鹿のツノは毎年取れる?生え変わるツノ|麋角解(おおしかのつのおつる)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

麋角解(おおしかのつのおつる)とは、
大鹿が角を落とすという意味です。

鹿のツノって毎年取れるんです。
そして、毎年新しいツノが生えるのです。

ただニホンジカの生え変わりは、
春なんですよね。
なぜここで出てくるのでしょうか。

この記事では、その麋角解、
そして今回描いた水墨画、

について話していきます。

二十四節気では、冬至(とうじ)
その冬至を3つに分けたうちの2番目(次候)です。

12月27日から12月30日頃の七十二候は、
冬至次候 麋角解(おおしかのつのおつる)です。

鹿のツノは取れる?生え変わるツノ|麋角解(おおしかのつのおつる)

オオシカとはどの鹿のこと?

麋角はさわしかとも読み、
おおきな鹿のことをいいます。

オオシカ(大鹿)とはヘラジカの別名で
ヘラジカのオスは12月半ばから1月にかけて、
古いツノを落とし、生え変えに入ります。

トナカイ以外でシカがツノを伸ばすのは
オス
だけです。
秋の繁殖期に合わせて立派に成長したツノで、
オス同士でメスの取り合いをします。
そして戦いが終わると、ツノを落とし、
次の秋の戦いに向けて、
また新しく立派なツノが生えるのを待ちます。

ツノの大きさは年齢によって変わります。

動物も虫もみな、オスとしてメスを取り合う。
これはどの世界でも同じですね。

ただ、なんと、日本には
ヘラジカはいない
んですよね。

この七十二候を日本のシカに当てはめると
ニホンジカということになりますが、
ニホンジカのツノの生え変え時期は、
冬ではなく、春です。

中国から渡った七十二候。
その季節のずれを調整するために、
江戸時代に本朝・七十二候として
いくつか作り替えられています。

その時になぜこれをそのままにしたのか。

仮説ですが、以下で話します。

幻?の動物、神獣【シフゾウ】

中国には、シフゾウと呼ばれる
シカがいたのですが、
一度、野生絶滅した経緯を持っています。

シフゾウは、角がシカ、頸部がラクダ、
蹄がウシ、尾がロバ
に似ているといわれ、
しかし、そのどれでもないので、
四不像という名をつけられました。

狩猟の対象とされ、さらには
洪水による溺死、餓死などで
清朝末期には絶滅したとされていましたが、
イギリスの大地主が飼育していた
シフゾウの存在が絶滅を回避。
繁殖に成功し、各動物園へ寄贈、
やがて中国にも逆輸入されることになるのです。

今現在、個体が少ないことには
変わりありませんけどね。

そんなシフゾウは神獣として
日本に伝わっていた
ので、
オオシカをシフゾウと捉えて、
七十二候もそのまま変えずに残した
という説があるのです。

角がシカ、頸部がラクダ・・・
これって龍の説明に似てますよね。

角は鹿、頭は駝、眼は兎、、、みたいな。

それと同じようにシフゾウを
幻の生き物ととらえていたとしても
なんら不思議ではない気がします。

まあどちらにせよ、
仮説なんですけどね。

水墨画で七十二候を描く〜麋角解(おおしかのつのおつる)

今回はニホンジカを描きました。

説明した通り、この七十二候には
当てはまらないシカですが、
なんとなく愛着があるほうを。

現代では奈良の小鹿がせんべい欲しさに
可愛くしている印象が一番強いですが、
シカは昔は肉食のメインでしたし、
ツノも皮も人の生活道具に
加工されてきました。
田畑を荒らす害獣とされたり、
道に飛び出して車と衝突したり、
色んな意味で、
人の生活の側にいる動物です。

ししおどしなんかは、鹿威しと書きます。
本来は田畑を荒らす動物を
脅かすためのもの。
獅子脅しは間違いです。

さて、今回の構図ですが、
紅葉と鹿にしました。

ニホンジカがこの七十二候に
当てはまらない上に
さらに時期外れですが、
鹿の季語は秋です。
繁殖期のシカの鳴き声が
和歌に詠まれるほど、
風情だったからです。

鹿肉をもみじと呼びますし、
花札では鹿に紅葉(猪鹿蝶のひとつ)が
描かれたりと、
昔から秋と結び付けられてきた動物です。

やはりニホンジカを描くならば、
日本で一番美しい姿を、ということで。

まとめ

今回話したのは、

  • 七十二候・麋角解
  • 水墨画で描いた麋角解(おおしかのつのおつる)

についてでした。

次の七十二候は、
冬至末候 雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)です。