを
使い分けて描くやり方になります。
筆で描いた竹
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/09/e0196.jpg)
薄墨と濃墨を穂先に作り、
筆を寝かせて筆の「面」で
一気に描いていきます。
筆ペンで描いた場合とは違って、
滲みや濃淡の技法により、
水墨画ならではの味わいが出ているのが
わかると思います。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2020/09/e0195.jpg)
今回話したのは、
- 筆ペンについて
- 筆ペンで描いた絵と筆で描いた絵の違い
についてです。
筆ペンも性能が良いものは
とても描きやすいですし、
本物の墨(墨汁)が使われているものもあり、
あえて筆ペンで作画を楽しむ方法もあります。
そういったことを教える先生もいらっしゃいます。
ただ、「やれる範囲」や
表現できる幅が狭くなるので、
やはり水墨画を描くならば、
まずは墨を擦り、濃淡を作り、
筆で描いていくことをおすすめします。
そしてその世界を知った上で、
筆ペンでの作画をすれば、
きっとまたひとつふたつ
質の高い絵が生まれるはずです。
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水墨画の技法と濃淡を使った私の絵を
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