たけのこの旬はあっという間に終わる?〜竹笋生(たけのこしょうず)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

竹笋生(たけのこしょうず)とは、
筍が生えて来るという意味です。

筍料理といえば
何が思い浮かぶでしょうか。

タケノコご飯、煮物、揚げ物、炒め物。

いろんな食べ方ができますね。

しかし筍は旬の時期が
あっという間に終わって
しまい、
それを逃すともう、
食べられなくなってしまうのです。

この記事では、その竹笋生、
今回描いた水墨画、

について話していきます。

*5月16日から5月20日頃の七十二候は、
立夏末候 竹笋生(たけのこしょうず)です。
二十四節気では、立夏(りっか)
その立夏を3つに分けたうちの3番目(末候)です。

七十二候・竹笋生(たけのこしょうず)

たけのこは旬のうちに

竹笋(たけのこ)という漢字は
中国から伝わったもの。
今日本で使われているのは、
竹に旬と書いて筍(たけのこ)ですね。

この時期、孟宗竹(もうそうちく)という
種類の筍はすでに育っていて、
食卓にも並んでいる頃です。
それとは別に、この頃になると
真竹(マダケ)という別の種類の筍が、
地上に顔を出し始めます。

孟宗竹は育つとすぐに、
「食べれなくなるほど固くなる」
ため
地上に顔を出す前に掘り出すのですが、
真竹は顔を出してからでも食べれるので、
地下深くまで掘り取る必要がなく、
採取にも手間がかかりません。

竹笋生(たけのこしょうず)は、
筍が生えてくるという意味ですから、
上記のように土から顔を出さないうちに
掘り出す孟宗竹の時期ではなく、
土から出てきた姿を
鑑賞できる真竹をメインに、
この七十二候・竹笋生は
作られた
のではないでしょうか。

どちらにせよ、筍は旬のうちに処理しないと
すぐに食べられなくなり
ます。

竹の子の親まさり

ということわざにあるように、
筍は成長が早く、あっというまに、
「竹」になってしまうからです。
まさに、旬という文字をあてがうのに
ぴったりな植物ではないでしょうか。

ちなみに竹は水墨画の基礎の題材にも
なっています。

何十年に一度咲く希少な竹の花

ところで種類によって違いますが、
竹も花を咲かせるのは知っていましたか?
見たことないですよね。

なぜかといえば、孟宗竹は67年に一度だけ、
真竹は120年に一度だけ咲くからです。

ちなみに花といっても
竹はイネ科の植物なので、
稲のようなものが生えてくる感じです。

竹は花を咲かせると地上に出ている部分が
一斉に枯れてしまいます。
竹の花は、竹が寿命を全うした結果、
最後に咲かせる死に花なのかもしれません。

私もそんなふうに花を咲かせて、
人生を終わらせたいものです。
竹のように常にまっすぐ上だけを見て
生きるのは難しいですけどね。

水墨画で七十二候を描く〜竹笋生(たけのこしょうず)

八束徹・画|竹笋生

今回は孟宗竹を描きました。

この孟宗竹は、草木の新芽が彩る土壌から、
空へ向かって突き出しています。

皮の部分は先隈で一枚ずつ、
一筆で描いています。
陽を受けて緑色になった先端部分は
濃墨・淡墨を掛け合わせています。  
先隈は綺麗なグラデーションにすると
外側の皮の硬さをうまく表現できなかったので、
改めて筆を作り描き直しました。

その後、地面と周囲の草の新芽を
付け足しています。

これは孟宗竹ですから、
ここまで育てばもう旬の時期は過ぎています。
旬の美味しい食材として
人を楽しませることはないでしょう。

調理方法はあるでしょうが、
旬を過ぎたことに変わりはありません。

しかし、私としては、
筍から竹になり高く高く天へ向かい育ち、
旬が過ぎようが長生きする姿を
伝えたかったです。

できればその竹が何十年後の未来に、
最後の死に花を咲かす事ができるように。

人間だってかっこ悪くても生き抜けば、
死に花のひとつくらいは
咲かせられると信じたいじゃないですか。

生きれるうちは生きましょうよ。

まとめ

今回話したのは、

  • 七十二候・竹笋生(たけのこしょうず)
  • 水墨画で描いた竹笋生(たけのこしょうず)

についてでした。

次の七十二候は、
小満初候 蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)です。

二十四節気は、小満(しょうまん)に変わります。