水墨画初心者向け〜筆についての予備知識

筆選びは悩んだらキリがありません。

まず、初めて買うのに、
店頭にたくさん並んだものの違いなど
わかりようがありませんよね。
私も全てのものを手に入れて描き比べたわけではないし、
そんなことをするつもりもありません。

てゆうか、誰もやらないです。

ここでは、あれば便利な予備知識として、
筆の毛の質、大きさ、穂先、軸などその種類、
そして筆ペンについて簡単に話していきます。

毛の質について

動物の毛を使っているもの

どの動物の毛かによって硬さが違います。

剛毛筆(ごうもうひつ)

岩など硬いものを表現する際に使います。
弾力も強く、文字通り硬い印象の線になります。
墨の含みが悪いため、かすれが出やすいです。
馬、狸、イタチなどの茶色い毛です。

柔毛筆(じゅうもうひつ)

優しい印象を与えることができます。
弾力が弱いので、筆に慣れていないと描きづらいです。
墨の含みが良く、かすれもすぐには出ません。
代表的なのは、山羊の白い毛です。

兼毛筆(けんもうひつ)

その名の通り、上記の剛毛と柔毛の
特徴を兼ね合わせていいとこ取りした筆です。
上記の2本を使い分けるのと比べれば
表現の幅は狭くなりますが、
どっちも安くはないので、
まずは兼毛筆から始めるのが無難です。

初心者向けとされる長流などは、兼毛筆です。

私は今でもメインは長流です。

ナイロン製のもの

近年はナイロン筆でも質の良いもの、
ナイロンと動物の毛を混ぜたものも作られています。
前向きに考えて、新しい世界を作っていくのも
いいですね。

筆の大きさについて

太筆

基本的に、太い線、面で描く場合に使います。
大きくなるほど、穂先が長く太くなり、
含む墨や水の量が増えて描き込める面積が広がります。

小筆

基本的に、細い線を描く場合に使います。
穂先すべてを使わず、先端だけをほぐして使います。
細い線を描く筆としては
面相筆(めんそうふで)というものもあります。

穂先の長さについて

書道であれば、穂先の短い筆から
慣れていくという覚え方もあります。
筆先のしなりが大きくなればなるほど、
最初は描きづらいからです。
ペンから筆に変えた場合などは
感触がまるで違いますから、
最初はしなりの少ないものから
徐々になれていくという方法です。

ですが水墨画は面で書いたり線で描いたり、
筆をつぶして描いたりしますので、
穂先の長い筆は最初から必要になってきます。

軸について

ダルマ軸と普通軸があります。
写真はダルマ軸。
手元が膨らんでいるのがダルマ軸。
真っ直ぐなので普通の軸です。
お子さんなど手が小さい方が、
穂先の太いものを使いたい場合などに良いですね。

この辺は慣れです。
それに合わせて考えていきましょう。

筆ペンについて

筆ペンの穂先はほとんどがナイロン製で、
入っている染料も墨ではなくインクです。
面で描くには穂先が短いので、
小筆に近い使い方になります。
もともと、字を書くために作られているものですので、
これ一本では水墨画の技法には追いつきません。

筆ペンについては、下記の記事も
参考にしてみてください。

まとめ

今回話したのは、

  • 筆の毛の質について
  • 筆の大きさについて
  • 筆の穂先の長さについて
  • 筆の軸について
  • 筆ペンについて

です。

筆ひとつ違うだけで、同じ絵を描いても、
表現力や与える印象が変わります。
そのうち、それを使い分けて表現の幅を
広げていくようになるでしょう。

ここは馬毛筆を使ってみよう
ここを柔らかい筆で描いたらどうだろう

描いていけばこんなふうになっていくものです。
筆の使い分けはそうなってからで良いです。

どちらにせよ、合うものが見つかるか、
使っているものに慣れていくか。

道具との出会いもご縁です。
いいと思ったら結局そればっかり使ってる
みたいな感じもありますしね。

とりあえず最初は安いものからでいいので。
最後に100円ショップのものはおすすめしませんが。

それでは、気の合う筆とのご縁を願って、
私もこれから物色しに行ってきます。