【必修】水墨画の基本|水墨画を描くための3つの墨の作り方と6つの筆の作り方

初めまして。
水墨画アーティストの八束徹です。

水墨画は墨で描きますが、
それだけだとただの
白黒の絵になってしまいます


水墨画の本来の奥深さ、
深淵さを出すには、
これからお話しする技法が
必要になってきます。

せっかく描くなら、ちゃんと良いものを
描きたいですよね。
そのために必修の技法です。

とはいえ、いくつもあるわけではないので、
難しく考える必要はありません

この記事では、その
ぜひ学んで活用していただきたい
水墨画の基本的な墨の作り方、
筆の作り方、
そして応用までを話していきます。

初心者から抜け出すために、
間違いなく役立つテクニック
です。

墨の作り方〜濃墨と中墨と淡墨を作る

上から、濃墨・中墨・淡墨

水墨画を描く際には、まず最初に
濃墨・中墨・淡墨の3つを作ります。

濃墨とは硯ですられたばかりの
濃い墨のことです。
これを小皿に取り、
水と混ぜて墨を薄め、中墨を作ります。
それをさらに水を足して
薄くしたのが淡墨です。

墨のすり方については色々ありますが、
濃墨ばかり使うわけでなければ、
たくさんの量を、する必要はないです。

そして少しの水で、
優しくすってあげてください。
力を入れてガシガシやらなくても
墨はすれます。

筆の作り方

まず、これから説明する技法は、
筆の先を使うのではなく、
筆全体を使って描くものだと
覚えてください。

以下の説明に関してですが、
わかりやすくするために
すべて淡墨と濃墨で描いています。
中墨は使っていません。

片隈(かたぐま)

先端が濃い状態です。

作り方

淡墨を筆全体に含ませます。
先端に硯の上の濃墨をつけ、なじませます。

描き方

筆を寝かせて横に移動させます。

元隈(もとぐま)

根元が濃い状態です。

作り方

濃墨を筆全体に含ませます。
先端の濃墨をティッシュなどで吸い取り、
淡墨をつけます。
筆洗いで先端だけ洗う手もあります。

描き方

筆を寝かせて横に移動させます。
片隈を逆さにすれば良いだけでは?
と思ってしまうかもしれませんが、
水墨画は筆の向きで
対象の味わいや姿形が変わりますから、
どちらの技も必要です。

両隈(りょうぐま)

外側に囲うような線が入ります。

作り方

筆全体に淡墨を含ませます。
小皿の縁でこすり、水分を減らしながら
筆を潰して両脇を尖らせます。
その尖らせた両端に濃墨をつけます。

描き方

濃墨をつけた部分が両端にいくようにして、
筆を引きます。

内脈(うちみゃく)

両隈とは逆に、内側に線が走ります。

作り方

筆全体に淡墨を含ませます。
小皿の縁でこすり、水分を減らしながら
筆の左右を潰して中央を尖らせます。
その尖らせた部分に濃墨をつけます。

描き方

濃墨をつけた部分が真ん中になるようにして、
筆を引きます。

先隈(さきぐま)

先端だけ濃い線になります。

作り方

淡墨を筆全体に含ませて、
先端にちょんと濃墨をつけます。

描き方

濃墨をつけた先端を押しつけてから
筆を引きます。
濃墨を置いてくるイメージです。
濃墨を筆に馴染ませてしまうと、
先端で止まらずに最後まで
ついてきてしまいます。

さばき筆

何本かのバラバラな線を一度に引きます。

作り方

筆を小皿の底に押し付けて
根本を軸に左右に動かすと
筆の先端が開いていきます。

均等にさばいたり、
左右どちらかだけにねじってさばいたり、
やり方は色々あります。

描き方

さばいた筆の先端に墨をつけて、
筆を引きます。

*全体にいえることですが、
実際に絵を描いたり、
中墨や淡墨、水を含んだ筆を
硯の上の濃墨につけたりしているうちに、
濃墨もだんだん色が薄くなっていきます。
状況を見ながら
墨をすり直すようにしていきましょう。

応用して描いてみる

左の松の木と枝と葉は、
すべてさばき筆で描いています。
奥の山、竹は片隈。
竹の葉は数枚ほど内脈です。

こういった技を、
他の絵を見て探してみるのも面白いです。
それがわかるようになれば、
練習もさらに楽しくなります

*さらに以下の記事で紹介する技法も
合わせてご覧ください。
▶︎【5つの必修技法】水墨画を描くために必須のテクニックを紹介します。

まとめ

今回話したのは、

  • 3つの墨の作り方
  • 6つの筆の造り方
  • その応用について

でした。

これらは、
使う筆の種類、大きさ、毛の柔らかさ、
濃墨の含み具合、淡墨の含み具合によって
まるっきり違ってきます。

初めは同じ筆で慣れるのがいいですね。

いざ使えるようになると、

これはあの技法が合うな、とか、
この部分はあえてこの技法で
やってみようといった感じで、
意識して描けるようになるので楽しいです。

ここで説明したことは
基本的なことです。

ここから自分で好きなように
自由に応用していき、
個性へとつなげていきましょう。