水墨画の技法で漫画は描けるのか?

水墨画で漫画を描いたらカッコいいなと思いませんか?
なかなか見かけませんし、斬新ですよね。

実際に水墨画で漫画作品は作れないものかと
色々調べてみましたが、
結構難しいことがわかりました。
(*水墨画はアナログの作画になりますので、
この場合は漫画もアナログ原稿の話になります。)

この記事では、
まず水墨画の技法、漫画の技法について説明してから、
何が難しいのかとその理由について話していきます。

水墨画の基本的な技法について

主に、筆や刷毛を使い、
和紙にかすれ、にじみ、ぼかしなどの技法で
展開していくやり方になります。

墨も、固形墨を硯で擦り、
擦ったままの濃い墨(濃墨)と、
水を加えて薄くした墨(淡墨)を使い分けたり、
筆にその両方を含んだりしながら、描いていきます。

基本的に下書きはしません。

漫画の基本的な技法について

漫画用の原稿用紙は、上質紙になります。
つけペン、ミリペン、マジック、筆などを使い、
コマ割りをしながら、その中に人物や背景、
吹き出しの台詞、効果音などを描いていきます。

たいていは鉛筆で下書きをしてから、ペン入れに入ります。

水墨画でいうところの淡墨(薄墨)は使わず、
それに値するものを描く場合は、
スクリーントーンを使います。
カッターで切って貼り付けたり、
貼った後にカッターで削ったりします。

色がついた感じで鮮やかになります。

水墨画で漫画を描くのが難しい理由

和紙と漫画用原稿用紙の違い

和紙は水が染み込みます。
そして描いた後、渇くとシワになります。
その状態では印刷には適しません。
そのシワをとり一枚の作品にするには、
裏打ちといって、和紙の裏に裏打ち用紙を貼り付け、
シワを広げ紙を厚くする作業が必要になります。

これを漫画でやる場合、31ページなら31枚
裏打ちをしなければなりません。

それから大きさですが、
漫画の場合投稿用はB4サイズになり、
それに近い和紙の大きさは半紙サイズになります。
近いだけで同じではありません。

ただこれに関しては、ネットで検索すれば
b4サイズの和紙も出てきます。
しかし、漫画用原稿用紙のようにアタリはついていませんので、
自分で定規で測りながら枠線を引いていくしかありません。
漫画用原稿用紙は漫画を描くためにある紙で、
ちゃんとアタリがついています。
基本の枠線はここ、
はみ出す場合もここまでで、
これ以上書いても印刷されない
といったことがわかるようになっています。

つけペンで描こうが、
筆で描こうが割り箸で描こうが自由です。
シワにもならないし、そのまま印刷できます。
しかし、上質紙では、水墨画の持つにじみや
ぼかしは使えません。

薄墨は印刷されない

メジャーな漫画のモノクロページは、
活版印刷といって、薄墨が出ない
印刷方法で刷られています。

漫画家さんの原画展などに行くとわかりますが、
ベタ塗り箇所がすべて均一な濃さではないですよね。
あれが印刷されて漫画になると、均一になるのです。
ということは逆に言うと、薄墨の部分は
かき消されてしまうというわけです。

水墨画には滲みの少ない鳥の子紙を使う
描き方もありますが、
いずれにせよ活版印刷では、
描いた通りには印刷されません。

カラーページで使用されるオフセット印刷なら
濃淡も出せますが、コストの面から
巻頭カラーなどのページ以外に
オフセット印刷は使用されないようです。

有名な作家さんならば、
たとえばこのページは水墨画で表現したいから、
オフセット印刷にしてほしいと頼むことは
できるかもしれませんが、一般的には難しいと思います。

同人誌などでオフセット印刷をする場合は
その限りではありませんが、
メジャー誌ではほとんどないそうです。

漫画に使える技法はひとつもないのか

こんな感じで、薄墨を使わず、
濃墨のみでかすれを表現するならば、可能ですね。

濃墨のみでいいので、墨汁でも大丈夫です。
墨汁は高価なものでないと淡墨を作るのは難しいので。

この濃墨のみの表現を使い、
水墨画の構図を展開していく。

こういった形なら、応用していけますね。

まとめ

今回話したことは、

  • 水墨画の技法について
  • 漫画の技法について
  • 水墨画で漫画を描くのが難しい理由
  • 漫画で使える水墨画の技法について

です。

私の知る限りで案内できる情報はこれがすべてです。

もし他に前向きなやり方が見つかれば、
また記事にしていきます。

水墨画にしろ漫画にしろ、
その幅が広がっていくのはいいことです。
それだけ人の目に触れるし、そうすれば
もっと描くのが楽しくなるはずですからね。