【孤独の歌】自作の歌詞とその背景を綴る第4話〜新しい日々へ

「東京に行く」〜支えてくれた友人との別れ

つまらなくて仕方なかった高校時代。

友達付き合いみたいなものにも冷めてしまっていた私は、
中学の頃までの友人達とも縁がなくなっていました。
そりゃそうです。嫌われ者でしたからね。
近づかないほうがいいわけです。
自分も悪く言われますし。

まあ、それじゃなくても、
高校で新しい友人ができていつの間にか疎遠になる
そんな理由もあったでしょう。

就業の解放のチャイムと一緒に一目散に家に帰り、
部屋にこもって本を読んだりギターを弾いたりする日々。

そんな私をいつも
「遊びに来なよ」と
誘ってくれる友人がいました。
中学時代に同じ部活だった友人です。

その彼は人を集めるタイプの人間だったので、
そこには私以外の仲間が集まっていることもあり、
「お前も来るのかよ」って顔をされることもありました。
その辺も気を遣ってくれていたのか、
だんだんと私が行く時は、
気の合う友達しかそこには呼ばれないようになりました。

彼の他の幅広い友人関係には
ほとんど興味がありませんでした。
ただ私を呼んで遊んでくれること、
そこに行けば私は気を許して笑っていられること、
それがとても嬉しかったのです。
それだけで充分でした。

その部屋で私達は、
たくさんの夢を語り合いました。

さらに私の書いたオリジナルの歌を
喜んで聞いてくれる数少ない友人の一人でした。
オリジナルなんてバカじゃねえの?
恥ずかしくないの?
そんなことを言われてしまうクソ田舎で、
彼だけはその歌を真面目に聞いてくれていました。

嫌な高校生活を乗り切るために、
支えになってくれていたのは間違いありません。
今でも感謝しています。
なんていうか本当に、どんな関係でも
「気遣い」ってあると思うんですが、
それを極力しないでいられました。

後々思い起こして、

あの時はきっと
あの時もきっと

彼が気を遣ってくれていたのかと思い知り、
恥ずかしくなることが今でもあります。
そして前向きな彼を見ていたおかげで、
人を信じたり人生を楽しむことを
諦めずに済んでいたのだとも思います。

ずっと助けられていたのです。

「東京に行く」

これはずっと言い続けていたことでした。

やがて制服を脱ぎ捨てられる待望の日が来て、
私達にも別れの日が来ました。

最後の夜、すでに車を手に入れていた彼が、
私を家の前まで送ってくれて、

「元気でな」

と抱き合ったのを今でも覚えています。

そして、私達はお互いの新しい道を
不安と希望を抱えて走り出したのです。

新しい日々へ

すれ違う肩越しに 元気でやれと呟く
時の流れが死神のようだ お前は変わるな
影を踏み目を伏せる 人生の理由はひとつ
他人を笑う他人の姿勢で 歩きたくないだけ

何が一番大事なのか わからずに怯える
これからも相変わらず 俺は俺でいるさ

どこまでも絶える事のない
苦しみを道連れに
俺は行く 戸惑いを見せぬよう
忙しない街へ

身のこなしが器用で 仲間に囲まれたお前と
まるっきり正反対の俺の自由がひとつ消える
当分会えなくなる 本当にもうさよならだ
何もしてやれないことが俺には歯がゆくてならない

駄目になったものを追いかけ 辛さに唾を吐く
もう一度会う時には もう少しマシな男さ

どこまでも絶える事のない
苦しみを道連れに
俺は行く 戸惑いを見せぬよう
忙しない街へ

何が一番大事なのか わからずに怯える
これからも相変わらず お前はお前でいろよ

どこまでも絶える事のない
優しさを道連れに
お前は行く 戸惑いを見せぬよう
新しい日々へ