【絵を売る】お金をもらうということ〜お金の話は薄汚いのか

絵は心である。
金の話をするやつの心は汚れている。


こう思っている作家さん
結構います。

かと言って、ほとんどの場合、
自分の絵が売れることには興味津々なんです。

この記事では、作家の自己満足なプライド、
金に操られない気持ちで書くこと、
絵のビジネスについて話していきます。

「絵は心」という自己満足なプライド

これから絵で食べていきたい
そうやって絵を毎日学びながら、
画家として成功する未来を夢見ながら、
ビジネスを薄汚いと決め付けているのです。
そういう人は、どうやって
絵で食べていくつもりでいるのでしょうか。

そんな私も、似たような考え方に
ずっと縛られていました。
音楽活動でもそうでした。
なので、そんな人が、
自分が芸術家として成功するために
思い描いている道順が
私にはよくわかります。

それはこうです。

まず、ただひたすらに純粋な真っ直ぐな心で、
自分の思いを込めて、作品を仕上げる。
そして発表の場、個展、 SNS、
イラストサイトなどでその作品を発表し、
買ってくれる人、
もしくは

自分の絵を代わりに売ってくれる人

に出会う。

そしてその人に金のことなど、
売ること〜ビジネスを任せる。
任せるというか、興味すら持たない。

自分はひたすらに絵に没頭する日々。

その人達は、それを売るために、
営業をし、つきあいの酒を飲み、
機嫌を取り、つながりを広げていく。
金銭交渉も当然する。

自分はそれを全部任せたくせに、
取り分が少ない、
あいつらは金のことばっかりだ!
誰の絵で商売ができているんだ!
絵は心だ、
金じゃないんだよ!

などと、自己満足な芸術家論をわめきながら、
画家としてのプライドを持って生きていく。


どうですか?
当たってると思いませんか?

都合のいいことばかり考えているのです。
私もそうでした。
自分はそんな美しい心を持つ
芸術家・アーティストなのだと、
見当違いなプライドをずっと持っていました。

まず、食べていくにはお金が必要です。
お金を稼げなくては趣味です。
趣味ならビジネスを嫌っていても
問題はないでしょう。

しかし、ビジネスマンも、絵描きも、
どんな仕事の人も一生懸命働いているのです。

どっちが立派だなんてことはありません。

たしかに、一番大事なのは、絵は心です。
それはもちろんそうです。
ならば、立派な商売人に
たずねてみてください。
商いは心だって返ってきますから。

心を込めて育てたお米、
心を込めて作った料理、
お酒、洋服、車、配達する荷物。
そこから発生するお金も、
絵を描いて発生するお金も、
同じお金です。
仕事でやっていく以上は、ビジネスですから
当然お金は発生します。

お金のことを考えなくても
成立して食べていける
そんな仕事はこの世にはありません

金に操られない「気持ち」で描くということ

じゃあどんな時でも金を取るのか

そういうことではありません。
あくまでビジネスの場合の話です。
ビジネスとか商売とか言うと
うさんくさく聞こえますか?
じゃあ、「仕事」と置き換えましょう。

「お金はいいよ」
「お礼?今度一杯おごってくれたらそれでいいよ」
こういうことだってあります。

大事な家族や友人、お世話になった人に対して、

描いてあげたいな

そう思う時があります。

線引きは作家個人の付き合い方、
その作家がどういう人かによりますが、

たとえば、親にプレゼントする絵で
親からお金を取りますか?

家庭環境は様々ですから、
必ずそうだとは言えないでしょうが、
もし、お金に代わるそれ以上のものを
もらっている相手であれば、

無償で描く、
というか、描いてあげたい

そういうことにもなるものです。

私の話ですが、馴染みの飲み屋さんで、
いつか若いやつに返してやれと
今でも年配の常連さんに
おごってもらうことがあります。
いつかその人のために、
何か描いて恩返ししたい。
そうずっと思っています。
いいよいいよと、断られ続けていますが。

それでも機会があればと胸にとどめています。

人間ってそういうものです。

ただ、それと同じ効果を期待して、

お世話したんだから、
タダで描いてよ
と自分から言ってくる人のためには、
気持ちを込めて描く気にはなりませんよね。
提供する側から、
そうしてあげたい
という気持ちになった時だけです。

絵は心ですから。

それが、仕事としての関係になると、
いただくものが「お金」になるだけなのです。

「絵を売る」ためにビジネスは無視できないもの

ビッグネームのアーティストを、
あれはロックンローラーじゃなくて
ビジネスマンだという人は、
自分が受け入れられる範囲の
「売れないアーティスト」を応援します。

そして、お金を払って音源を買い、
お金を払ってライブのチケットを買います。
それで関係性ができていて、
そのアーティストに収入があるならば、
それも結局はビジネスです。

応援の仕方がどうこうって話じゃないですよ。
良い関係性ができているならば
それでいいのです。


お金の話は、暮らしを立てることから
切り離せないものです。
そして、「評価」に値する報酬の
ひとつでもあります。

誰もが必死で働いて得たお金を
少しでも自分に落としてくれる。
自分の作品に使ってくれる。

ならばもっと良いものを与えなければ。

それが正しい姿勢です。

ビジネス、
商売、
仕事。

言い方はなんでもいいですが、
お金の話はそこに発生する
報酬の話ということです。
ただそれだけのことです。

まとめ

今回話したことは、

  • 作家の自己満足はプライド
  • 気持ちで書くということ
  • ビジネスとアートの関係性

についてです。

アーティストとして本当に大事なのは、
お金を否定することではなく、

仕事だから仕方なくやっているだけ、
うまいこと手を抜いても金は稼げる、

そんないい加減な人達のような、
適当な仕事をしないということです。

「絵は心」なわけですからね。

しつこいですけど。