こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。
霜止出苗(しもやんでなえいづる)とは、
霜が終り稲の苗が生長するという意味です。
4月の終わりに霜が降りるなんて、
信じがたいですよね。
その霜は遅霜と呼ばれていて、
せっかく乾いた大地を
また湿らせてしまうのです。
この記事では、その霜止出苗、
今回描いた水墨画
について話していきます。
*4月25日から4月29日頃の七十二候は、
穀雨次候 霜止出苗(しもやんでなえいづる)です。
二十四節気では、穀雨(こくう)。
その穀雨を3つに分けたうちの2番目(次候)です。
目次
七十二候・霜止出苗(しもやんでなえいづる)
遅霜〜春に降りる霜
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/05/1-10.jpg)
秋の七十二候、霜始降、
および二十四節気、霜降(そうこう)で
降りてきた霜が、
立夏を迎える前にようやくその姿を消し、
苗が育つ時期を迎えます。
この時期に霜を見ることは
なかなかないかもしれませんが、
北国では、遅霜(おそじも)とよばれる霜が、
春の終わりにもまだ現れるのです。
晩春は暖かくなるようでいて、
朝晩は冷えたりするわけですから、
不思議なことではないのです。
そしてその遅霜が大地を湿らせて
また季節を逆戻りさせてしまい、
せっかく目を出した苗を
痛めつけてしまうという結果を招くのです。
季節とともに〜力強く育つ稲の苗
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/05/4-1.jpg)
そんな遅霜がようやく顔を隠すと、
稲の苗は力強くその芽を出し、
冬の間から準備を進めてきた
農家の人達の仕事が報われ始めるのです。
もちろん穀物にとっての恵みの雨、
穀雨もその成長を助けてくれます。
今でこそ苗はビニールハウスで
作られていますが、
昔は外で育てられていましたから、
霜が歓迎されないのも当然のことでした。
そして目が出たその苗を田んぼに植えて、
よく知られている田園の風景が
できあがるのです。
人の暮らしは季節とともにあります。
生まれてくる作物もそうです。
私達がその一年を成長しながら生き、
耕し、育めばこそ、
農作物も、大切な食物として大地に生まれ、
私達が生きていく手助けをしてくれるのです。
水墨画で七十二候を描く〜霜止出苗(しもやんでなえいづる)
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/05/photo-output.jpg)
長い準備期間を経て、
ようやく苗の育つ季節。
農夫達の希望を込めるつもりで、
田植えした後の稲の苗を描きました。
それぞれ苗の墨色が違うのが
見て取れると思います。
一回の運筆でそうなるように
筆を作っているからです。
濃墨と薄墨をからめるか、
濃墨だけ、もしくは薄墨だけで
一気に行くか
こういった苗のように
同じ形のものが密着している場合、
その形を「よく見る」ということに加えて、
この水墨画独特の
「墨色のバランス」を取ることが
大切になってきます。
それから、描いたのは田植え後ですので、
もちろん水が張っている(水田)わけですが、
これも簡潔に付け足すように
描いているだけです。
脇役は「添える」と言ったほうが
伝わりやすいかもですね。
さて、今回の遅霜を乗り越えて
強く生まれてきた苗は、
自然と共存しながら育ち、
おいしい米になり、
やがて農夫達の暮らしを潤してくれます。
それは、その米を
おいしいと食べてくれる
あなたがいるからなのです。
まとめ
![](https://yatsukatoru.com/wp-content/uploads/2021/05/5-6.jpg)
今回話したのは、
- 七十二候・霜止出苗(しもやんでなえいづる)
- 水墨画で描いた霜止出苗(しもやんでなえいづる)
についてでした。
次の七十二候は、
穀雨末候 牡丹華(ぼたんはなさく)です。