掛け軸の余白に書かれた文字、あなたはご存じでしょうか?
これは「画賛(がさん)」と呼ばれ、絵とともにその世界を深める重要な役割を果たしています。
目次
画賛の始まりと役割

画賛とは、誰かが描いた絵の余白に別の人がその絵を賞賛するために書いた文字のことです。
その後、画家本人が自分の絵の余白に言葉を書き込む「自画自賛」という形も生まれました。
しかし、画賛は単なる「褒め言葉」ではありません。
禅師の教えや詩が添えられ、絵と文字がセットで深い世界観を作り出していったのです。
書道を習わない理由と画賛の本質

私が書道を習わないのは、この画賛の背景にある価値観と深く関係しています。
画賛に書かれている文字は必ずしも達筆とは限りません。
昔の人は、墨と筆で日常的に手紙や記録を書いていたため、「書けて当たり前」でした。
そのため「上手い字」よりも「そこにある言葉の力」が何より大切だったのです。
師匠にも言われました。
「しっかり習ってしまうと、絵とぶつかるぞ」と。
当時は深く考えなかったものの、今になってその意味が少しずつわかってきた気がします。
アートと文字の融合が生み出す静寂の世界

掛け軸の余白にある画賛は、絵の世界を補完し、静かで深い余白を作り出します。
これは現代の水墨画にも通じる、アートと文字の融合による「感情を置ける場所」を提供しているのだと思います。
まとめ
- 画賛は絵を賞賛し、深めるための文字
- 自画自賛は画家本人が書いた言葉
- 画賛の文字は達筆である必要はなく、言葉の力が重要
- 書道を習いすぎると絵との調和が難しくなることもある
- 絵と文字が一体となった掛け軸は、静寂と余白の美を表現している
掛け軸や水墨画の余白に込められた「画賛」の魅力を知ることで、より深くアートの世界に触れてみてください。