みかんと同じ柑橘系?橘の実っておいしいの?|橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

橘始黄(たちばなはじめてきばむ)とは、
橘の実が黄色くなり始めるという意味です。

というとなにが思いつくでしょうか。
みかんのような黄色い実でしょうか?

橘の実はみかんと同じミカン科ですが、
甘くて美味しいそれとは
まるで別のもの
なのです。

この記事では、その橘始黄、
今回描いた水墨画、

について話していきます。

12月2日から12月6日頃の七十二候は、
小雪末候 橘始黄(たちばなはじめてきばむ)です。
二十四節気では、小雪(しょうせつ)
その小雪を3つに分けたうちの 3番目(末候)です。

みかんと同じ柑橘系?橘の実っておいしいの?|橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

橘はみかんと同類?

橘の実とは、みかんと同じく
ミカン科に属する橘の木に成る、
黄色くて小さな実のことです。
みかんに似ていますが、
みかんより小さくて、
実は唯一の日本産の柑橘系です。

主に西日本側の、海岸が近い山地に
自生しています。

ただその実は、同じミカン科の
「みかん」とは違い、かなり酸っぱくて
食用できるようなものではなく

今回の七十二候「橘始黄」は、

もうすぐおいしい果物が
食べられるよ! 

的なことではないのです。

そんな橘とは違い、
甘い柑橘系として知られる
現在のみかんの主流はウンシュウミカン

ウンシュウとは、中国のみかんの産地、
雲州市からとられています。

みかんの漢字は、蜜柑と書きます。
これは「蜜」の味がする、
甘い柑橘
という意味ですね。

みかんは、この季節によく似合う
まさに冬の風物詩ですが、
今回の主役にはならなかったようです。

では甘いみかんと比べて、
食べられない橘が、なぜ
この七十二候に加えられたのでしょうか

橘と人との関わり

歴史を紐解くと
橘と人の関わりが見えてきます。

秋になると紅葉する落葉樹とは違って、
常緑樹の橘の葉は一年中緑色に輝き

そこに成る橘の実も、長くそこに残ります。

この「変わらない姿」から、
橘は永遠の象徴とされてきました。
さらに日本書紀においては、
非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)と呼ばれ、
常世の国(神話における理想郷)から来た
不老不死の実ともされているのです。
非時香菓は、どんな時でも
香りのする実
という意味です。

紫宸殿

京都御所の紫宸殿(ししんでん)には、
右近の橘、左近の桜として、
桜と対になって植えられています。

文は橘、武は桜ともいいますが、
これは後述する文化勲章にも繋がります。

また、武家の橘氏の由来や、
十代家紋と呼ばれる
家紋のうちのひとつとしても知られ、
多くの武家に使用されてきました。

文化勲章は始め、
桜の花を予定していましたが、
昭和天皇が、橘の花に変えたそうです。
潔く散る桜ではなく、
文化には生命の長い橘を、という理由で。

こんなふうに、橘は古来から
日本人に馴染みの深いもの。

神話の時代から今に至るまで、
橘はずっと私たちの世界を
見守り続けているのです。

【作品紹介】水墨画で七十二候を描く〜橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

橘はみかんと同じくミカン科に
属しています。
みかんに似ていますが、
みかんより小さくて
実は唯一の日本産の柑橘系です。

常緑樹であることが
橘の存在価値をあげているので、
葉っぱは瑞々しく、
かすれを出さないように描きました。

秋になると紅葉する落葉樹と違って
常緑樹の橘の葉は一年中緑色に輝き、
実も長くそこに残ります。
この「変わらない姿」から
橘は古来から永遠の象徴とされてきました。

さらに日本書紀においては、
非時香果(ときじくのかぐのこのみ)と呼ばれ、
常世の国(神話における理想郷)から来た
不老不死の実ともされているのです。

古代の人々が橘に夢見たような
不老不死も永遠も
今では幻でしかありませんが、
歴史を紐解くと
そこに生きていた人々心が
少しだけ垣間見れるような
気がするのです。

この初冬に黄ばみ始める小さな実から、
母国の歴史を学び直す、というのも
良いかもしれませんね。

●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 白
マット色 – 薄藤



*著作権は八束徹に帰属します。
絵のダウンロードや無断転載はお控えください。

まとめ

今回話したのは、

  • 七十二候・橘始黄
  • 水墨画で描いた橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

についてでした。

次の七十二候は、
大雪初候 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)です。
二十四節気は、大雪(たいせつ)に変わります。