遅霜(おそじも)が稲作に及ぼす被害|霜止出苗(しもやんでなえいづる)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

霜止出苗(しもやんでなえいづる)とは、
霜が終り稲の苗が生長するという意味です。

4月の終わりに霜が降りるなんて、
信じがたいですよね。

その霜は遅霜と呼ばれていて、
せっかく乾いた大地を
また湿らせてしまう
のです。

この記事では、その霜止出苗、
今回描いた水墨画

について話していきます。

*4月25日から4月29日頃の七十二候は、
穀雨次候 霜止出苗(しもやんでなえいづる)です。
二十四節気では、穀雨(こくう)
その穀雨を3つに分けたうちの2番目(次候)です。

七十二候・霜止出苗(しもやんでなえいづる)

遅霜〜春に降りる霜

秋の七十二候、霜始降、
および二十四節気、霜降(そうこう)で
降りてきた霜が、
立夏を迎える前にようやくその姿を消し、
苗が育つ時期を迎えます。

この時期に霜を見ることは
なかなかないかもしれませんが、
北国では、遅霜(おそじも)とよばれる霜が、
春の終わりにもまだ現れる
のです。
晩春は暖かくなるようでいて、
朝晩は冷えたりするわけですから、
不思議なことではないのです。

そしてその遅霜が大地を湿らせて
また季節を逆戻りさせてしまい、
せっかく目を出した苗を
痛めつけてしまう
という結果を招くのです。

季節とともに〜力強く育つ稲の苗

そんな遅霜がようやく顔を隠すと、
稲の苗は力強くその芽を出し、
冬の間から準備を進めてきた
農家の人達の仕事が報われ始めるのです。

もちろん穀物にとっての恵みの雨、
穀雨もその成長を助けてくれます。

今でこそ苗はビニールハウスで
作られていますが、
昔は外で育てられていましたから、
霜が歓迎されないのも当然のことでした。
そして目が出たその苗を田んぼに植えて、
よく知られている田園の風景が
できあがるのです。

人の暮らしは季節とともにあります。
生まれてくる作物もそうです。

私達がその一年を成長しながら生き、
耕し、育めばこそ、
農作物も、大切な食物として大地に生まれ、
私達が生きていく手助けをしてくれるのです。

水墨画で七十二候を描く〜霜止出苗(しもやんでなえいづる)

長い準備期間を経て、
ようやく苗の育つ季節。
農夫達の希望を込めるつもりで、
田植えした後の稲の苗を描きました。

それぞれ苗の墨色が違うのが
見て取れると思います。
一回の運筆でそうなるように
筆を作っているからです。

濃墨と薄墨をからめるか、
濃墨だけ、もしくは薄墨だけで
一気に行くか

こういった苗のように
同じ形のものが密着している場合、
その形を「よく見る」ということに加えて、
この水墨画独特の
「墨色のバランス」を取ることが
大切になってきます。

それから、描いたのは田植え後ですので、
もちろん水が張っている(水田)わけですが、
これも簡潔に付け足すように
描いているだけです。

脇役は「添える」と言ったほうが
伝わりやすいかもですね。

さて、今回の遅霜を乗り越えて
強く生まれてきた苗は、
自然と共存しながら育ち、
おいしい米になり、
やがて農夫達の暮らしを潤してくれます。

それは、その米を
おいしいと食べてくれる
あなたがいるからなのです。

まとめ

今回話したのは、

  • 七十二候・霜止出苗(しもやんでなえいづる)
  • 水墨画で描いた霜止出苗(しもやんでなえいづる)

についてでした。

次の七十二候は、
穀雨末候 牡丹華(ぼたんはなさく)です。