旧本堂跡地に凛と立つ一遍上人像|神奈川県相模原市「当麻山無量光寺(たいまさんむりょうこうじ)】

神奈川県相模原市にある時宗(じしゅう)のお寺、
当麻山無量光寺にツーリングに行ってきました。

かながわ景勝50選の一つに数えられている
由緒ある寺院です。

今回の記事では、
そんな当麻山無量光寺へのアクセス
駐車場情報、
簡単な歴史、
境内散策の見どころ、
開祖・一遍上人のこと、
そして敷地内の公園
について

話していきます。

天候は晴れ。大雨の後の青空。
風は少しだけ。

無量光寺について

アクセス・駐車場

住所:〒252-0336 神奈川県相模原市南区当麻578番地
駐車場:外門を抜けて参道を登って行くと
左手に墓地が見えます。
その先に境内へ続く階段、
その右手の先に広い駐車場があります。

とはいえ、おそらく馴染みの檀家さん
(だんか=そのお寺にお墓がある人)
達かと思われますが、
駐車場には停めずに、
普通に境内に車を乗り入れている人もいました。
地域に根ざしたお寺あるあるです。

結局、広い駐車場にあるのは私のバイクだけ。

しかし、旅の人間はよそ者ですから、
それでいいのです。
わざわざ入り込む必要はありません。

山門までの道は二つある

これは車で行く場合の注意点です。
私はナビを無量光寺駐車場に設定して
現地へ向かったのですが、
結果正面ではなく、
裏道に案内されてしまいました。

この写真の橋を渡ると狭い裏道へ
進んでしまいます。

この狭い坂道は正面の入り口では
ありません

私はバイクなので
そのまま上がっていきましたが、
車だと木の枝や葉などで
ボディを擦りそうです。

その場合橋を渡らずに
正面の外門からお入りください。

無量光寺の簡単な歴史

時宗の開祖、一遍上人が作ったとされる
お寺です。
時宗とは、浄土宗を学んだ一遍上人が、
南無阿弥陀仏を唱えさえすれば、
「信心不信心関係なく」極楽浄土へ行ける
という考え方のもとに
浄土宗の一宗派として生まれた宗派です。

一遍上人は、遊行
(ゆぎょう=お坊さんの修行の旅)
にて踊念仏を広めたことで有名です。
踊念仏とは、太鼓やカネを叩いて、
その名の通り踊りながら
念仏を唱えることです。
念仏を唱えることで信心を得て、
極楽浄土へ行けるという喜びが
自然に踊りになる、といったもの。

なんだか楽しそうですよね。
それはやがて盆踊りや、
出雲阿国の歌舞伎にも
繋がっていったそうです。

人は死への不安を抱えています。
その不安が念仏を唱えさせ、
さらにはそうすることで
救いを見つけた喜びが
人を踊らせる。
その気持ち、わかる気はしないでしょうか。

そんな一遍上人は、
あるお告げから遊行を一旦やめ、
当麻山に住み込んで修行をし、
やがて弟子を得ます。
これが開祖とされる理由です。

その弟子の一人、他阿(真教上人)が、
亡くなる前の一遍上人に託されて寺院を建て
一度は解散した時宗を再結成しました。
その寺院というのが、
無量光寺
というわけです。

開山忌は10/23
この日に仮本堂の御本尊を
見ることができます

境内を歩く

外門をくぐる

バイクで通り抜けてしまうと
見落としてしまいがちですが、
一度は生い茂る樹木の中を徒歩でくぐり抜け、
参道を歩いてみることをおすすめします。

私も外門から改めて歩き直したのですが、
やはり参道は歩いて進んでこそです。
境内にたどり着くありがたさは、
車やバイクで乗り付けては得られないのです。

この時代になかなか面倒な選択ですけどね。
いつかどこかで、他の寺院でも
同じようなことがあれば一度だけ
思い出してみてください。 

山門に向かう途中、左手に墓地があります。
係の方が懸命に掃除をされていました。
当然のことかもしれませんが、
故人を大切にしたいという
お寺の想いが伝わってきます。

山門をくぐる

境内へは駐車場側から山門を潜らなくても
ショートカットして入れますが、
それでは興が醒めますので、一旦坂を下り、
山門へ。

山門脇では竜が口から湧き水を
吹き出していました。

階段を登り山門をくぐります。
目の前に広がる境内は、
春の装いを得た木々に包まれていました。

左手には、永代供養墓があります。
独身や身寄りのない方、
後継者のない家庭のために作られたお墓です。

右手にはトイレ
鐘楼(しょうろう)
そして手水鉢があります。

旧本堂跡に凛と立つ一遍上人像 

石畳の先にある本堂跡地には、
この寺の開祖、一遍上人の銅像があります。

本堂は明治26年の火事で燃え落ちてしまい、
その後、新しく建て直されることは
ありませんでした。

ガランとした広場に
悠然と建てられたその像は、
長い時を経ても変わらずに
寺を守り続けているのでしょう。

私は足元に立ち、
黙って手を合わせました。

仮本堂

旧本堂跡の右手奥に現在の本堂があります。
御朱印などもこちらになります。

車で境内に乗り付けた
檀家さんらしき礼服の方々が
仮本堂前に集合し
挨拶を交わしていました。
どうやら寺内で法事が始まる様子でしたので、
お参りは遠慮しました。
お賽銭も投げず、鈴も鳴らしませんでした。

やはりよそ者がその土地の厳粛な習わしを
騒がしてはいけないと思うんですよね。


ちなみに一遍上人の御本尊(木造)は、
この仮本堂にあります

先ほど話した10月23日の開山忌に
「ご開帳」
され、
その日だけ年に一度の拝観が叶います。

そんなわけで仮本堂に近づかずに
戻ったのですが、
戻ったついでに
その仮本堂の裏手にある
御影の池の散策を忘れていました。
御影の池とは、
一遍上人はその御本尊の頭部を
自分で掘ったらしいのですが、
その際に顔を写したと言われている
池です。

当麻山公園と錆びついた遊具

駐車場へ続く道の途中に、
もうひとつ、坂を下る道があります。

その坂道をくだると、
自然を楽しめる広く静かな自然公園が
山肌に沿って広がって
います。

だだっ広く、がらんとしていて、
寂しささえ感じました。

(ちなみにこの行き方も、
正門からのものではなかった模様。)

土と草を踏みしめながら、
ゆるやかな山を登っていきます。

奥まで行くと、
なんとも懐かしい遊具がありました。
そういえば昔、こんなものがあったなあと、
少しだけ感傷的になった私の目に一瞬だけ、
その遊具でひとり夢中になって遊ぶ
幼い私自身の姿が浮かんで消えました。

遊具は今ではすっかり錆びついていて、
哀愁を漂わせていました。

駐車場に戻っていく私の耳には、
子供達のはしゃぎ回る声は
聞こえてはきませんでした。

まとめ

今回話したのは、

  • 無量光寺へのアクセス、駐車場について
  • 無量光寺の簡単な歴史、
  • 境内散策、
  • 隣接する自然公園について

でした。

なるほど紅葉の時期なら、
また格別な美しさと
出会えたことでしょうね。

お寺や神社はこんなふうに
騒がしくもなく、
物静かに佇んでいるのが
一番だと改めて思った日でした。

バイクで寺を出ると、
外の舗装された道には
リップスティック遊ぶ子供達。

先ほどのがらんとした自然公園と遊具が、
頭をよぎります。

なんのことはない、
遊び方が変わっただけですね。