人生を支える言葉〜今今と今という間に今ぞ無く。今という間に今ぞ過ぎゆく

〜今今と今という間に今ぞ無く
今という間に今ぞ過ぎゆく〜

道歌の一つです。
道歌とは日本に古くからある、
道徳や教訓を綴った
短歌のようなものです。

言葉の意味は?

要するに、

やるならすぐにやろう

ということですね。

ひとはよく「今」と言いますが、
今と言った時点で、
その今はもうすでに
今ではないんですよね。
時間は過ぎているわけですから、
それはすぐに過去になってしまう。

「今やる」と言って
本当にすぐ動く人を尊敬して
しまうことってありますよね。

けれどその人の動きですら、
「今」ではないわけです。
そんな人ですら「今」には
追いつけないというのに、
こっちがちょっとのつもりで
後回しにしてしまった場合は、
「今」どころの騒ぎでは
ないということです。

自分はちょっとのつもりでも、
実際は猛スピードで
後れをとっているわけです。

どれだけ無駄なことをしているのか。


ベッドに横になって、
やると決めたことをなかなか始めない、
始めれないってことありますよね。

今という間に今ぞ無く

そんな時に、私はいつもこの言葉が
頭の中をぐるぐると周ります。

何気ない日々の暮らしにも当てはまる

「今やるよ」

何度か言ったことはないでしょうか。
親に片付けを促された時。
風呂に入らなければならない時。
勉強をしなければならない時。

すぐやるじゃん。
ちょっと待ってよ。

そう言いながら、
自分ではたいした時間の
ロスだとは思っていない。
私ももちろん、
言ったことがあります。
何度か、ではなく、
何度も。です。


夢を追いかけるということだけではなく
こういった場合にも
当てはまる言葉です。

もちろん、何から何まで
素早くやる必要はないでしょうし、
気にし過ぎて強迫観念にかられて、

『「今」はすぐ過去になってしまうから!』

と生きていては逆効果です。

例えば、
勉強は全くやらないけれど、
絵を描くことは
素早く集中してできる。

それで充分かもしれませんが、
暮らしにまつわるあれこれを
後回しにしないことが、
その夢を後押しすることもあるのです。

絵を描きたいけれど、
先に勉強がある。
仕事がある。
家事がある。

それを時間を無駄にせず
終わらせられたら、
絵を描く時間も早まりますから。
逆にやらずに始めて
頭の隅に邪念のように
引っかかってしまうのも良くないですし。

やることを溜めてしまわない。
できれば先手を打つ。

なかなか難しいことですけれど、
やりたいことのためになら、
頑張ろうと思えるはずです。

思いましょう。
お互いに。

やりたいことがあるなら、すぐに動け

やりたいことがあるならば、
すぐにでも動くべきです。
私はいろんなものが
手遅れになってから気づきました。

踏み出すには勇気が必要です。
やれと言われたからといって、
誰もがすぐ行動できるわけではありません。

あんたに責任は取れるのか?と
自分を守ろうとします。

他人の言うことなど聞かないのは、
それはそれでいいが、

自分でやると決めても
踏み出さない。
自分でやると決めたのに、
もうひとりの自分が言い訳を始めて
屁理屈をこねて
それが正しいんだと決めつけて
またベッドに潜り込みます。

開く予定の本、
持つ予定の筆、
ケースから出す予定のギター。

私も、そんな予定を変える
もっともらしい理由を探しました。
最優先で。

駄目な自分を守るため
その言い訳を探すためになら、
素早く頭を回転させたのです。
まさに今はすぐ過去になることを
理解しているかのように。

おかしな話ですよね。

負ける道を正当化するために
素早く思考するのですから。

そうやって動かないことで
私は大きく後れを取りました。

その時、すぐやっていれば、
結果は違っていたはずなのです。

そうそうスマートには行かないだろうけど、
それにしても、
言い訳を探し過ぎたのです。

何もしないと、何かを失う

今が過去になる。

それを繰り返すうちに、
過去になる今はやがて来なくなります

私はそのことに焦りや怖さを覚えて
少しずつですが、
前へ踏み出すようになりました。

何度か近しい人を
見送ってきたからです。
もっと早く踏み出していれば
こんな見送り方はしなくて良かったと
思い知ったからです。

絵を始めたこと自体
大きな一歩でしたが、
毎日仕事から帰れば酒を呑み、
寝てしまうそれまでの暮らしを許さず、
日々必ず筆を取ろうと
決めてきたからこそ、
公募展に入選できるくらいに
上達することができたのです。


自分の夢についてもそう。
大切な人に対してもそう。

何もしないと、
何も手に入らないのではなく、
何もしないと、
何かを失うのです。

あとがき

時間は過ぎ去っていき、
戻ってはきません。

過去にする「今」にたどり着けなくなる
そんな、いつ来るかわからない
その日に悔やむことのないように、

今この瞬間も、
噛み締めていたい言葉がそれなのです。


最後にもう一度、記しておきます。


今今と今と言う間に今ぞ無く
今と言う間に今ぞ過ぎゆく