100均の筆でOK?|初心者さんへ|水墨画の筆の選び方

初めまして。
水墨画アーティストの八束徹です。

初めは筆なんてなんでもいい

そういう人もいますが、
筆には色々あります

道具は出会いや縁次第でもあり、
慣れてしまえばそれが一番
ということにもなり得ます。

だからこそ、100円均一の筆や、
学校指定の習字道具にありがちな
化学繊維の筆は、
初心者さんなら特に避けたいところです。

この記事では、

私の筆の紹介から、
筆の種類、何本揃えるべきか、
そして金額の目安、
100円ショップや学校の書道具の話から、
手入れの大切さまで

話していきます。

水墨画初心者の筆の選び方〜私が使っている筆について

私が初めて買った筆は
長流(ちょうりゅう)というものです。

そして今でもメイン筆です。

長流は付立筆といって、
穂先が長く、墨の含みも良く、
水墨画の技法のほとんどに
対応できる万能な画筆
です。

筆は基本的に動物の毛を使って
作られているのですが、
その動物によって毛の硬さが違います。

たとえば羊毛は柔らかく、馬毛は硬い

この硬さ柔らかを利用して
絵によって筆を変えていくのですが、
初心者さんにはまだ難しいと思います。

そこに来て長流は、
それぞれの動物の硬い毛と柔らかい毛を
バランスよく混ぜて
作ってあり、
中立的でとても使いやすいのです。
硬い毛が中心にあり、
周りに柔らかい毛といった感じです。

ちなみに硬い毛で作ってある
腰の強い筆を剛毛筆(ごうもうひつ)、
柔らかい毛で作ってある
柔らかい筆を柔毛筆(じゅうもうひつ)、
それをバランスよく混ぜたものを、
兼毛筆(けんもうひつ) といいます。

よって長流は兼毛筆になります。

注意!長流はどこで作っている?

長流は、東京都千代田区にある、
得應軒(得応軒)さんが発祥です。
特許を取っていないそうで、
そのブランド名にあやかって
他のメーカーでもその製法にならい
同名の筆を作って販売しています。

名のある会社さんでも作っていますし、
品質が悪いとかではないでしょうが、
使うならちゃんと
大元の品物を使いたいですよね。

本物は、筆に「得應軒」と
社名が記されています。

(*他のメーカーのものは、
それぞれのメーカー名が刻まれている)

購入の際にご確認ください。

今のところAmazonなどでは
「得應軒製」と記した長流は
見つからなかったので、
得應軒さんの商品を取り扱っている
ショップサイト
を下記に記しておきます。

丹青堂さんのネットショップ⬇︎
http://www.tanseido.jp/?mode=pc

水墨画初心者の筆の選び方〜筆の種類について

筆以外で水墨画で使うものでは、
面相筆、隈取筆、刷毛、連筆など
色々あります。

道具はどれも自分の絵の表現や
使いやすさ・慣れに応じて、
使ったり使わなかったりです。

必ず全てが必要なわけではありません。

ただこれはあなたがどういう絵を
描いていくかによって違って
きます。

人それぞれです。

他にもスポンジや割り箸、
変わりどころでは酒瓶など多種多様ですが、
奇をてらわず、まずは
基本の付立筆から始めましょう。

水墨画初心者の筆の選び方〜どれを何本揃えればいいのか

初めに揃えたいのは
付立筆の太い筆と細い筆
これさえあればまずは充分です。

ただもしあなたがいずれかの教室に
通う予定ならば、
先生によって道具の使い方が違うので
その教室で相談してから買うのが
一番無駄がない
です。

初めからいろんな筆を揃えても
使わなければ宝の持ち腐れですから、
慌ててあれもこれもと
揃える必要はありません。

まずそれで学び描き続けるうちに、
いずれ自分の絵の表現の仕方を
見つけ出します。
それに応じて、
足していけばいいだけ
です。

その段階になる頃には
知識も増えているでしょうし、
自分が自分の絵に
何を求めているかを理解して、
今のように筆について悩むことも
少なくなっているはずです。

水墨画初心者の筆の選び方〜値段はいくらぐらいになるのか

初めから高価なものは必要ありません。

私が今使っているものは、長流も含め、
金額的には、1000〜5000円
くらいのものばかりです。
とはいえ、それでも安くはないですね。

ですが、あまり安いものを使って
水墨画の運筆の感覚が
つかめなくては意味がない
ので、
だいたいこのくらいのものは
揃えたほうがいいです。

画材屋さんで鍵をかけたショーケースに
しまってあるようなものでなければ、
だいたいこのくらいの値段です。

水墨画初心者の筆の選び方〜100均のものや習字の授業で使った筆でもいいのか

これはおすすめしません

100均の筆は、バサバサしていて、
穂先も整わず、墨もたいして含みません。

学校指定の習字セットの筆は
化学繊維でできている筆が多いので、
その場合も同じです。
(学校の授業で使うとかなら
それでいいんですけどね。)

例えば受け継がれてきた名作でも
現代の水墨画家の絵でもいいですが
その作品の素晴らしに憧れ、
あんなふうに水墨画で風景を描きたい
あんなふうに水墨画で
虎や龍を描きたい


そんな夢を見て
これから頑張っていくのならば、
やめたほうがいいです。

それらの絵は、ちゃんとそれなりの筆で
描かれている
はずです。

それでも、まずは安物で、
ということならば
無理にやめましょうとは言いませんが、
それに慣れてしまって、
これでいいや
とは思わないようにしてください。

どのみち、描いていけば
もう少しまともな筆が欲しくなるはずです。笑

墨をつけて黒色の絵は描けても、
思い描いていた水墨画とは
違うものに
なりますからね。

これじゃないな

となってしまえば、
100円とはいえお金の無駄です。

水墨画初心者の筆の選び方〜手入れの大切さ

筆は使ったら毎回ちゃんと洗いましょう。

墨を落とすのは面倒かもしれませんが、
丁寧に優しく洗ってあげてください。

なによりも自分の筆を、
愛情を持って扱うことが大事です。

道具に対して愛のない人が、
いくら技術を学んでも、
どんな高価な筆を手に入れても
意味がありません。


道具を大事にできない人は、
どの分野でも
その作品を通して想いを人に伝えることは
できないと思います。

このこだわりは、
持ち続けなくてはなりません。

水墨画初心者の筆の選び方〜まとめ

今回話したことは、

  • 私の筆の紹介
  • 筆の種類について
  • 筆は何本揃えるべきか
  • 金額の目安
  • 100円ショップや学校の書道具について
  • 手入れの大切さ

になります。

まずは筆以外のものでデッサン力をつけて、
それから筆を持とう
という考え方がありますが、
最初から筆で描きましょう

筆に慣れることが大事です。
筆もそんなに簡単に
仲良くはしてくれません。

同じ水墨画といっても、
描く人によって違います。
それが個性というものです。
その個性を活かし、
自分の絵を引き立たせるには
この道具でなければ。
この筆でなければという答え。

それがなんなのかを、
技法を学びながら描き続け、
悩み考え、探し、
楽しみながら、
筆を選んでいきましょう。

私もまた新たな筆との出会いが
あるかもしれません。
それも楽しみにしながら
描き続けています。

筆とは長く付き合いたいもの。

あなたが良い筆に出会えることを
願っています。