春の下に虫が並んで『蠢く(うごめく)』。冬眠から目覚めるのは|蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

こんにちは。
水墨画アーティストの八束徹です。

蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)とは、
冬籠りの虫が出て来るという意味です。

「春」の下に虫が2つ並んで
蠢く(うごめく)と書きます。
蠢くとは虫がむくむくと
絶えず動いている
という意味。

春の訪れとともに
冬眠から覚めた虫たちが
地上へ這い出し
てきます。

この記事では、その蟄虫啓戸、
そして今回描いた水墨画、

について話していきます。

*3月5日から3月9日頃の七十二候は、
啓蟄初候 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)です。
二十四節気は啓蟄(けいちつ)に変わります。
その啓蟄を3つに分けたうちの1番目(初候)です。

七十二候・蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

春に虫が並んで「蠢く」

蠢く(うごめく)」という字は、
春の下に虫が並んでできています。
春風吹けば、新緑はそよぎ、
春雷に地面の虫達が驚き目を覚ます。
春の雨を吸い込んで
柔らかくなった土から新芽が伸びる頃、
冬眠していた虫たちも、
みな春の気配に心を踊らせ、
一斉に外へ出て
きます。

虫たちもみなそれぞれの使命のために、
必死で働き、生きているのです。

虫だけではなく、蛇やカエルなども
土の下から顔を出し始める時季
です。

人もまた、春の匂いに蠢き始める

そして、そんな虫達を捕食する
スズメのさえずりが、
のどかさをまとって
聞こえてくるようになります。
こうして春を感じさせられるほどに、
わくわくした気持ちが
生まれてきます
よね。
暖かくなってくると、心が躍るのも、
せわしなく動き出すのも、
虫だけではないですからね。

春に浮き足立つ人の心も同じ。

毎年毎年同じ繰り返しなのに、
毎年毎年嬉しい。

そんな気持ちを受け入れて、
この季節の移り変わりに
目を向けるだけでも、
何か楽しいことがひとつ、ふたつ、
見つかるかも
しれません。

そして秋になってその虫達が戸を塞ぐと、
七十二候・蟄虫坏戸になります。

【作品紹介】水墨画で七十二候を描く〜蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

春の訪れに、蟻が早々に土の中から
顔を出した様子を描きました。

蟻も世界中にたくさんの種類が存在し
冬の過ごし方も様々ですが、
ここで描いたのはクロナガアリです。

土にトンネルを掘ってコロニーを作る
あのクロナガアリですね。

蟻は他の昆虫同様、変温動物であり、
気温によって体温が左右されます。
寒くなると活動ができなくなるため、
秋の間に餌を蓄えて
それぞれの巣にこもり
春を待つというわけです。

そして暖かくなると、
働きアリが巣から出てきます。

それがこの絵です。

ところで「働きアリの法則」というのがあり、
仕事をサボる働きアリもいるそうです。
ただ、それは交代制で
疲労回復をするためであって、
そこにはしっかりした社会性が
出来上がっているそうです。

言い訳があるのは人間だけですね。

負けずにしっかり
生きたいものです。

人が言う「働きアリ」
になりたいとかじゃなくて。

●絵のサイズ 半紙(F4) 334mm×243mm
●額装について
サイズ – 太子 379mm×288mm
色 – 白
マット色 – 墨

まとめ

今回話したのは、

  • 七十二候・蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
  • 水墨画で描いた蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

についてでした。

次の七十二候は、
啓蟄次候 桃始笑(ももはじめてさく)です。