霜が降る?本当は霜は空から降ってくるものではなかった|水墨画で描く霜始降(しもはじめてふる)

こんにちは。
水墨画家の八束徹です。

霜始降(しもはじめてふる)とは、
霜が降り始めるという意味です。

霧が降ると書いて、霜降(そうこう)。
霜が大地に広がる様子は美しいもの。
そんな霜は、雪のように
空から降ってくるものなのでしょうか?

降るといいつつも実際は、
霜は水蒸気が冷えて
固体化されたもの
なのです。

この記事では、その霜始降、
そして今回描いた水墨画、

について、話していきます。

10月23日から10月27日頃の七十二候は、
霜降初候 霜始降(しもはじめてふる)です。
二十四節気は、霜降(そうこう)に変わります。
その霜降を3つに分けたうちの 1番目(初候)です。

霜が降る?本当は霜は空から降ってくるものではなかった?|霜始降(しもはじめてふる)

霜は空から降ってくるの?

霜ができる理由は、
物体の表面が0℃以下になると霜点に達し、
周囲の空気中の水蒸気が
固体化するからです。

このことを、昇華といいます。
霜点は霜ができる温度のことです。

しかしなぜこれを「霜が降る」
表現するのでしょうか。

その理由は、地上に霜が広がる景色が、
まるで雪が降ったあとのように
見える
からです。

霜は地表の土、草木、石といった
自然のものばかりではなく、
家の窓や車の窓につく、
窓霜(まどしも)もあります。

夜露が寒さに凍ってできる場合もあり、
それは水蒸気の昇華とは違うのですが、
見分けがつけづらいので、
それも霜と呼ばれたりします。

その日、雪が降ったか降らないかは、
科学が進歩していない時代でも
わかるというもの。
あえてその詩的な表現を選ぶあたりに、
当時の人達の自然を楽しむ気持ちが
伺えますね。

肌寒い朝、外に出たら
あたり一面に広がる氷の結晶。

太陽にかき消されるまでの絶景。

それは人を詩人にするのに
充分な美しさだったのでしょう。

それにしても、
霜が降り始める頃」とはいいますが、
まだまだ霜が降りるような
寒さではありません。

実際はいつ頃なのでしょうか?

霜が降る時期について

北海道や東北地方の北側では
10月後半にも霜が観測されますが、
日本で霜が降りる時期は、ほとんどが
11月から12月にかけてです。

その時期についても
北国に行くほど早く、
南下すればそれだけ遅くなる、
とはっきり分かれているわけでは
ありません。

どの街でも季節は
同じように巡っています。

この七十二候ができた頃と比べて
日本の気候も変わってきていますから、
当時は今とは違っていたのでしょう。

農作への影響

霜が降りた地上の景色は、
もちろん風情ある美しいものですが、
農作物を育てる人にとっては、
被害を及ぼすものにもなります。

霜が直接影響を与えるのではなくて
「霜が降るほどの寒さ」が
作物の成長を邪魔してしまう
ということです。
これを霜害(そうがい)といいます。

この七十二候・霜始降は、
農家やそれを取り仕切る者たちへ
注意をうながす意味も
あったのではないでしょうか。

水墨画で七十二候を描く|霜始降(しもはじめてふる)

私の故郷は、雪国の盆地にあります。

私がそこで暮らしていた当時は、
今よりも秋の深まりが早く、
肌寒さもだいぶ違っていました。

学生時代、冷えた空気の中で自転車を漕ぐ
肌寒い朝の通学時、
小さな川辺に広がる霜に、
余計に寒さを感じたものです。

自然の美しさに囲まれながらも
その対極にある退屈さにばかり心を割いて、
町を出ていくことだけが希望だった
当時のことを思い出します。