小林東雲・墨絵個展「墨絵の庵」〜平成記念美術館ギャラリーへ

遅い梅雨明けを待つ夏の午後。

私が尊敬してやまない水墨画の師匠、
小林東雲先生の個展「墨絵の庵」を観に、
東京都世田谷区の平成記念美術館ギャラリーへ行ってきました。

先生を慕う生徒さん達とともに、
素晴らしい絵の数々を堪能させていただきました。

開催場所〜平成記念美術館ギャラリー

会期:2020年7月10日〜8月21日まで
場所:平成建設内、平成記念美術館ギャラリー
住所:〒156-0053東京都世田谷区桜3-25-4
電話:03-3426-1103
時間:10:00〜18:00 日曜定休
行き方
バス●渋谷駅バス停の3番乗り場「成城学園前駅西口」行きに
乗車(渋24)〜「大倉ランド前」下車徒歩1分
電車●東急世田谷線「上町駅」下車徒歩 10分

ギャラリーのホームページの案内は上記となります。

私は田園都市線の桜新町駅からのんびり歩いて行きました。

30分くらいかかるので、歩くのが好きじゃない方は
参考にならないと思います。
夏本番ですから、熱中症などにかからないよう
気をつけてお出かけくださいませ。
私がお邪魔したのはまだ梅雨明け前でしたが、
それでもなかなかに暑かったです。

やっぱりバイクで来れば良かったかなと思いつつ。

平成建設さんという会社の手がけるギャラリーになりますので、
その建物を目指す形になるかと思います。

隣のコンビニに、今回の個展のポスターが
貼られていました。

入場〜2Fへ・観覧ツアーへ合流

受付を済まして中へ。

奥様の小林東晴先生が迎えてくださいました。
東晴先生も東雲先生同様、気さくに話してくださる方で、
お二人ともに、とても安心できます。
もちろん、その作品も素晴らしく、
世界的に活躍されていらっしゃる方です。

挨拶をして1Fに展示されてある絵を見始めた頃、
東晴先生がお戻りになりました。
すでに始まっている他のお客さんやお弟子さん達の
観覧ツアーに、2Fで合流できるとのこと。
同じタイミングで来展されたお二方とともに、1Fは後回しにして、階段を登り2Fへ。

師・東雲先生とギャラリーの学芸員の方とお二人で、
入り口から順に、案内してくださいました。

会場である平成記念美術館ギャラリーは、
平成建設さんという建設会社が母体となっており、
そちら側の話も織り交ぜながらの案内でしたが、
絵を描く心にも深く通じる話で、とても勉強になりました。

会場内に飾られた作品たち

1F
2F
2F

会場は1Fと2Fがあり、絵はどちらにも展示されています。
写真以外にも素晴らしい作品が並んでいますよ。

床の間や掘りごたつの部屋では、
運良く来場者揃っての写真撮影などもあり、
いい思い出ができました。

建物内部について

穢れを落とす踏み石

ギャラリーの学芸員さんは、絵だけではなく
建築に関することへの造詣も深く、
とても為になるお話を聞かせていただきました。

まずは玄関の踏み石は、外の穢れを落とす場所であり、
身を清めて、家の中へ入るためのものであること。

昔からある様々な組み木の方法。
木目を利用する昔ながらの大工の工夫。

漆壁の部屋。

漆の部屋の美しさ。
漆は抗がん作用もあると言われており、
箸などは漆のものがオススメだとか、

絵とは関係ないようでいて、しかしそういった知識は、
作品に深みを与えるのにとても役立ちます。
人が生きるために得てきた歴史、経験、知恵は、
その後に生まれ生きる人間の暮らしを豊かにするものですから。

芸術も同じく、人の暮らしとその心を豊かにするものです。


そのつど、感心しながら聞かせていただきました。

1Fにて絵の説明〜弟子として

その後、観覧ツアーに途中参加だった私を含め3人は、
1Fの絵についての説明に入りました。

弟子相手だからか、
それぞれの絵をどう描いたか、というか、
どういう技法を用いたかをわかりやすくご説明いただき、
とても勉強になる時間となりました。

基本的な技法、その応用については、
私も教室で何度も教えられ
頭に入っているつもりでいるのですが、
自分の普段の作画と比べながら聞いていると、
私がまだまだ未熟なのがよくわかります。

他にもっと技法の応用の仕方があることを
改めて学ばせていただきました。
そして絵に込める思い入れについても。

当然ですが、これと同じものを描こうなんて考えても
できるわけがないし、真似をしても仕方ないわけですから、

自分の過去の絵を思い浮かべながら、

そうか、こうすればこうなるのか
ああすれば良かったのか

そんな反省点を探ることに努めました。

とにかく私にとっては、
貴重な授業の時間でした。

●開催は2020年8月21日まで。
お時間のある方は来展されてはいかがでしょうか。

この世に一枚きりしかないアナログの絵を、
直接楽しむことができますよ。

あとがき

以前教室でご一緒した他のお弟子さんと
再会できたりして嬉しかったです。

そして今回、師匠の絵を観覧し、
説明をいただきながら、
素直な感動と尊敬の念を覚えるとともに、
自分の至らなさを痛感しました。

まだまだ私は、本気にすらなっていないなと。

技術だけではなく、知識を得て自分を成長させることが、
絵の深さに繋がることも改めて思い知りました。

先生の軌跡を辿って、私もいつかこちらで
個展を開けるようになりたいです。
まずはもっと絵についても世の中についても、
多くのことを学んでいかなくては。

ギャラリーを出る頃にはもう夕刻で、
蒸し暑さも少しは和らいでいました。
慌てて出て来たような蝉が、
遠くでせわしなく鳴いていました。