蛍の光は夏、窓の雪は冬。自然のイルミネーション|水墨画で描く腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)

こんにちは。
水墨画家の八束徹です。

腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)とは、
腐った草が蒸れ蛍になるという意味です。

蛍の光、窓の雪

卒業式の定番ソングだった蛍の光。
卒業シーズンになぜ夏に生まれる
蛍が出てくるんだろう

疑問に思ったことはないでしょうか?

これは次の歌詞が、
「文読む月日重ねつつ」と続くように
月日を重ねてきたということを
表している歌
だからです。

この記事では、

その腐草為蛍、
今回描いた水墨画、

について話していきます。

*6月11日から6月15日頃の七十二候は、
芒種次候 腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)です。
二十四節気では、芒種(ぼうしゅ)。
その芒種を3つに分けたうちの2番目(次候)です。

蛍の光は夏、窓の雪は冬。自然のイルミネーション|腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)

夏の水辺の風物詩

夜行性のホタルは、
夏の夜の涼しい川辺を
恋人を求めて光りながら飛び回ります。
まさに自然のイルミネーションです。
けれど作り上げられた派手さのない
最低限の演出による
優しく静かな光の装飾を施します。

その光に人は魅了され、
遠い昔から親しまれ続けている
日本の夏の風物詩となるのです。

だからこそ、人の心に残るものとして、
歌の歌詞にも使われたのでしょう。


そんな光のダンスが見れるのは、
これから夏のうちだけ。

なんだかんだと忙しいし、
真夏には暑いと外に出たくないのは
今のうちから想像できますが、
なんとかその気持ちを押しのけて、
一度だけでも、川辺へ夕涼みに
出かける計画を立ててみるのもいいものです。

繰り返す日本の夏をまたひとつ、
心に残すために。

腐った草から蛍が生まれる?

その意味の通り、昔の人は、
梅雨に打たれ腐った葉っぱや根っこ
(水のやり過ぎで根腐れしたような)が、
蛍になる
と信じていました。

ここで語られているのは、
この時期に孵化
(ふか=卵から出てくること)する
ゲンジボタルヘイケボタル
日本人に馴染みのある蛍です。

もちろん、蛍が葉っぱから
生まれることはありません。
ゲンジボタルの幼虫は、
一年がかりで育ち、
春になると川辺の土に潜り蛹になり、
それがこの時期に
成虫になって出てきます。
ヘイケボタルはそれより
水の流れの弱い場所、
湿原や水田などで育ちます。
それを、腐った根や葉っぱから
生まれてくると信じていたわけです。

水墨画で七十二候を描く|腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)

夏草にとまる蛍を描きました。

さて、私の描いた蛍の光は、
想い人を惹きつけることが
できるでしょうか。

窓の雪をすぎてまた来年、
新しい命が私達の夏を
求愛の光で涼しげにしてくれる、
そんなふうに毎年変わらぬ夢を
私もまた見続けています。

本格的な夏はもうすぐです。