江戸の乙女が愛した紅花の口紅〜七十二候・紅花栄(べにばなさかう)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

江戸時代には「小町紅」
という口紅が流行しました。
紅花の色素から作り出されたものです。
恋ひとつにかける乙女に
非常に愛されたようです。
ただ、高価な代物で、
裕福な人にしか買えなかったとか。

今回の七十二候は、
その紅花がテーマになっています。

5月26日から5月30日頃の七十二候は、
小満次候 紅花栄(べにばなさかう)です。

二十四節気では、小満(しょうまん)。
その小満を3つに分けたうちの2番目(次候)です。

この記事では、その紅花栄、
について話していきます。

江戸の乙女が愛した紅花の口紅〜紅花栄(べにばなさかう)

光の加減で変わる玉虫色

紅花栄(べにばなさかう)とは、
紅花が盛んに咲くという意味です。

紅花は黄色から赤へ変色するキク科の花です。
なので、黄色と赤の両方の色素を
持ち合わせて
います。 

小町紅は、江戸時代に流行した、
紅花の色素を利用した口紅です。
光の加減で金色になったりする、
玉虫色が出る高価なものでした。
なので使っていたのは、
お金持ちの家の女性や、遊女など。
金持ちのおじさんが小町紅を
おみやげに持って遊郭に行く。
想像できちゃいますよね。
今の時代でも同じです。
粋な男か、ただのどすけべか
というだけですね。

紅花染めは、絹や木綿などの糸や生地を
紅花の黄色と赤の色素を
使って作る染め物です。
前回の蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
から生まれた絹ともつながりますね。
加工により、原料となる
紅花餅という塊を作り、
生地や糸を染めていきます。
紅花餅は水にとかせば黄色、
アルカリ性(藁の灰汁)に入れれば、
紅色を出します。
そこにさらに他の染料を混ぜたりして、
色の幅を増やしていくのです。
紅花のこの紅色は少量しか出ないので、
赤の紅花染めは高価な代物でした。

日本国内でその栽培が盛んだった頃、
紅花は主に色素原料として
利用されていました。
中国の気候が基準だった七十二候を
日本の気候にあわせて
再編成したのが江戸時代。
ちょうどその時代には、
絵具用の細工紅や口紅として
人気だった小町紅、
そして紅花を原料とした漢方薬が
流通していたのです。
ですから、七十二候に紅花栄を組み込むのは
ごく自然なことだったのですね。

観賞用としても愛される紅花

その他、現代では紅花油として、
食用に利用されたりもしていますが、
紅花は明治時代の頃には、
すでに、海外からの輸入や、
安価な化学染料の流通に頼るようになり、
日本での栽培は縮小されていきました。

そんな紅花は現代でも各名産地での
観賞用の栽培はまだ続いていますし、
小町紅や細工紅も、
伝統を引き継いだ職人が
今でも作り続けています。

紅花の持つ花言葉には、
化粧や装いというものもあります。

咲き誇るその姿だけでも充分に美しく、
現代でも変わらず愛され続けています。

まとめ

今回話したのは、

  • 七十二候・紅花栄

についてでした。

次回の七十二候は、
小満末候 麦秋至(むぎのときいたる)です。