天然記念物の沼?マガンの越冬地〜七十二候・鴻雁来(こうがんきたる)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

越冬のために海を渡り日本にやってくる、
冬鳥の雁達。

国の天然記念物に指定された
とある沼にいたっては、
なんと7万羽以上もの雁が飛来します。

10月8日から10月12日頃の七十二候は、
寒露初候 鴻雁来(こうがんきたる)です。

二十四節気は、寒露(かんろ)に変わります。
その寒露を3つに分けたうちの 1番目(初候)です。

この記事では、その鴻雁来、
七十二候・寒露、
そして今回描いた水墨画について、
話していきます。

天然記念物の沼?マガンの越冬地〜鴻雁来(こうがんきたる)

日本最大の雁の飛来地

寒露初候 鴻雁来(こうがんきたる)とは、
雁(がん)が飛来し始めるという意味です。

冬鳥の雁は、この時期になると、
日本で冬を越すために、
遠くシベリアなどから海を渡ってきます。

主に日本で見られる雁は、
マガンヒシクイ
彼らが集まるのは、沼地や湖。
雁が飛来する日本で最も有名な越冬地は
宮城県の伊豆沼および隣接する内沼で、
国の天然記念物や
県の自然環境保全地域に
指定されています。
指定当初の飛来数は3千羽くらいでしたが、
なんと今では7万羽以上もの数が、
伊豆沼にやってくるようになりました。

雁はカモ科に分類されており、
鴨(かも)とよく似ていますが、
鴨より少し大きな体をしています。

それ以上にわかりやすいのが、
鴨は夜に活動し、
雁は昼に活動するという
習性の違いです。

その雁が朝、餌を求めて飛び立つことを
ねぐら立ち、
活動を終えて夕方にねぐらに戻ることを、
ねぐら入り、と呼び、
朝には群れが飛び立つ姿を、
夕方には群れが戻ってくる姿を、
楽しむことができます。

渡り鳥はなぜわざわざ危険を冒して海を渡るのか

雁がわざわざ危険を冒して海を渡るのは、
餌を得るためです。
この時期になるとシベリアのほうは
寒くなり過ぎて、
食料を得られなくなるからです。
そして南下した先(この場合は日本)が
暖かくなると、
冬鳥の雁は、また寒い環境を求めて、
北へ向かうのです。

この北から南の大移動を、
雁は季節に合わせて
繰り返しているのです。

彼らは海を渡る時、群れになり、
V字隊列を組んで飛び続けます。
雁がV字飛行をする理由は、
先頭が羽ばたくことで上昇気流が起こり、
後ろの鳥は力を抜いて
飛ぶことができるからです。
これを交代制で繰り返しながら、
何千キロにも渡る飛行を続けるのです。

鳥であれ人であれ、
ひとりでは生きれないのは
同じだということですね。

人間が原始の頃、
より住みやすい場所、
食料のある場所を求めて
大移動を始めたように、

鳥達はそれと同じことを
ひたすら繰り返して、
子孫を残しているのです。

しかしそれでも必ずみな、
目的を達成できるわけではありません。
途中で力尽きる雁もいます。

人はさらに進化を続けたことで、
大切なことを忘れてしまいがち
なのかもしれませんね。

露も凍る?〜二十四節気・寒露

二つ前の二十四節気・白露の初侯、
草露白で降り始めた露(つゆ)が、
増してゆく寒さに凍りそうになる。

寒露は、そういった意味です。

実際に凍るわけではなく、
「凍りそうになる」という表現です。

そう思うほど寒い時があるなあ
という感じですね。

この微妙な表現も日本の季節の
楽しみ方のひとつですね。

この頃になるとすでに放たれている
金木犀の香りがより目立つようになりますね。
朝、路地を歩いていると、
必ずどこかの家の庭や公園、
施設の花壇などから漂ってきます。

夜には開けっぱなしの窓の外から
こおろぎの鳴き声。

少しずつ増していく肌寒さの中、
自然と心が穏やかになります。

まだ残る昼の暑さが消え
本当に露が凍る夜は、
もうそう遠くはありません。

水墨画で描く「鴻雁来(こうがんきたる」

水辺で休息するマガンを描きました。

渡鳥が危険を冒して海を渡るのは、
食料を得て子孫を残すためです。
人間がそれぞれの理屈に足を止めても
彼らはただ大切な家族を守るために
空を舞い続けます。

そして、少しの間、水辺で羽根を休める。

その憩いの時間を切り取りました。

その休息は、サボることとは違います。
必死で生きているからこそ、
意味を持つ時間なのです。

彼らはまた明日の朝、
自分達の生きる意味を失うことなく、
手を取り合い、ねぐらを飛び立ちます。

まとめ

今回話したのは、

  • 七十二候・鴻雁来
  • 二十四節気・寒露
  • 水墨画で描いた「鴻雁来」

についてでした。

次の七十二候は、
寒露次候 菊花開(きくのはなひらく)です。

菊の花は縁起が悪い?辛気臭い?〜七十二候・菊花開(きくのはなひらく)